想い(未来)と、これまで(道程)―近藤寛和

ホテリエという仕事が、小学生が就きたい職種ランキングトップ20に入ること。「日本には優秀なプロフェッショナルホテルマネジャーがたくさんいる」と世界に知れ渡ること。

宿屋大学は、こんな未来を目指しています。

 

なぜこの志を持つに至ったか

 

振り返ってみると、発端は『ホテル業界就職ガイド』を1996年に創刊したことかもしれません。当時、テレビドラマの影響もあって、ホテルマンになりたいと思う若者はたくさんいましたが、ホテル専門学校の学生はともかく、大学生にとっては就職活動のノウハウも情報も非常に限られていました。そんな学生さんをサポートしたいと考え、就職ガイドを出版し、就職セミナーを開催しました。

その時、目をきらきらさせながら「私、なにがなんでも一流ホテルマンになります!」と熱く語るたくさんの学生さんと出会いました。彼らの熱い思いに応える形で精一杯応援し、就職活動の喜怒哀楽を共にしました。そして春には数多くの若者をホテル業界にお迎えしました。(人に喜んでもらう仕事がしたいと考える彼らは、とても気持ちのよい若者ばかりです。私はホテルが好きというよりは、彼らが好きでこの仕事をしているのだと思います)。

ところが、パッションを抱き、優秀で努力を惜しまない素晴らしい若者も、数年たつと、こんなことを言うのでした。目の輝きはすでに失われています。
「ホテルはもういいです。他産業に転職します」

労働時間は長く、理不尽なことばかり、それでいて安月給、5歳年上の先輩を見ても生活が辛そうなので自分の将来もあの程度かと思うと見切りをつけたくなった……。

確かに、自身の甘さもあります。しかし、ホテル企業サイドにも大いに問題があるのです。キャリアパスを示すことができず、低い労働生産性を高めようとしない、コンプライアンスに抵触するようなことが未だに多く残っている……。
「この部分を改善させなければ、ホテル業界人は幸せになれない」

現役ホテルマンに会うたびに、こういう思いを募らせました。

業界を改善し向上させるためにはどうしたらいいか。そして「ホテルのビジネス力やマネジメント力を強化すればいい」と思ったのです。労働生産性を高め、利益率を高め、かつ働く人の満足度も高められたらおのずと業界は向上するのではないかと。

 

宿屋塾開講!

 

2000年4月に始めた宿屋塾は、そんな想いがきっかけでした。

第一回は、当時山梨学院大学の教授をされていた土井久太郎先生に、「儲かるホテルとは何か」というテーマで講演をしていただきました。確か三十人ほどのホテルマンが集まりました。その時々の話題に沿った演題で適任の方に講演をしてもらったり、私が出会って面白かった人にお願いし、月一回定期的に宿屋塾を開催しました。当時、安く借りられる会場探しで困っていたとき、東京YMCA国際ホテル専門学校の小畑氏が宿屋塾の志に賛同してくれ、「うちを使ってください」と教室の無償提供を申し出てくれました。

2004年からは、「ホテルマネジメント入門講座」をスタートさせました。シティホテルに就職した大卒ホテルウーマンから発せられた、「現場の経験なくマーケティング部の配属となり、ホテル全体が見えないので、ホテルビジネスの構造を体系的に分かる講義があるといいのですが」という声を耳にしたのがきっかけでした。

専門講座をつくったのは2006年のことです。「ホテルマネジメント入門講座」は、宿泊論やマーケティングといった各テーマの基礎知識を伝えることが目的ですが、一つのテーマをさらに深く学ぶためのシリーズ講座の必要性がでてきたことから開設したのです。これまでに、「ホテルHRゼミ」、「ホテリエのためのロジカルシンキング」、「飯島ゼミ」、「ユニフォーム会計ゼミ」など、多彩な講座、ゼミをその都度必要に応じて開催してきました。

2008年には、宿屋塾の開催回数が百回を数え、これを記念して当時開業間もなく話題を集めた東京ディズニーランドホテルの宴会場で、4人の人気スピーカーをお呼びして盛大に開催しました。第一回宿屋塾を開催したときから、ちょうど十年になります。延べ一万人以上の方が受講してくれたことになります。

 

ホテリエの復権を目指して

 

本来、ホテルは、国際的な職場であり、文化・流行の発進拠点ということで、若者の憧れの仕事のはずです。海外では、ホテルの総支配人ともなれば町の名士として尊敬される存在です。ホテリエという仕事は、そうあるべきなのです。

宿屋大学は、ホテルの現場で必要な実践的な知識、ノウハウ、スキルを的確に伝え、日本のホテルマネジメントのレベルを向上させたいと強く願っています。そして、最初に述べたヴィジョン、つまり、「ホテリエが、若者が憧れる仕事になり、日本が優秀ホテリエ量産国になる」未来を真剣に目指します。

そのため、2010年、企業化しました。「ホスピタリティビジネスに特化したビジネススクール」を一企業として、このヴィジョンを業界の方々と共に実現させたい。

 

みなさん、こんな未来、一緒に描きませんか。

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