【18.08.16】人材シリーズA アンケート「ホテル業界職場満足度調査」レポート

ホテルスタッフの多くは、現場マネジャーよりも、経営陣に不満を抱いている!?

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ホテル業界のスタッフを生かす職場環境改善を考えるシリーズブログの二回目です。

まずは、現状把握のために、業界人にアンケート調査を実施しました。
結果をレポートします。

貴重なご意見をたくさんいただいたので、そのメッセージをなるべく多く紹介しますが、総じて、ホテルスタッフは、「現場のマネジメントよりも、経営に対する不満多い」という結果になりました。




ホテル業界における職場満足度に関するアンケート


【調査期間】2018年5月31日〜6月30日
【抽出方法】宿屋大学のメルマガ、FacebookなどのSNSを利用し
      日本国内を中心とした勤務地で働くホテル業界人に依頼
【回答者数】114
【調査方法】Google社のWebサイト・アンケートフォーム“Google Forms”を使用(全9問)


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質問@:職場(部署)に対する、あなたの現状の満足度は?

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自身の所属部署に対する満足度が80%~100%であると答えた回答者が全体の28.0%、満足度が0%~20%であると答えた回答者が全体の9.7%





質問A:勤めている企業に対する、あなたの現状の満足度は?

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自身の所属企業に対する満足度が80%~100%であると答えた回答者が全体の26.3%。
満足度が0〜20%であると答えた回答者が全体の14.0%
現場での業務に関する満足度より、所属企業への満足度が低いことがわかった。




質問B:お勤めのホテル企業や職場に関し、不満に感じていることは何ですか?(複数回答可)


人(割合)

74 (64.9%) 給与
40 (35.1%) 会社に理念やビジョンやミッション、戦略がない
                      (もしくは、あっても共有されていない)
38 (33.3%) 経営者やオーナー、上司受けする人ばかりが評価される
38 (33.3%) モチベーションの低い人ばかりいる
36 (31.6%) スタッフが経営者やマネージャーから大切にされていると感じられない
36 (31.6%) 上司が現場よりも経営陣ばかりを見て私利私欲ばかりで動く
32 (28.1%) 利益ばかり追求して顧客満足を軽視している
                (会社の都合ばかりをゲストやスタッフに押し付ける)
31 (27.2%) 休みが少ない
31 (27.2%) 労働時間が長い
28 (24.6%) 会社のブランド力が低い
24 (21.1%) 会社に誇りを持てない
20 (17.5%) サービス残業などのコンプライアンス違反がある
20 (17.5%) パワハラを感じる
19 (16.7%) 職場がぎすぎすしている
05 (04.4%) 会社の規模が小さい
04 (03.5%) 職場内でいじめがある
03 (02.6%) セクハラを感じる
01 (00.9%) サービススキルが高い人ばかりが評価される


不満を感じる点について複数回答を求めた結果、『給与(が低い)』『休みが少ない』
『労働時間の長さ』といった一般的にホテル・旅館業界の構造的な問題して指摘されている点以外にも、2位に『ミッション、ビジョンの共有不足』、また3位から7位を『評価制度や曖昧さ』に関する問題点が占めたことなどが注目に値する。また、『コンプライアンス違反やハラスメント』など不健全な就業環境を指摘する点も挙げられており、ハードに依拠する(構造的な)課題とソフトに依拠する(人間関係など)課題両面について改善が求められていることがわかった。




質問C:今自分が働いているホテルを後輩に勧められますか?

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勧められる(自信を持って/12.4%、自信はないがどちらかというと/29.3%)という回答が41.6%と、勧められない(どちらかというと/15.9%、絶対/13.3%)の29.2%を上回る結果となった。




質問D:上司や先輩の指導方法・行動や考え方、ホテル業界にある価値観や人間関係の暗黙のルールなどで、「おかしい」と感じたことがあったら教えてください。


【経営判断】
・何名かいる経営陣の中でのパワーバランスに様々なことが影響し、左右される。ビジョンはあるものの、それが判断のモノサシになることがない
・経営にまるで興味がない。部下が何をしているか能力的に把握できず評価基準がおかしい
・業界のことには素人であるオーナーの言いなりになる慣習
・決定権をもつ役職の機嫌に左右され、方針・施策が都度左右する。また、上層部の顔を立てるために無駄な作業が多い
・長時間働く人が良いとされてきた文化。調理とサービスでは力関係が調理の方が上と考えている人が多い。また経営陣が調理に対し意見を強く言えない
・上司は経費削減の事しか頭にない。サービスマンとしての自覚が見られないし、部下の事を見てなさすぎて何も分かっていない
・評論家が多くなり、現場主義者が居ない

【人間関係、コミュニケーション】
・人に取り入る能力、可愛がられたい願望が強い人が多すぎる。その結果、会話の内容が人に気に入られた話ばかりで、正直程度の低さを感じている。世の中のニュースや技術には無関心である
・自らの職責、影響力を理解していない管理職が多い
・直属の上司ではないが、例えば「残業するな」と言って具体的な指示をせず、自分は先に帰ってしまうとか…あいまいな指示をする人が多い
・お客様には接客的に挨拶をするのに、従業員同士ではできない。ホテル内では積極的にゴミを拾ったり、窓を拭いたり常に清潔を保とうとするのに、自分の家や公共の施設では扱い方がひどい。総じていうと、仕事ではできるのに普段の生活ではできないということ
・コミュニケーションを取れる人が少なくなってきており、対話力が無いため、物の言い方が乱暴
・部下の目の前で上司が個人的な感情を表に出しすぎていると感じる。愚痴や悪口を聞こえるところで言われると、どう反応したらいいかわからない
・外資系ホテルに勤務しているので、感じてしまうのか不明ですが、経験を蔑にする傾向にある。もちろん旧態依然の考えで押し通す年配者もいるがそうでも無い新しい考えに共感しその中で、自身の経験を組み込みもっと良くする方法を模索する必要もあると考えています。
・バリバリにインチャージをこなしていた女性が育休から復職すると本人になんの相談もなしにインチャージを外されている

【年功序列】
・年功序列で勉強していないスタッフが多い
・過去の成功事例を語る事
・一方的な上位下達、評価が年功序列な企業風土は時代に沿ってない
・ベテラン勢の意識と行動がなかなか変わらない(考えて行動しない・主張しない・言われないとやらない・ただ我慢する・人に影響力を発揮しようとしない・理由を考えない・プライオリティをつけられない)
・お客様は神様という考え方。時代の流れに乗ろうとしない保守的な考え方
・時代に合った考え方を柔軟に採り入れて欲しい。昔話は所詮、昔話ですから…

【評価制度】
・残業をする人が偉いとされる風潮
・キャリアパスが明示されていない。また、教育システムが不十分

【指導体制】
・自分の考えに合わないと意見を聞かず排除しようとする姿勢
・注意しても直らない後輩に対し、諦める事
・明確な指導が無い
・指導方法について、非常に未熟である。ホテルについての知識不足。評価基準が曖昧
・部下の前で他人の悪口を漏らす。表での愛想が裏では消える
・根性論、妬み、足の引っ張り合い、情報隠蔽等姑息な手を使って周りから出し抜く、俺の背中を見て学べ的に事前の座学や研修なしにOJTと称して不安なまま業務をさせる
・人材不足の可能性もあるが、指導が行き当たりばったりのことが多い
・会社・上からの指示等には当事者意識をうったえるが、新入社員のミス・退職理由・ゲストからのスタッフ個人へのクレームなどは当事者意識を微塵も感じない
・トレーニングスケジュールを決めても、十分な時間を確保できていないこと、複数の人からそれぞれ違うことを教わったので、正しいやり方に統一してほしいと感じたこと
・「見て覚える」という指導に違和感を覚えます。自身が過去に学び得たことが体系化されていないために、伝える・教えるコミュニケーションが取ることが出来ていない状態なのだと思います
・ホテル業界に限ったことではないが、新入社員の「わからない」という感覚を上司が理解してあげられていないケースが多いと感じる。上司が本当の意味で部下の立場に立ち、それぞれに合う指導が出来るくらいの柔軟性がこれからはより必要でないかと思う

【福利厚生 (残業・給与・休日)】
・「昔はこうだったからねー」と、上司がサービス残業を見て見ぬ振りしている
・残業などで協定時間を超えそうになると、たとえ予算を達成しようが上手くやれと指導したつもりでいる。打開策もフォローも無く結局はサービス残業になってしまう。日大アメフトの監督と似たような上司しかいないです
・何度か体調を崩してしまい、休もうと考えましたが、人が足りないこともあり、休みにくい環境になっている。休む場合の連絡をしても、まず体温がどれくらいあるのか聞いてくるのが働いてる身としては、非常に休みにくい

【業務プロセス】
・上司自身が行って無いのに、しなさいと強要してくる。自分の仕事を軽減するため、業務を押し付けてくる。そして定時で上がり部下は残る
・現場への理解が低い。CSは人員が揃ってこそあることを理解してくれない
・お客さま優先、第一が当然のため、自身が犠牲になることが多い
・休憩時間を全く考えていない
・職場事情として上司も含めて全員が作業者になってしまっている為、客観的な視点が不足している
・基本的な業務のマニュアルが整っていない。(現在のではないが)上司がGMの悪口を部下や後輩の前で言う
・「サービス残業をなくす」など、表面的な改善にとらわれすぎていて、サービス残業をしなくて済むシフト作りやオペレーションの改善などがされていない。現場の声を上の人が聞く環境がない
・上司の言うことに従っていればいいと考えている人が少なからずいること
・◯◯は△△であるべきといった固定観念があまりにも強く、新しい価値観、新しいアイデアを受け入れようとしない
・N大学ではないが、スタッフの考え方や客層は常に代わっている、ある一定の役職者になると、新たな指導方法を学ばなくなる。それでいて、会社を去ることもなく社内の閉塞感が漂う場合がある
・「ホテルだから」こうするんだ。と言ってどこかで見てきたことの真似事をすることが上司だと勘違いしている。見たことのないことにぶつかると逃げるし、どうしてと聞くと答えられずに「ホテルだから」と逃げる。バブルを経験した人たちはホテルということだけで偉そうにしていいと思っている



質問Fの対比として、新人は上司や企業そのものがビジョンを示せず評価基準がおかしいと嘆き、年配者はすぐ辞める新人をやる気がないと怒る、という構図が読み取れる。





質問E:経営陣に言いたいことがあれば教えてください


【モラル】
・ワイドショーくらいしか会話のネタのないマネージャー達の教育をどうにかしてください。 非常にくだらない上に、聞く部下の時間ももったいないです。マネージャー陣の知識も無さすぎて、ハラスメントにしても会計管理にしても、ありえないことばかりが起こります
・外部とではなく、社内の経営陣同士の接待で、接待伝票が使われ、実質エライ人たちは無料で飲食をしている。そのせいでサービス残業を強いられる現実。日頃から節約するようにとか原価を低くとか言われているのに、そんなことをされたら何も信用できなくなる。経営陣の巡視などの為に準備に追われ、労務が増えている
・自分の考えのみで事を決め、そのために苦労する人がどれだけいるかを、自分の目でみてほしい

【経営判断】
・独裁的な経営を改め積極的に他者の意見を聞き入れる姿勢が欲しい
・理想ばかりで現実さを感じない
・ご自分の考えをしっかりと自分の言葉で伝えることをしてほしい
・ボーナスよりも給与を上げて欲しい
・オペレーションとマネジメントの橋渡しをできる上位者が少ない
・若い社員が会社に魅力を感じる方法を考えてほしい。人材に対する投資を行ってほしい
・経営者自身も生き生きとしてください
・顧客満足が経営を支える事を念頭に運営して欲しい
・お給料が仕事に見合っていない。これでは、今後ホテル業界で働く人が減っていくのでは
・保守的。変化が必要な時なのに何も変えようとしない
・経営と運営の分離にはほど遠い
・給与や職位に年功序列を重んじる考えが影響していると、社員のモチベーションは上がらない
・兎に角もっと勉強してほしい。業界のこと、時代のトレンド、社会情勢などあらゆる面で情報不足が多い。今時、情報源が『NHK』と『日経新聞』だけでは話にならない。その上で時の変化に柔軟になって欲しい
・社長含めた幹部がオーナー会社からの出向により形成されているため、また交代のサイクルも早いため、計画的に物事が進まない。改装など、もっと長いスパンでの計画で進めるべき
・ホテルの現場感覚は必要ですが、経営もスキル・知識なので習得を怠ることなく、事業に誠実に向き合って仕事をして欲しい

【ビジョン、ミッション】
・ビジョンを示してほしい。スタッフに責任を押し付けて、責め立てるのはおかしい
・変革を恐れず、ビジョンを持って会社を動かして欲しい
・個人個人に何か言うというよりかは、経営陣として足並みを揃えて社員にメッセージや行動で示してほしい。経営陣個々が自由に動くのではなく、物事を纏め進めていくディレクター的な仕事が出来る人間が増えると良い
・どのようなホテルを目指すか目標を決めて欲しい
・2020年のオリンピックの先の5年、10年、その先を考えた人材育成を行って欲しい

【現場への理解不足】
・本社経営陣が、各地のホテル現場の忙しさを考えず、各地のホテル支配人にばかり負担がいき、サービス残業が多すぎるのは問題だと思う
・もっと現場主義になってほしい。自分達に都合の良いことばかりに目を向けていて、数字しか見ていない。現場の意見は聞かずに、素人の自分たちの意見で進めるのは良い人材がいなくなる
・自分個人の考えではなく、お客様の声を聞くことで決定判断をしてほしい
・もっと現場で何が起きているかを見てほしい。意見や方針を何度も変えないでほしい
・無駄なことが多すぎる。現場をもっと見て欲しい
・売上としつこく言う前に、現場がどういうサービスをしているのかを良い点、悪い点含めしっかり把握すべき。本当にお客様を喜ばせるために必死に働いているスタッフをもう少し評価して大切にしてほしい
・規模や売上のみを考えている。理想と現実を理解していない

【数字】
・数字がきちんと読めて、現場の現状を把握し、正しい判断をしてほしい
・会計、収支に重点を置きサービスをしているホテルを運営しているという感じがしない
・スタッフに単に業務を教えるのではなく、原価や利益率などもスタッフに徹底することが重要であると思います



質問F:今の若者は耐性が低すぎると感じている方がいたら、ご意見をお聞かせください


【今の若者に対する批判的回答】
・職業ホテルマンが少なくなった
・口だけで実際には自分から動かない。例えば、イベントのアイデアを提案だけで経験を積まそうとリーダーにしようとすると逃げ腰になる。それで、別なスタッフにお願いすると私ならもっと上手くやれると発言なら、逃げずにやりなさいと言いたくなる
・わからないことがあっても周囲に聞かず、自分の判断で動こうとする
・注意されたらふてくされる
・業務よりも自分の都合を優先させる傾向があります
・変な意味で守られている環境とサービス業への想いが根本的に昔と異なっている
・マニュアル以外の依頼をすると「無理」。「人がいない」といい訳をする。やりきろうとする意識が低い
・甘えている部分を感じる。自身のスキルを高める為には、我慢や苦労、多くの経験が必要であり、多少時間も必要である。何でも安易にマスターできると思っている。簡単に情報が手に入るようになり、全てが便利で手軽だと思っている。人の世話をする仕事だから、多少なり手間がかかるのが当たり前。面倒だと思うなら、根本的に選択する職業を間違えている
・過程より結果をすぐに求める傾向が強い
・一昔前に比べると(その言い方も問題ですが)、諦めが早い・指示待ちが多い気がします
・「楽して金が欲しい」という感じの人があまりに増え過ぎた
・我慢、敬う気持ちが足りない
・自分で考えることをしないで受身すぎる。指示をまち、指示がでるとふて腐った態度を指摘しても尚且つ少しでも面倒なことはやりたがらないのはスキルアップの機会を逸しています。やってみて、違うやり方等を間変えてみては?
・怒られる事に慣れていないせいか、怒られるとすぐに気を悪くする。安易な考えで進路を考えた結果、簡単に仕事を辞めたりする
・嫌な事でもなんとかがんばろう、とならずに、逃げたり辞めたりすることに抵抗が無い
・直接言うとすぐに泣く

【若者だけに問題を押し付けてはいけない、という回答】
・耐性が低い担当者は多数当てはまるが、同時に耐え忍び結果を残した担当者が評価されることもない
・上司から指示されたことをやるのは当たり前です。しかし、自ら動いてお客様のために動いた経験すら、上司に否定されたり、捻り伏せられたりしている実態もあります。そのような環境では、何も考えない若者しか残らなくて当然ではないでしょうか
・理由のない我慢はする必要がない
・社会に出る覚悟の様なものは確かに感じられない。ただ、若い世代の特性のせいにするばかりではなく、上司としての接し方が問われている時代なのだと感じる。歩み寄りが必要
・昔より溢れる情報の中から職業やスタンスの取り方など選択肢がたくさんある環境にいる若者に対して耐性が低いとは言えない
・ゆとりもさとりもないと思っています。耐性がないと感じているのは単に意思疏通ができてないだけではないでしょうか。無関心なおじさんはたくさんいますが、忍耐強く熱意を持ったおじさんはなかなかいません。年輩も若者も関係ないのではないでしょうか
・耐性もないが、企業労働環境の改善がないことが主要因
・そもそもホテル業界は離職率が高く、不満に耐えられないと辞めてしまう傾向があり、若者だけが耐性が低いわけではない。単に無意味に厳しいだけである
・耐性が無いのではなく、教え方が悪い。また若者が、というより世界がボーダーレスになった今日で様々な文化の価値観が日本人の多様化につながり、その対応が出来ていないだけ
・パワハラという言葉が世間で多く使われるようになって、耐性を鍛える機会がむしろ減ってしまったからだと思います
・彼らの耐性が低いのではなく、時代の変化に上が乗っていない。昔の考えを押し付けようとしても若い子達には到底理解できないし理解させようとする方が無駄に感じる。上が考えを改める他ない。だから時代に取り残され業績も落ちる一方
・感じることは多いですが、個人差がありますので、「全体的に若い人の耐性が低い」と言う論理には賛同しません。年配の方にも耐性が低い人は多いです。また耐性が低いことが必ずしもマイナスではありません。寧ろ過剰な耐性の強さが、経営陣の誤れる判断を跋扈させて温床にもなったと言えます
・時代ですのでその様な方がいるのは仕方ないと考えております。ただし、その中で頑張り屋もいるので、しっかり見極めて採用していけば良いと考えております
・今の若者は賢く、頭が良いのだと感じる。だから、価値のないことを見抜く力があり、価値のない時間への投資は行わないのだと思う
・そもそも耐えることを強いられるよう職場に魅力はないと思います
・背景として、人材不足による先輩のサポートや教育不足でお客様からのクレームに耐えられず、仕事量の増加による負担で、入社数年で認識してしまうことで退社を決意してしまうので、耐性が低いと考えてしまう方がいるのではないか

【その他】
・上司がハードワークして出る本音であれば、若者に伝わると信じている
・拳に対する耐性が無さすぎる
・学校教育がそうなっているし、親も親の役割を果たせなくなっている
・仕事を選べると思っているのがおかしい。好きなことだけをやって、給料がもらえると思わないでほしい。合わないことをやるから仕事であり、その対価が給料だと思う


今時の若者に対する厳しい指摘があるいっぽう、時代の変化による世代間の認識の差異によるものという指摘や、大人(上司・先輩など)側の対応力についての指摘、またホテル・旅館業界の働き方が構造的に今時の若者に受け入れられにくいのでは、といった
『若者だけに問題を押し付けてはいけない』という指摘が多く挙げられたことが特徴的な結果となった。





質問G:あなたが、ホテルで働き続けるのはなぜですか


@情緒的要素 … 業界/組織に対する愛着のこと。その業界/組織が好きで貢献したいという気持ちのこと。損得感情ではない感覚、一体感や愛着といった要素。

・観光産業に携われ、地域のこれからの発展に貢献できるから
・お客様の喜ぶ姿に感動するから
・ホテル業でしか出来ない仕事に誇りを持っているため
・お客様に体験を提供する仕事にやり遂げたときやりがいを感じます
・毎日がドラマティックだから
・ホテルが大好きだから、趣味であり仕事である
・自分にとっては、天職だと感じているから
・接客が大好きで、お客様の喜んだ顔が見たいから


A功利的要素 … 業界/組織に対する損得勘定のことで、その組織にいれば自分にメリットがあるっていう気持ちのこと。情緒的要素に比べ、より認知的・評価的なもので、仕事を続けることによる利益、辞めれば失われるコストに対する功利的な知覚とされている。

・他に出来る仕事が無いから
・他に経験がないから
・育休が明けたばかりで、小さな子を抱えて転職しづらいから
・子供がいなければ、とっくに辞めていると思う
・20年以上、井の中の蛙になってしまった
・つぶしがきかないから
・私も含め、周りにいる誰しもが転職を考えています


B規範的要素 … 理屈など抜きにして組織に貢献すべきであるという気持ちのこと。社会人だったら一生懸命働くべき、一度就職したのであれば長くその会社で働き続けるべきといった倫理的な要素。

・ホテルマンだから
・家業だから
・天職であるから
・次世代を担うホテルマンたちの育成に携わりたいと考えているため
・経営者だから
・これまでホテル業界で働き育てていただき、お世話になってきたから


本質問では、ホテル業界に対する『組織コミットメント』について記述式で回答をもとめ業界・企業への帰属意識をあきらかにした。組織コミットメントは大きく以下の三つに分類することができるとされており、本質問への回答もそれぞれの要素に分類することができた。




質問H:「ホテルで働いてよかった」と思えたエピソードがあれば教えてください


【顧客とのエピソード】
・入社1年目、レストラン勤務で顧客が出来た時。当時名刺も持っていなかったが、名前を覚えたいと言われて手書きのカードを書いた
・新しい施設が劇的に増える中、長年ご利用頂いているお客様に支えられていること。またそのお客様からご指名でのご連絡・感謝のお言葉を頂戴したこと
・お客様におもてなしの心が通じていたとき。出張が楽しみだ、あなたがいると安心だ、あなたが販売するホテルだから一緒にビジネスをしたい、そういう言葉をいただくと素直に嬉しく、自身の存在価値を確認できる
・ありがとうの言葉に尽きます
・日々繰り返される、お客さまの人生に寄り添える、人間味のある職種であること
・10年前にドアマンとして働いていた頃に親しくしていただいた顧客のお嬢様が、「あなたに憧れてホテリエになりたくて、ホテル学校に入った」と言われたこと

【同僚について】
・業種に比べると人が良い人が多い気がする
・最近は部下が褒められると嬉しい
・昔一緒に働いたスタッフから相談されるとき
・同業者には沢山の素晴らしい方、尊敬できる方がおり、その方々とお話ができること
・他部署との連携プレーでお客様に喜んでいただけるサービスが出来たとき

【満足感、達成感】
・繁忙期を皆で乗り越えた時の達成感
・従業員、ビジネスパートナーとの交流
・毎日が違う日常であり、勉強であること
・珍しい経験を沢山出来た!

【日常生活への影響】
・礼儀正しさ、立ち振る舞いなどが他の同級生と比較しても抜群に良いと思います
・自分がどこかに行かなくても、友人たちが利用してくれることで、再会の機会が多い
・思っている以上に様々なマナーや言葉遣いが身についていたこと
・日常生活で動作が美しくなった

【その他】
・無職よりは知り合いができてよい
・食費が浮く
・社食が本当においしい
・宿泊業ブームがしばらく続きそうな状況

顧客や同僚といった人との関わりに関する部分と、達成感や満足感、そして生活への影響といった情緒的な部分に大別されることがわかった。




●アナリスト 服部淳一氏

1980年大阪府生まれ。京都産業大学卒業後、ウェスティンホテル東京、ハイアットリージェンシー京都にてハウスキーピング、サービスエキスプレス、レセプション、コンシェルジュなどを経験。2007年年間最優秀従業員賞を受賞。2008年グランドハイアット台北にて海外研修。2010年からはセントレジスホテル大阪にて経理を担当。グループの経理シェアードサービスセンター立ち上げなどのプロジェクトの貢献を評価され2016年アジア太平洋地区シニアバイスプレジデント表彰を受賞。同年、神戸大学大学院経営学研究科(MBA)に入学しホテリエのキャリアに焦点をあて専門職学位論文を執筆(論文は第10回タップアワード最優秀賞を受賞)。2018年より同研究科博士課程後期課程に在籍中。



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