【アカデミック講座】
第五回「固定客を掴むホテルの数字~ES,CS,Profitの好循環をつくる固定収益マネジメント~」

講師:東北学院大学経営学部 准教授 松岡孝介氏

宿屋大学は、新しい講座プログラムのカテゴリーとして「アカデミック講座」を開設しました。

最新の観光・ホスピタリティ関連分野の研究や学術界の現状を紹介することと、観光・ホスピタリティ・ビジネスの研究者と本業界の実業に携わる方々のコミュニケーションの場づくりを目的としています。産業界に役立つ研究をしている個性的な大学教授などを厳選して、月一回開講していきます。

第五回目は、東北学院大学の松岡孝介准教授です。

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2割の顧客から8割の利益がもたらされると言われるように,固定客(リピーター)の獲得は,ビジネスにおける重要な成功要因として広く認知されています。

 

特に,固定費の大きなホスピタリティ産業においては,固定客は稼働を安定化させてくれたり,他の顧客を紹介してくれたりするという点で,貴重な存在です。

ホテルの現場では,新規客を獲得し,固定客を育成・維持するための取り組みが日々行われています。しかし,そのような取り組みを成功に導くためには,「見える化」することが欠かせません。固定収益会計は,固定客を得るための取り組みがどの程度成果を上げているのかを「見える化」するための手法です。

 

固定収益会計の基本的な仕組みは,顧客を新規客,固定客,非固定客,そして離反客という区分に分け,区分ごとに収益や費用を計算することです。これにより,どの程度固定客の育成に成功しているのか,また,固定客が他の顧客に比べてどのくらい多くの財務的成果をもたらしているのかを理解できるようになります。

 

固定収益会計は,固定客がもたらす財務的成果だけでなく,固定客を得る上で重要な「非財務的」な要因にも目を向けます。具体的には,顧客満足度や従業員満足度です。当然ながら,従業員満足度が高まれば顧客満足度も高まり,ひいては固定客が増えて財務成果も上がるという関係を想定しています。しかしながら,実際にこのような関係が成立することを明らかにした研究は多くありません。
この講座では,あるホテル業において従業員満足度,顧客満足度,財務業績の関係があることを実証した研究成果についても紹介します。



【こんな内容です】

●顧客関係性マネジメントの成果を測定したい

●固定客がホテルの財務業績にどの程度の影響を持つのか知りたい

●顧客満足度が本当に財務業績の向上に結びつくのか知りたい

●従業員満足度と顧客満足度の関係を知りたい


 

【こんな人におススメです!】

●最新のホスピタリティ研究の現状を知りたい方

●アカデミックな視点に触れたい方

●実務と研究を結び付けたい方

●観光・ホスピタリティ業界を目指す学生から、経営者まで

●ホテル会計分野の研究者を目指す方

 

◆◇◆ アカデミック講座とは? ◆◇◆

最新の観光・ホスピタリティ関連分野の研究や学術界の現状を知りたい方に、各分野の研究領域を、コンパクトにまとめ、ご紹介することを目的とした内容です。短時間で理解する「観光・ホスピタリティ関連分野の研究」講座です。さらに、観光関連、ホスピタリティ・ビジネスの研究、本業界に携わる方々と、研究者の相互理解の場でもあります。講師は、観光・ホスピタリティ分野の研究者であり、その研究成果を体系的に語れる人です。ゆえに、講義は体系的であり、調査や統計データに基づいた知識と研究成果の提供を行ないます。さらに、「机上の空論」に終始することなく、物事の見方や捉え方、思考することの重要性をわかりやすくお伝えしていきます。

本講座は、株式会社 アプリ(本社:東京都新宿区新宿3-1-22 NSOビル4F https://apptli.co.jp/)の賛同とご尽力により、開催するに至りました。




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【松岡孝介(まつおか こうすけ)氏プロフィール】

東北学院大学経営学部 准教授

明治大学経営学部卒業。明治大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。

大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程中退。2012年 博士(経営学)。

2013年9月~2014年8月 南オーストラリア大学ビジネススクール 国際経営大学院 客員研究員。

主に顧客関係性マネジメントと会計の関わりについて研究。特に,関係性の高い顧客(固定客またはリピーター)から安定的に得られ収益,すなわち「固定収益」を評価するための管理会計研究を行っている。また,固定収益を得るためには,顧客満足や従業員満足も欠かせないことから,10年以上にわたりホテル業における顧客アンケート調査や従業員アンケート調査に携わった経験がある。
東北学院大学では,宮城県の観光業に関わる研究・教育チームにも参画し、宮城県の旅館の女将を大学に招聘して行う講義「おもてなしの経営学」には,メンバーの一員として5年以上携わっている。その成果として,3冊の書籍(おもてなしの経営学:実践編,
理論編,震災編)を出版。さらに,最近では,宮城県塩釜市の観光客アンケート調査プロジェクトに参加し,市民向けプレゼンテーションや,オーストラリアの観光系研究者との共同研究も行っている。

 

主要論文

「従業員満足度,顧客満足度,財務業績の関係―ホスピタリティ産業における検証―」『管理会計学』第22巻第1号,2014年(共著)【2014年度日本管理会計学会論文賞受賞】

「顧客満足度の差異析にかかわる研究」『原価計算研究』第34巻第2号,2010年(共著)

「固定収益会計における差異展開の研究―Bathtub Modelの適応―」『原価計算研究』第33巻第2号,2009年(共著)

「顧客満足および顧客ロイヤルティと財務業績の関係に関する実証研究」『大阪大学経済学』第55巻第4号,2006年

 

主要著書

『固定収益会計に基づく財務業績及び非財務業績の差異分析の研究—収益管理会計を探求して—』SC2出版,2014年

『おもてなしの経営学[震災編]―東日本大震災下で輝いたおもてなしの心―』創成社,2013年(共編)

『おもてなしの経営学[実践編]―宮城のおかみが語るサービス経営の極意―』創成社2012年(共編)

『おもてなしの経営学[理論編]―旅館経営への複合的アプローチ―』創成社,2012年(共著)

『固定収益マネジメント』中央経済社,2005年(共著)

 

【日時】

2017年3月21(火)

19:00~21:00

【定員】

70人

【料金】

4,000円(税込)

【会場】 東京YMCA国際ホテル専門学校
東京都新宿区西早稲田2-18-12
TEL(03)3202-7480
 
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