【17.12.12】第六回「PHM養成講座」のMVP、西武HDの堤つばさ氏に決定

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           受賞が決まった西武HDの堤つばさ氏


宿屋大学は、今期で6度目となる「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座」を今年4月から開講し、12月9日に全六回すべての講座プログラムを終えた。最終日に開催された「最終プレゼンテーション会」では、受講生一人ひとりが学びと実践の成果を発表し、株式会社 西武ホールディングス シニアスタッフ の堤つばさ氏がMVP賞を受賞した。

MVP賞の審査基準は、「経営改善計画が具体的かつ明快か」「8カ月間の学びによって導き出されたことを活用して自社や事業にあった改善計画が考えられているか」「プレゼンテーション力」「自身の成長が感じられたか」「日ごろのグループワークなどのクラスメイトからの評価」などで、総合得点で最高得点となった受講者一人に送られる。

堤氏は、パワーポイントを活用し、一人10分という制限をしっかり守り、プリンスホテルの戦略と自身のキャリアヴィジョンをリンクさせ、8カ月間の学びをしっかり盛り込んだ秀逸なプレゼンテーションを披露した。

なお、第7回「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座」は、今期とほぼ同様の内容、スケジュールで調整中。年明けには受講申し込みを開始する(毎年、リピート企業で8割満席となりますので、希望者はお早めにご連絡ください)。




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12月9日に行なわれた「最終プレゼンテーション会」。
クラスメイトだけではなく、自分たちの上司、経営者、人事部長などが参観に。

 

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【17.12.05】連載「お金をかけずに今すぐできるWEB集客」vol.4

【前編】≪第4回 予備知識E「消費者の検索傾向」≫


宿屋大学メールマガジン読者の皆々様へ

こんにちは。(株)宿援隊 隊長の石井 太樹です。4回目をアップさせていただきます。
これまで【前編】として、予備知識@「企業の目的」、予備知識A「収益UPのために」、予備知識B「室料UPのために」、予備知識C「メタサーチ」、予備知識D「Real-Agtへのアロットメントにメス!そして奪還!!」というタイトルで進めてきましたが、今回は【前編】 = 予備知識の最後E「消費者の検索傾向」について述べます。

皆さんは、「初めて行く都市・温泉地・リゾート地」で、「インターネットでホテル・旅館を予約する」場合、どういう行動を取りますか?(ホテル・旅館を単独で取る場合です。航空機等とパッケージになったツアーは除きます)

おおむね、次の2つのいずれかではないでしょうか?

@「Google」や「Yahoo!」で、『東京 ホテル』、『箱根 旅館』などとキーワード検索(地域名+ホテル・旅館)
Aお気に入りのOTA(じゃらんネットや楽天トラベル)で検索

問題は、どちらが多数派かということです。
私のこれまでの調査経験からすると、 圧倒的に、@ < A です。
ユニーク数で言うと、3対7〜4対6の割合です。
「3対7〜4対6では、“圧倒的”ではないのでは?」との声が聞こえてきそうですが、やはり“圧倒的”なのです。
上記『@』のタイプの人を調べてみると、旅慣れていない人 = 利用頻度の低い人 が多いのです。「年に一度の家族旅行」、「学生時代の友人が結婚式を挙げるので(たまたま)その地域に行く」というのが典型例です。
一方、『A』のタイプの人は、「趣味=旅行」、「月1で温泉」、「週末はシティホテルで過ごす」など、旅慣れている人に加え、私のような、いわゆる“出張族”がそれに該当します。(私はホテル・旅館に130泊/年 します。)
すなわち、ユニーク数が3対7〜4対6であっても、『@』タイプの人と『A』タイプの人では、利用頻度が違うので、実数(延べ数)にすると1対9〜2対8になるという具合です。これならば“圧倒的”と言えますよね?



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=========================================★なぜ出張族が『A』 = OTAで検索・予約するか???★
それは大手OTAの認知度UPに加え、近年の出張旅費規程の変遷が大きく影響しています。すなわち、過去に多く見られた、どこに泊ろうと、決められた一定金額が支給される『定額精算』 (実費との差額はお小遣い⇒非課税、社会保険代も引かれない上、奥さんにもバレない)から、領収書記載の実費のみが支給される『実費精算』(必ず上限あり)が主流になっているからです。
これにより、ネット上だけでなく、リアルな店舗でも使える = 限りなく現金に近い、OTAのポイント制度がサラリーマンの細やかな楽しみになっているからです。紙面が許せば後述する【中長期収益編】で触れたいと思います。
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次にこの表をご覧ください。




これは、ある大手OTAにおける、とあるエリア(中エリア)における掲載順位によるクリック率です。(出所は控えさせていただきます)

1位表示だと15%もクリックされます。2位の10%も立派な数字ですが、1位に比べると落差が激しいですよね?
3位で7%、4〜5位で約5%、6〜8位が2%台、9〜14位が1%台です。
ご存知のように、じゃらんネットも楽天トラベルも1ページに30施設の掲載ですから、1ページ目の半分に位置して、ようやく1%クリックされる という具合です。

注)これは日付や人数を指定しないで、エリアを選んだ形での検索方法での数字です。日付や人数を指定した場合、当然ながら、上位から売れていきますので、高需要日については、結果として3位が1位に繰り上がったりすることはあります。

すなわち、上位に表示されるほどクリック率が高い⇒この数字が分母(入口)になるので、当然ながら、コンバージョン率、予約成約数が高くなるわけです。
したがって、まずは“予選リーグ”突破! = OTAでの上位表示をGetすることが肝要なのです。
※“決勝リーグ”は、もちろん、自社ホームページでの予約獲得です。

ちなみに、上記『@』タイプの人(「地域名+ホテル・旅館」で検索)に対する戦術が、いわゆるSEO(Search Engine Optimization)対策 = 検索結果上位表示対策ですが、『A』のタイプの人(大手OTAで検索)の方が圧倒的に多い状況では、SEO対策よりも大手OTAでの上位表示対策の方が遥かに有効ということです。(あくまで、大手チェーンでも著名ホテル・旅館でもない、地場独立系ホテル・旅館を対象にした話です)『消費者の検索傾向に合せた対策』を優先させる必要があります。




もう1つ、興味深い数字を紹介します。
それは『70%』です。
この数字はどういう数字かというと、OTAで検索した結果、興味を抱いたホテル・旅館の公式サイト= 自社ホームページ を閲覧する割合です。(初めてその地域に行く場合)いったいなぜ、消費者はわざわざそんな面倒くさい行動を取るのでしょうか?
それは、宿泊という商品が「形のない(見えない)」商品であり、且つ「非日用」商品だからです。

例えば、大好きな彼女とお付合いして初めての温泉お泊り旅行・・・男なら徹底的に調べますよね?
奥さん、長女、次女の女系4人家族の年に1度の家族旅行・・・ただでさえ家庭で虐げられているお父さん・・・ここで失敗したら口きいてもらえなくなるかも??? そうならないために一生懸命調べますよね?
初めての土地への女性の一人旅あるいは業務出張・・・立地・環境・セキュリティなど調べますよね?

そう、ホテル・旅館は一晩身体を預ける非日用商品・・・失敗したくない・・・だからより詳細な情報、あるいはタイムリーな情報を取りに公式サイトへ来てるんです。
これが日用商品の場合、例えば居酒屋を探している場合などは、食べログやぐるなびで検索して、いいお店が出てきたら、(そのお店のホームページは見ずに)そのまま予約 となります。高価でない日用雑貨をECサイトで探して購入する場合なども、その商品メーカーの公式サイトを見ることはないのではないでしょうか?
繰返しますが、ホテル・旅館は、多くの人にとって非日用・非日常商品なんです。だから(特に初めての場合)調べるんです。

以上から、大手チェーンでもなく、知名度・ブランド力に劣る、地場独立系ホテル・旅館が執りうる現実的な戦略は、

@まずは、OTAで魅せる! → 予約獲得!! → 上位表示!!!
Aその上で、自社ホームページで魅せる! → 予約獲得!!

となるわけです。




なお、前回のメルマガで触れた『メタサーチ』ですが、テレビコマーシャルを打つなど、「第3の検索方法」として、認知度UPを図っていますが、こと国内需要については、現段階で、業界及び業界関係者での認知度はあるものの、一般認知は大手OTAに比べるとまだまだだと思われます。それだけ我が国においては、じゃらんネットや楽天トラベルが認知度を先に取ったということです。(ガラパゴス的進化かもしれません。)但し、そう遠くない将来、必ず一般認知がなされると予想されるので、対策が必要です。(ここでは触れられませんが・・・)


次回からは、これまでの【前編】 = 予備知識を踏まえ、いよいよ【短期収益編】に入ります。
まずは、《OTAで魅せる → 獲得 → 上位表示!》 @「上位表示の重要性と仕組み」 について触れ、
次に、A「OTAでの露出実例検証」をしたいと思います。


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“WEB集客とレベニューコントロールのプロ集団”
 株式会社 宿援隊 代表取締役社長
 株式会社 宿力 取締役東京支社長 
 石井 太樹
 http://yado-riki.com/
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【17.11.09】連載「お金をかけずに今すぐできるWEB集客」vol.3

【前編】 ≪第3回 予備知識B「室料UPのために」の続き 予備知識C「メタサーチ」 予備知識D「Real-Agtへのアロットメントにメス!そして奪還!!」≫


宿屋大学メールマガジン読者の皆々様へ

こんにちは。(株)宿援隊 隊長の石井 太樹です。連載3回目をアップいたします。
前回、「収益UPのために」、「室料UPのために」と称し、閑散日の集客より繁忙日の単価、とりわけ室料を上げる方が有効であることをお伝えしました。そして、そのためには、「ユニフォーム会計」、「レベニューコントロール」の考え方が必要であることを記しました。

今回はまず、前回触れられなかった「Rev-PAR」の考え方について記します。

「Rev-PAR」とは、“Revenue Per Available Rooms” のことであり、ホテル専門学校では、客室総売上 ÷ 客室総数(結果として、= 平均客室単価 × 稼働率)と教えられるケースが多いのですが、この説明で理解する学生は残念ながら少数派です。

ここに10室のビジネスホテルがあり、とある日、9,000円で2室、10,000円で2室、11,000円で2室の計6室が売れました。(4室は売れませんでした。)

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この場合、

客室総売上は60,000円 = 9,000+9,000+10,000+10,000+11,000+11,000
客室稼働率(OCC)は60% = 6室÷10室
平均客室単価(ADR)は10,000円 = 60,000円÷6室

ということになります。

では「Rev-PAR」は???
答えは、60,000円÷10室 = 6,000円 となります。

つまり、「Rev-PAR」は、売れなかった客室の売上を「0円」と捉え、上記ケースでいえば、「÷6」ではなく「÷10」で算出します。

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「Rev-PAR」とは、すなわち、『売れなかった客室をも含めた平均客室単価』であり、
よって、「客室総売上 ÷ 客室総数」となるわけで、さらに結果として、「平均客室単価 × 稼働率」となるわけです。

この「Rev-PAR」を上げることこそが、企業の目的である収益UPに直結します。

「Rev-PAR」は、「平均客室単価 × 稼働率」なので、それを上げるためには、単価と稼働率を上げることが必要となります。
ただし、同じ景気状況下では、単価と稼働は、いわば綱引きの両サイド = 相反する概念(例:単価を上げれば稼働は下がる) なので、実際には、単価か稼働のいずれかを上げることになります。

ちなみに、ハーバードビジネスレビュー編集部の「価格戦略を知るものが『利益』を制す」によれば、1%の単価UPは収益効果11%、1%の数量(ホテルでいえば稼働)UPは収益効果7%、1%の経費削減の収益効果は3%とのこと。

収益効果については、経費削減 < 数量(稼働) < 単価 の順となります。
※筆者は、このことを宿屋大学の小林先生(C&RM株式会社 代表取締役社長)から教わりました。また、筆者自身のホテル時代に経験した、とあるリゾートホテルでのシミュレーションでは、

A.単価を10%上げて、稼働が10%下がった(売上ほぼ変わらず) ⇒ 利益大幅増
B.単価を10%上げて、稼働が15%下がった(売上減少) ⇒ 利益増
C.単価を10%上げて、稼働が18%下がった(売上減少) ⇒ 利益同額
となりました。

A、B、Cいずれのケースも、限られた設備・サービスのなか、お客さまの数が減るので、顧客満足(クチコミ)UP→新規誘客&リピート率の向上という副産物も生じました。
つまり、ケースCの場合でも、中長期的に見れば利益増となるわけです。
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予備知識C「メタサーチ」

次に「メタサーチ」について、軽く触れます。

「メタサーチ」とは、国内OTA、海外OTAに加え、JTBなどReal-AgtがWEB上で販売している宿泊プランまで横断的に検索するサイト(価格比較サイト、最安値検索サイト)のことで、具体的にはtripadvisor、trivago、フォートラベルなどが挙げられます。また、近将来、Googleの本格参入も予測されます。

下記画像をご覧ください。

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これは、とある日の、とあるホテルを、とあるメタサーチで検索した結果です。
最安値は、Real-Agt商品の11,200円。これに対し、OTAの同様宿泊プランは83,400円です。

(この83,400円が適正であるかどうかは別として)“固定価格制”であるReal-Agtの商品をWEBで販売してしまうと、“変動価格制”であるOTAや自社ホームページの価格と大幅な開きが生じてしまい、みすみす収益の最大化を放棄してしまうという結果になります。

また、「自社WEBベストレート」などとホームページで謳っている場合などは、クレームの原因にもなりますし、特に親会社が上場している場合などは、非公正表示、コンプライアンス違反となるリスクすらあります。

ちなみに、上記Real-Agtの価格は、航空券やJR券と抱合わせて販売するための価格(IITレート、募集型企画旅行価格)であり、ホテル側はそれをWEB上で“バラ売り”することに同意しているものと推察されます。Real-Agtの商品造成の際、WEBでの“バラ売り”に同意しないことが肝要かと思われます。

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予備知識D「Real-Agtへのアロットメントにメス!そして奪還!!」

今回の最後はReal-Agtへのアロットメント(客室提供)についてです。
皆様のホテル・旅館では、Real-Agtへの客室提供について、毎回どのように決められておりますでしょうか? “前例踏襲” = 「これまで10室提供していたから、今回も10室提供」などとなっていたりはしませんか?

もしそうなら、それはイコール考えることと収益の最大化を放棄していることになります。インターネットがこれだけ普及した昨今、Real-Agtへのアロットメントは、もはや聖域ではありません!

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とはいえ、私はなにも、Real-Agtやアロットメントが全て悪いなどと述べているつもりは毛頭ありません。重要なのは、その精査・検証なのです。

私もホテル時代、Real-Agtの商品造成少しだけかじったのですが、その際、需要の高い・低い により、シーズナリティを決めます。
低需要日から高需要日の順で、ABCDEFGHIJ・・・という感じです。
ホテル・旅館側が送客してほしいのは、平日・閑散期にあたるA・B・Cです。

他方、GWや夏休み、年末年始、三連休などの特日が該当するH・I・Jについては、手数料が発生しない自社HPや低手数料の国内OTAで、黙っていても高値満室が見込める日です。

問題は、シーズナリティ毎の送客のバランスなのです。

A・B・Cもそこそこ送客してくれるからこそ、H・I・Jの客室も提供する というのなら話はわかります。

ホテル・旅館にとって、弱いところを送客してくれるのだから、特日に客室を提供する・・・理に叶っていると思いますし、これこそ“持ちつ持たれつ” = 真のビジネスパートナー関係ですし、義理人情の世界にも通ずると思います。

ところが、契約Real-Agt毎によく調べてみると、「たまに入ってきたかと思えば、特日」「送客は年3件のみで、GWとお盆と年末年始」「3年続けてシーズナリティA・B・Cの送客ゼロ」なんていうReal-Agtがきっとあるはずです。

そういうReal-Agtに提供しているアロットメントをビジネスライクに解約して、WEBに回し、収益の最大化を図るのが肝要なのです。

注@)精査・検証する際、FIT(個人予約)のみでやってはダメで、修学旅行を含む団体、あるいはランチストップ(日帰り昼食)の送客を加味⇒ホテル・旅館トータルで考える必要があります。
注A)精査・検証する際、売上ベースでみるとアンフェアになります。低需要日は単価が低く、高需要日は単価が高いからです。シティホテルやビジネスホテルでは延べルームナイツ、リゾートホテルや旅館では延べ人泊で検証するのがベターです。

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とある福岡のターミナル駅直結のホテル(約200室)では、約170室を多数のReal-Agtへアロットメント提供していました。この170室の提供は、インターネットがない時代からの踏襲で、特にビジネス的な論拠はありませんでした。しかも半数は手仕舞いが当日昼という状態で、カラで返ってくることも多々あったということです。

オーナーが変わり、上記、精査・検証を実施した結果、1社を残し、それ以外全てのReal-Agtと解約⇒WEBに回し、収益の最大化に成功しています。

ちなみに、残った1社は、低需要日であるA・B・Cをそこそこ埋めてくれていた超大手Real-Agtで、結果としてアロットメントが増えた ということを付記しておきます。(繰返しますが、全てのReal-Agtが悪いというわけではありません。精査・検証が必要ということです。)

最後に、Real-Agtからのアロットメント“奪還”方法について触れます。
“奪還”方法には「強硬奪還」と「穏健奪還」があります。(以下は、あくまで個人的に聞いた話です)

「強硬奪還の」具体事例は、日本屈指のテーマパーク系ホテルで、先ずは半年毎に各Real-Agtと目標数字をニギリます。その際、特日であるシーズナリティH・I・Jについては、アロットメント消化率100%を大前提にします。(GWやお盆、年末年始等なので当たり前ですよね?)その上で、A・B・C(もちろんD〜Jも)もそこそこ売らないと達成しない数字を目標数値とするわけです。

半年後に結果が出ます。Real-Agtから見て、大勝(例えば達成率120%)だった場合、当該Real-Agtに対するアロットメントは増えます。但し、実際にはほとんどないようです。勝ち、すなわち目標達成の場合、当該Real-Agtへのアロットメントは現状据置き、惜敗の場合は半減、大敗の場合はゼロ、すなわち解約 になるという具合です。
例えば、2シーズン連続で惜敗した場合、アロットメントは当初の1/4になってしまいます。

このホテルでは、これを繰返し実施することで、収益の最大化を実現しています。
しかしながら、ブランド力や知名度のない地場独立系ホテル・旅館では、上記施策は非現実的です。

そこで現実的な「穏健奪還」が必要となってくるわけです。
「穏健奪還」は、具体的には

@手仕舞い日を長くする
A返室の手続きを変える(「返室依頼書をFAX→電話で到着確認→先方責任者の承諾サイン記載のFAX返送・・・この時点で返室相成る」という手続きを、「返室依頼書をFAX→電話で到着確認、その際電話相手の名前を確認・・・この時点で返室相成る」というふうに変える)
BReal-Agtスタッフ(特に支店スタッフ)の名前や偽名、“野比のび太”等での仮押さえをしないことを約束させる

ことです。

この条件なら、ほとんどのReal-Agtが飲んでくれるのではないでしょうか?(実際、飲んでます。でないと、Real-Agt側に、解約になってしまうリスクが生じますから・・・)

Real-Agtとのお付合いの仕方を変え、WEB予約を増販することで、是非、収益の最大化を図ってみませんか?

次回は、予備知識E「消費者の検索傾向」について触れたいと思います。



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“WEB集客とレベニューコントロールのプロ集団”
 株式会社 宿援隊 代表取締役社長
 株式会社 宿力 取締役東京支社長 
 石井 太樹
 http://yado-riki.com/
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連載「お金をかけずに今すぐできるWEB集客」

宿屋大学の人気講師である(株)宿援隊 代表取締役社長で(株)宿力 取締役の石井 太樹氏による連載。ホテルや旅館が、お金をかけずに、すぐに実行に移せるWEB集客の考え方やテクニックを伝えていただきます。


第1回「企業の目的」

第2回 予備知識A「収益UPのために」 予備知識B「室料UPのために」

第3回 予備知識B「室料UPのために」の続き 予備知識C「メタサーチ」
    予備知識D「Real-Agtへのアロットメントにメス!そして奪還!!」


第4回 予備知識E「消費者の検索傾向」

第5回 OTAで魅せる → 獲得 → 上位表示! @「OTA上位表示の重要性と仕組み」

第6回 OTAで魅せる → 獲得 → 上位表示!A「OTAでの露出 実例検証(1)」

第7回 OTAで魅せる → 獲得 → 上位表示! A「OTAでの露出 実例検証(2)」

第8回 自社ホームページで魅せる → 獲得!@ 「“自社直”が大切なワケ」
    「“自社直”増販5大鉄則」 「ホームページの影響範囲」
    「ホテル・旅館のホームページの役割」


第9回 自社ホームページで魅せる → 獲得!A「ホームページの1面トップに何を載せるか?」

≪第10回 自社ホームページで魅せる → 獲得!A「ホームページの1面トップに何を載せるか?」 PC編≫

≪第11回 自社ホームページで魅せる → 獲得!A「ホームページの1面トップに何を載せるか?」 スマホ編≫

≪第12回 = 最終回 レベニューコントロール = リストリクション(販売制限)≫











【17.10.04】連載「お金をかけずに今すぐできるWEB集客」vol.2

第2回 予備知識A「収益UPのために」 予備知識B「室料UPのために」


宿屋大学メールマガジン読者の皆々様へ

こんにちは。(株)宿援隊 隊長の石井 太樹です。
前回に続き、2回目のメールマガジンを配信させていただきます。

前回、企業の目的は、(短期的及び中長期的 両面での)利潤の追求であることを述べました。
今回は、その利益を生むための考え方や手法について触れたいと思います。

ホテル・旅館業界において、利益を上げるためには、2つの施策があります。
1つは、
@閑散期など、需要の弱い日・季節に1人でも多くのお客様にご利用いただこうとする施策
もう1つは、
A高需要日(特日)の単価を上げる施策です。
どちらも大事な施策ですが、皆さんは、どちらの施策がより効果的・効率的だと思われるでしょうか?

答えは『A』です。
『@』もとても大事な施策ですが、閑散日・閑散期の需要には限界があり、千客万来というわけにはいきません。

他方、『A』については、データ上、あるいは経験上から高値満室が見込める日であり、収益UPのためには、こういう日の単価、とりわけルーム単価(室料)を上げる方がより効果的且つ効率的なのです。

因みに、『@』の施策は、後に【短期収益編】第4回〜第7回で触れる「4露出の充実」 = 自社ホームページ(PC)、自社ホームページ(スマートフォン)、国内大手OTA2社での露出を充実させ、競合他館に比して、少ない需要から「選ばれる宿」にすることです。


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さて、利益UPのためには、高需要日の単価、とりわけルーム単価を上げる施策の方がより効果的・効率的であることは、ご理解いただけたかと思います。

では、そのルーム単価を上げるには、3つの考え方が必要となります。
それは、「ユニフォーム会計」、「レベニューコントロール」、「Rev-PAR」です。
いずれも横文字で難しそうな用語っぽいですが、そんなことはありません。順に1つずつ説明していきます。

まずは「ユニフォーム会計」についてです。

「ユニフォーム会計」の“ユニフォーム”とは、“統一の”とか、“お揃いの”という意味で、スポーツ選手が来ているユニフォーム、あるいは、ホテルや旅館の皆さんが来ている制服のことでもあります。すなわち、国際的に統一のホテル会計のことです。

「ユニフォーム会計」を一言で表すなら、“分解”です。
例えば、ある旅館で1泊2食付@10,000の商品が月に1,000人分売れたとします。
この場合、売上は@10,000×1,000=¥10,000,000となり、旅館経営者によっては、「売れた売れた」「儲かった儲かった」となってしまう方もいます。それでは“ドンブリ勘定”です。

「ユニフォーム会計」では、この1泊2食付@10,000を、例えば、室料@6,000、夕食@3,000、朝食@1,000 と“分解”し、月に1,000名分売れたのであれば、

室料収入:@6,000×1,000 = ¥6,000,000
料飲収入:(@3,000+@1,000)×1,000 = ¥4,000,000(内、夕食¥3,000,000、朝食¥1,000,000)
と把握します。

繰返しますが、室料収入(ルーム売上)を上げることが、収益UPに有効です。
参考までに、食材原価率については、総売上を分母にするのではく、“分解”した後の夕食売上、朝食売上を分母にします。(私の経験、お付合では、1泊2食の総売上を分母にしている旅館経営者の方の方が多いように感じます。)

次に「レベニューコントロール」についてです。
※「レベニューマネジメント」という言葉の方が聞き慣れている方が多いかもしれませんが、「レベニューマネジメント」という単語を、単なる価格の吊上げ というふうに誤解されている方もいらっしゃるので、敢えて「レベニューコントロール」という言葉を使わせていただきます。

「レベニューコントロール」は、
A.需要と供給のバランスで価格を決定する
B.販売制限 = リストリクション をかける
2つの手法があります。

『A』については、都市部のチェーンホテルで見受けられるように、需要予測と実際の入込み = オンハンド により室料を上げていくやりかたで、実際には、例えば、これまでシーズナリティ「E」で売っていたが、予想以上に入込みがいいのでシーズナリティを「F」に上げる という手法が取られています。

この場合、“早得遅損”が大原則です。入込みが悪いからといって、同じ宿泊プランの販売価格を直前で下げると、既存予約のキャンセル→取り直し(乗換え)が起きるばかりでなく、「あのホテルはどうせ前日・当日に値を下げるから・・・」という認知ができてしまい、先予約が取れなくなってしまいます。(「●●ホテル、毎日恒例の当日値下げ」などとSNSで呟かれている事例すらあります。)直前で入込みが悪い場合の対策は、販売済み宿泊プランの値下げではなく、チェックインが遅い、チェックアウトが早い、部屋タイプが選べない など、制限があったり、クオリティが低かったりするリカバリープランの販売 というのが現実的です。

『B』については、3つの販売制限 = コントロール をします。

それは、売上・利益に効く順で、
(1) 同伴係数 = 一室人数 コントロール
(2) 宿泊プラン“松竹梅” コントロール
(3) 販売チャネル コントロール
です。

『(1)』一室人数のコントロールは、例えば和室12畳 定員4名という部屋があった場合、平日・閑散期であれば、1名一室だろうと2名一室だろうと予約を取っていく必要があるのですが、高需要日については、4名一室を優先的に取っていく、すなわち1〜3名一室の販売を制限することが収益の最大化に繋がります。

実際に、都市部にあるチェーンホテル(主にベッド幅154cm)について、週末、1名一室で検索すると客室在庫が出てこない = 満室表示なのに、2名一室で検索するとダブルルームが出てくる などということもしばしば見受けられます。

『(2)』宿泊プラン“松竹梅”のコントロールは、例えば、1泊2食付プラン松・竹・梅、それに1泊朝食付、素泊り という5種類の宿泊プランがあった場合、平日・閑散期であれば、1泊朝食付だろうと、素泊りだろうと予約を取っていく必要があるのですが、高需要日については、「松プラン」を優先的に取っていく、すなわち「竹プラン」以下の販売を制限することが収益の最大化に繋がります。

上記「一室人数コントロール」と「宿泊プラン“松竹梅”コントロール」を併用して行なうと収益はみるみるうちに向上します。

『(3)』販売チャネルコントロールは、後に【短期収益編】第4回〜第5回で触れる大手OTAでの掲載順位で、恒常的に上位表示が取れていることを大前提に、高需要日について、海外OTA→国内OTA→自社直販売 の順で販売チャネルを絞っていく手法です。これを実施することにより、例え売上が変わらなくても、利益UPが図れます。

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なお、温泉旅館やリゾートホテルについて、上記コントロールが必要な日数は、概ね50〜60日/年 です。

ホテル・旅館は、典型的なキャパシティビジネス。すなわち、(メーカーと異なり)日毎の増減産ができない、上限が決まっているビジネスです。なので、高需要日について、「お客様を選ぶ」こと ⇒ 「2名一室のお客様より4名一室のお客様を選ぶ」、「素泊りのお客様より1泊2食付“松”プランのお客様を選ぶ」ことが必要となります。
(「新規のお客様より常連さんを選ぶ」については、【中長期収益編】第9回〜第10回で触れます。)

※「Rev-PAR」については、次回に回します。

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“WEB集客とレベニューコントロールのプロ集団”
 株式会社 宿援隊 代表取締役社長
 株式会社 宿力 取締役東京支社長 
 石井 太樹
 http://yado-riki.com/
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【17.09.06】新連載「お金をかけずに今すぐできるWEB集客」

第一回「企業の目的」



初めまして。(株)宿援隊 代表取締役社長で(株)宿力 取締役の石井 太樹と申します。これまで東京、大阪、福岡、札幌と、幾度となく宿屋大学さんには登壇させていただきましたが、この度、主宰の近藤寛和さん(私と同い歳)から「メールマガジンの連載をしてみませんか?」との打診を受け、メルマガを発信させていただくこととなりました。

これまで宿屋大学さんで喋ってきたこと、また一受講生として学んだこと、経験や職務上得た知識を体系的に、わかり易く発信していく所存ですので、お付合いの程、どうぞよろしくお願いいたします。

はじめに、当メールマガジンの正式なタイトルは、

『お金をかけずに今すぐできるWEB集客
   〜非チェーン・ノンブランド = 独立系ホテル・旅館が採りうる、
    リピーターを重視しながらの収益最⼤化のための現実的販売戦略〜』

となります。 “お金をかけずに” と “今すぐ” がキモです。
昨今、流行りのインバウンドではなく、あくまで国内需要を掘り起こすことを目的にしています(時代に逆行?)。

予備知識的な【前編】を経て、【短期収益編】【中長期収益編】と続く、全12回の連載です。


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次に、私の職歴を紹介させていただきます。


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ホテル・旅館で主に営業畑を17年間にわたり歩んだ後、ホテル・旅館専門のIT企業に5年、ホテル・旅館専門のWEB集客支援企業である(株)宿力に3年お世話になり、人生半世紀の節目となった、先日7月6日、(株)宿援隊を設立し、代表取締役社長に就きました。 ※(株)宿力には、役員として籍を残しております。


(株)宿援隊の社是は、『宿願成就』(宿の願いを成就させる)と『以他利為自利』(他利を以って自利と為す)です。宿援隊の「宿」には、「祝」の意味を、「援」には、「縁」「宴」「円」「燕」の意味を、「隊」には、私の一文字である「太」の意味をも込めています。


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こんな顔しています。


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それでは、早速ですが、【第1回 予備知識@「企業の目的」】について触れたいと思います。

皆さんは「企業の目的」ってなんだと思いますか? それは、中学3年生の公民の教科書に載っています。中学3年生は、公民という科目で、1学期に政治分野(憲法、各国の政治制度、基本的人権など)を学習した後、2学期(正に今の季節)になると経済分野を学び始めます。そこで初めて『企業』なるワードが出てくるわけですが、そこに『企業の目的:利潤の追求』と載っています。


そう、企業の目的は、(ドライに言えば)『利益の追求』なのです。
なかには、「顧客満足(CS)」とか「従業員満足(ES)」とか、あるいは「社会貢献(CSR)」などと言う方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、それらはすべて『目的』ではなく、利益を創出するための『手段』です。もっといえば、「売上UP」や「稼働率UP」、「経費削減」も収益を上げるための1つの『手段』です。




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利益は、後に@会社還元 = 内部留保(もしもの際の備え) A顧客還元 = 投資 B従業員還元 = 賞与・昇給 C株主還元 = 配当 D社会還元 = 法人税 の5方向に還元されることを付記しておきます。

企業の目的は、(短期的及び中長期的 両面での)利潤の追求であることを踏まえた上で、次回、ホテル・旅館における、利益を出すための具体的手法、考え方について触れたいと思います。


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“WEB集客とレベニューコントロールのプロ集団”
 株式会社 宿援隊 代表取締役社長
 株式会社 宿力 取締役東京支社長 
 石井 太樹
 http://yado-riki.com/
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【17.05.05】ホテルマネジメント雑学ノート(Vol.94)

世界で選ばれるための“おもてなし”ではない、星野リゾートの競争優位性とは

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「おもてなし」を売りにするわが国ですが、サービス業の代表格といえるホテルというビジネスにおいて、国際競争力を持つ企業は非常に少ないのが現状です。1980年代、日本のホテル企業も多数が海外進出を行なっていたことがありました。けれども、それらは海外出張や海外旅行をする日本人マーケットを主な顧客としたホテルばかりです。日本経済に元気がなくなり海外に行く日本人が減っていった今では、ほとんどの日系ホテルが海外から撤退しています。自動車産業を筆頭に日本の製造業各社は世界を席巻しているにもかかわらず、宿泊業の企業が増えないのはなぜなのでしょうか。ここ数年で、宿泊特化型ホテルのアジア展開には目を見張るものがあるものの、「おもてなし」を手厚くするラグジュアリークラスのホテルは振るいません。 「世界のホテルビジネスにおいて、“おもてなし”は強みになるのか」「日本のホテル企業が世界で選ばれるにはどうしたらいいのだろうか」ということが私のここ数年の問い掛けなのです(参照:ホテルマネジメント雑学ノート(Vol.72)「“おもてなし”は、国際的な競争優位性になるのか」)


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 そんななか、星野リゾート(本社:長野県軽井沢町、代表:星野佳路)が、 2017年1月20日、バリ文化・芸術の中心地であるウブドエリアに6つめの「星のや」となる「星のやバリ」を開業されました。アマンやリッツ・カールトン、フォーシーズンズといった世界に名だたるラグジュアリーリゾートが軒を連ねるバリ島・ウブドエリアへの参戦です。星野リゾートは、ここでどんな戦い方をするのか。それを取材すれば、日本の宿泊企業の競争優位性が分かるかもしれない。そんな好奇心で3月に現地を取材しました。『HOTERES』(4月28日号)や『国際ホテル旅館』(4月20日号)にてレポートを掲載させていただきましたが、こちらのブログでもシェアしたいと思います。


ラグジュアリーリゾート激戦区、バリ島

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 バリ島のなかでも、山間部の観光地であるウブドは、グローバルラグジュアリーブランドのリゾートが軒を連ねる激戦区です。約20年前、ビーチ沿いではなく棚田が見渡せる山間エリアでも極上リゾートがつくれることを証明した「アマンダリ」が誕生して以来、次々に高級リゾートが開発されていきました。今回開業した「星のやバリ」はウブドの中心地の東側、これまでまったく開発されてこなかったロケーションに誕生しました。まずは、「星のやバリ」の概要から解説します。

 アマンダリが革新的だったのは、オン・ザ・ビーチというロケーションでなくとも十分にラグジュアリーリゾートが成り立つことを証明したことだけではありません。ヴィラ・タイプというスタイルをバリ島で確立させたのもアマンダリでした。ヴィラ・タイプとは、ビルディング・タイプのホテル棟からなるリゾートホテルとは一線を画し、一つひとつの客室がすべて一戸建てになっており、高い壁で覆われ、その敷地の中にリビングルームやベッドルーム、ガゼボやバスルーム、プライベートプールがあるタイプのリゾートです。アマンがバリに誕生して以来、多くのヴィラ・タイプのリゾートホテルがバリに誕生しました。その数や100以上あると思います。
 今回誕生した「星のやバリ」もヴィラ・タイプです。しかし、これまで作られたものとは少し趣が違っています。セミ・プライベート空間を作った点です。30あるヴィラが最長70mにもおよぶ運河を模した3つのプールを囲む形で建てられ、ゲストは自分のヴィラから直接プールに入ることができます。典型的なヴィラ・タイプのリゾートは、高い塀で敷地を覆い、プライベート空間が配置されている造りになっているのですが、「星のやバリ」は、あえて完全なプライベート空間をつくりませんでした。対岸のヴィラにいるほかのゲストの気配をなんとなく感じることで心地良さを感じる演出を施したそうです。東洋的な配慮といえます。
 ヴィラは3タイプ(ヴィラ・ブラン14室、ヴィラ・ソカ11室、ヴィラ・ジャラク5室)。すべては寝室、バスルーム、ガゼボ、リビングがあり、占有面積はどれも約200uあり、ゆったりと開放的な造りになっています。また、すべてのヴィラのベッドヘッドには壁一面に見事な手掘りのウッドカービング(彫刻アート)が飾られています。


施設内に溢れる多彩な魅力

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 約3haある「星のやバリ」の敷地は、フラットな部分と深い渓谷のエッジ部分の二つに分かれています。前述のヴィラや運河プール、レセプションなどはフラットなエリアにレイアウトされており、渓谷に面した急傾斜部分にはカフェ・ガゼボやスパが配置されています。それらをウッドウォークがつなげています。渓谷に向かう断崖には鳥かごのような7つのカフェ・ガゼボが、まるで浮かんでいるかのように設置されていました。
 また、リゾート全体に潤いを与えているのが、「スバック」と呼ばれるバリの伝統的な水利システム(用水路)。このスバックには、つねに豊富な水が勢いよく流れています。
 スパは、ガゼボが点在するパブリックゾーンからさらに下の渓谷の中腹に建てられています。たった10数メートルの高低さですが、あえてリフトを設置しており、ゲストは空間移動することで気分を高揚させています。
 そのほか、ライブラリーやショップ、ダイニングやヨガガゼボ、そしてバリならではのバリヒンズー寺院などが点在し、このリゾートの飽きさせない魅力を演出していました。


懐石料理スタイルのコンテンポラリーバリ料理

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 料理は、「コンテンポラリーバリニーズ」。一言でいうと、バリ料理と日本料理の技法や食材をフュージョンさせたスタイリッシュな料理。料理長の三山口誠料理長は、「星のやバリ」の料理の特徴を次のように語ってくれました。
「バリの料理は基本的にコース仕立てではないのですが、今回こちらでは、日本の技を活かした演出で、新しいスタイルのバリ料理を提供することを試みました。スモールポーションの料理を10品提供するのですが、器にも凝って、目でも楽しめる料理を提供しています。また、だしを使ったり、刺身を提供したりという日本料理のエッセンスも加えています」
 絶品でした。バリのホテルでいただく料理はどんなに高級ホテルであっても正直味は期待できないのですが、三山口誠料理長プロデュースのコース料理はびっくりするくらい美味しく、間違いなく「星のやバリ」の大きな魅力になると確信しました。


“おもてなし”は強みか否か

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伊藤靖兼総支配人(左)とオペレーションマネジャーの小林麻里さん(右)


 スタッフ総数75人のところ、日本人スタッフはたった3人です。伊藤総支配人と三山口誠料理長、そしてオペレーションマネジャーの小林麻里さん。伊藤総支配人が長期的な戦略策定をしたり、集客・獲得施策を行なったりするのに対し、小林さんの仕事は日々の運営の構築やスタッフトレーニング、スタッフのケアなど、運営全般、サービスチーム育成業務全般を担当しています。よりよい運営をし、スタッフを巻き込んで魅力づくりをして満足度を上げていく。内側を守る役割です。
 海外において、星野リゾート独自のマルチタスクによるサービスチームづくりの難しさはどんなところにあるのでしょうか。小林さんに聞いてみました。
「日本におけるホテル開業でしたら、主要ポジションに星野リゾートの手法や哲学を理解しているスタッフがいるので、組織全体への浸透は早いのですが、ここにおいては一人ひとりのスタッフに対して一から十まで私一人で伝えていなかければいけないところが難しいところです。また、コミュニケーションも英語ですので、より時間がかかります」


言わなくても察して気付く

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 もう一つ、かねてから関心のある疑問を最後に聞いてみました。「日本の“おもてなし”の精神は、ホテルビジネスにおいて国際競争優位性になるのだろうか」という例の疑問です。星野代表は、「おもてなしは、強みにはならない」と明言していますが、現場においてはどのように感じているのでしょうか。
「言わなくても察して気付くという感性は日本人の特性だと感じています。お客さまは何を求めているのかを考えて当てていく力でしょうか。ただ、その察する力を海外の方に伝え、トレーニングによって彼らができるようになるスピードを早められるかどうかは、正直模索中です。いまは、背中で伝えるという方法で伝えています。脱いだ靴は揃える、電話を切る際は指で押さえてから受話器を置くなど、私たち日本人スタッフが率先垂範することで、彼らは学んでいくようです。また、私はアメリカで留学をしていたことがあるのですが、アメリカ人が接客をする際は、チップがもらえるから手厚いサービスをするということを感じます。ところが、日本人はチップのあるなし関係なく、人に何かをして差し上げたい、喜んでいただきたいという気持ちがあるように感じます。そして、それはバリ人にも感じています。ですので、彼らたちの気持ちをどれだけ一緒に形にしてあげるかだと思っています」


労働生産性とローカル文化の魅力の発信

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 星野リゾートが選ばれる理由を、伊藤靖兼総支配人に質問しました。
「このプロパティのオーナーからは、星野リゾートを運営パートナーに選んだ理由は、サービスチームや旅館メソッドなど、競合のグローバルホテル企業がやっていないことだと聞いています。また、30室という、『大規模ではない』というところは我々星野リゾートの強みであり、今回の規模感とも合致しています。部屋数が少なくて効率性を担保していくという点は、我々のサービスチームの手法がフィットします。競合他社に比べて圧倒的に少人数で運営できるという点も大いに評価されたと感じています。サービスチームによるマルチタスクは、縦割り組織である西洋発のホテル企業や大型ホテル組織との圧倒的な差異だと思います。
 また、もう一つ競合との差異を考えると、『文化の訴求のプロセス、進化の方法』が挙げられます。既存のリゾートホテルも、バリ文化の提案は積極的にやっていますので、それだけでは差異化になりません。そのプロセスが星野リゾート独自の手法です。どういうことかと申しますと、経営サイドが考えて現場に落とすのではなく、現地のスタッフたちが自分たちで『ローカル文化の魅力や経験価値』の提案方法を考案して自分たちで運営するというスタイルです。それが強みだと思っています。地元スタッフは、自分たちの文化や伝統のことになると、積極的に意見を出したり行動したりします。『ガムランの演奏』や『チャナンづくり』のアクティブティなどはその好例です」

 グローバルホテルブランドとしては後発の「星のや」だが、「高い労働生産性を編み出すサービスチーム」と「地元スタッフが次々に考案する魅力発信という旅館メソッド」という独自の強みは、どれだけ世界で認められるのか。今後に大いに期待したいですね。


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【施設概要】
施設名:星のやバリ
所在地:Br. Pengembungan, Desa Pejeng Kangin, Kecamatan Tampaksiring, Gianyar 80552 Bali, Indonesia
URL http://hoshinoya.com/
客室:全30室(ヴィラタイプ) 敷地面積:約3ha
パブリック施設:プール・メインダイニング・カフェ・テラス・スパ
チェックイン 15:00 チェックアウト 12:00
料金:1泊1室 Rp 9,000,000 (税金・サービス料込)
交通:デンパサール空港(バリ国際空港)より車で70分
総支配人:伊藤 靖兼

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【17.02.15】第六回「PHM養成講座」説明会

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□□ 【参加無料】第六回「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座」説明会
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宿屋大学は、看板講座である「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座」の六回目
を開講します。日程は、4月15日(土)〜12月9日(土)、隔週土曜日の半日講座、
全16回という構成です。

http://yadoyadaigaku.com/program/BS1701.html


受講申し込みを迷っている方のために、説明会を開催します。
1時間ほどで、主旨や内容、講師の紹介、過去の受講生を交えたQ&Aなどを行ない、
PHMリアルをお伝えしたいと思います。

【こんな内容です】
 ●PHM講座が目指すもの
 ●対象者、過去の受講生のプロフィール
 ●全16講座の内容と講師陣
 ●学びのスタンス
 ●受講生の成長と昇進と現場の変化
 ●応募要項
 ●個別相談会(希望者のみ20時以降に行ないます)

【こんな人を対象にしています】
 ●プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座の受講を検討している人
 ●プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座に社員を派遣したいと考えている
  人事担当者、経営者の方

【日時】 説明会は二回開催します(二回とも同じ内容です)
   ●一回目 2017年3月1日(水)19:00〜20:00
    申し込みは → http://yadoyadaigaku.resv.jp/direct.php?type=5&direct_id=4722

   ●二回目 2017年3月23日(木)19:00〜20:00
    申し込みは → http://yadoyadaigaku.resv.jp/direct.php?type=5&direct_id=4723

【料金】 無料
【会場】 東京YMCA国際ホテル専門学校
   東京都新宿区西早稲田2-18-12 TEL050-5306-2953


【16.12.25】年末年始のご挨拶にかえて

             第五期PHM受講生と関係者


ハッピークリスマス!

今年も、残すところあと一週間となりました。
クリスマスが三連休と重なってホテル・旅館の現場は多忙を極めていることと思います。

宿屋大学の一年を振り返って思い起こすと、例年ながら「あっという間に年末になってしまった」という印象ばかりが強いです。1〜3月はPHM講座の準備、地方観光協会主催のホテル旅館マネジメント研修、大学講義の採点、旅館ホテル取材、海外出張。4〜7月は専門学校の講義が始まり、PHMがスタート。夏にはPHM受講生の家庭訪問(? 人事担当者様への報告)、ホテル企業ドキュメント取材執筆、9〜12月は新たなホテル企業のCS研修、そして第五期PHMのクロージング・・・。なんだか、バタバタのうちに一年が終わってしまいます。

ただ、手ごたえも感じています。そのうち大きな手ごたえが二つあります。
ひとつは、PHM(プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座)が5回目を数え、かなり成熟してきたということです。今期から意識したのは、実践してもらうことでした。クラスで得たことを現場で実践してもらいそのレポートをしてもらうことです。受講生は事前課題や振り返りレポートの上にさらに負荷がかかり非常にタフな期間を過ごすことになりますが、その結果、ビジネスマンとしての筋力をかなり高めました。意識したもうひとつは、受講生を派遣してくれる企業サイドも巻き込んで受講生の成長を伴走したことです。研修というのは企業やホテルの現場から送られてくるわけですが、研修やビジネススクールのクラスでどんなに感化され熱くなっても現場に行って現場が冷めていればすぐに冷めてしまってせっかくの学びが生かされないということが往々にして起こります。これではなにも変わらない。ですので、企業経営者や人事担当者、現場の上司にも協力してもらい受講生の学びと実践を応援してもらうようにしたのです。これが実に効果的でした。

手ごたえの二つ目は、研修受託事業です。宿屋大学は「宿泊産業に特化したビジネススクール」ですが、ビジネススクールのほかのもう一つの柱として研修受託事業が育ってきたことです。今年は大小合わせて5つの企業・団体のマネジメント研修やCS研修を担当させていただきました。こちらも、単に優秀な講師を派遣して研修をしてもらうのではなく、こちらで「学びと実践」のすべてを設計して実行し、その最初から最後までを見守りながら伴走するという手間暇かけた取り組みが評価されたと自負しています。

宿屋大学の通常の講座運営や大学専門学校での講師業、執筆業などを続けながら新たな事業を展開してきているわけですが、やはりこういうことができるのも、この人が宿屋大学にジョインしてくれたおかげです。
平賀健司。米国大使館公邸のバトラーという職を投げ打って宿屋大学の志に共感して転職してくれました(つまり元上司がキャロライン・ケネディ駐日米国大使で、いまの上司が近藤寛和というわけですが)。講座の企画・運営から取材・執筆、講師まで、私と同じ動きができる、まさに即戦力の優秀人材です。さらには、指示しなくとも仕事を進め、新たな案件を獲得してきてくれるのです。「平賀さんが宿屋大学に入ったのだったら、こんな仕事も頼みたい」といって平賀の人柄や能力を信頼して仕事が回って来るのです。平賀が入ったおかげで、宿屋大学はさらに拡大できています。

2017年も、宿屋大学は「宿泊業のグロービス」というヴィジョンを目指し、量と質でさらにバージョンアップを図っていく所存です。観光業界は未曽有の成長を遂げており、宿屋大学の成長もそういった外的要因も大いに影響していることを理解しつつ、おごらず、偉ぶらず、誠実に、謙虚であり続け、成長し続けたいと思っております。

来年もひとつ、よろしくお願い申し上げます。


追伸 宿屋大学としての年賀状送付を新年は取り止めたいと考えています。一人ひとりに心を込めたメッセージを書きながら送ることがもはやできなくなった年賀状書きに疑問を感じています。「新年に挨拶まわりができない人に書面で挨拶するのが年賀状」の意味であるならば、普段からネットでつながっている方々にはネットでご挨拶させていただこうと考えました。




【16.11.11】ご案内「産学連携によるホスピタリティ人材育成を考える 〜東洋大学国際観光学部開設記念シンポジウム」

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□□ 【宿屋大学】ご案内「産学連携によるホスピタリティ人材育成を考える
     <参加費無料>  〜東洋大学国際観光学部開設記念シンポジウム」
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東洋大学は2017年4月に国際観光学部を開設します。
新しい学部では産学連携による実践的な学びを推進すべく、経済産業省「産学連携サービス経営人材育成事業」の支援を受けカリキュラム開発を進めています。
今回のシンポジウムではホスピタリティ分野における人材育成をテーマに、産業界の視点から観光系大学や専門学校のカリキュラムと教育システムの有効性を検討します。

その上で、ホスピタリティ分野における産学連携のあり方や東洋大学国際観光学部
が今後育成すべき人物像を議論したいと思います。



【講師とテーマ】

(1)未来のホスピタリティ人財に求めること
     〜観光・ホスピタリティ系大学・専門学校への提言〜
        浅生亜也氏/アゴーラ・ホスピタリティーズ 代表取締役

(2)産業界からみた観光・ホスピタリティ系大学の
              カリキュラム・教育システムの問題点と改善策
        内藤信也氏/ホスピタリティ・パートナーズ ヴァイスプレジデント

(3)観光・ホスピタリティ系大学・専門学校におけるカリキュラムの効果性
       水野豊氏/ホテル龍名館 取締役

(4)ホテル専門学校の実務教育とその効果性
       宮崎純氏/東京YMCA国際ホテル専門学校 校長代理

(5) 東洋大学の自己改革:実業界の要請に応えるために
       徳江順一郎氏/ 東洋大学 准教授



【開催日時】2016年12月3日(土)午後12時30分〜17時10分(開場:12時)

【会場】東洋大学白山キャンパス1101教室
    http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html


【お申込み】参加費は無料です。以下のサイトにてご登録ください。
      http://yadoyadaigaku.resv.jp/direct.php?type=5&direct_id=4710
      

【お問合せ】東洋大学国際観光学科 永井(03-3945-8286、nagai174@toyo.jp)


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