【20.03.28】「第九期PHM講座」開講を2週間後ろ倒し致します

新型コロナウイルス感染症による外出自粛を受け、4月18日から開講する予定だった第九回「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座」も開校を2週間後ろ倒しにし、5月9日に変更します。

ZOOMでのセッションも考えましたが、できたら「リアルで集まる」ということを優先的に考えたく、下記のようなスケジュール変更としました。


(告知していた旧スケジュール)

4月18日 ロジカルシンキング
4月19日 自己紹介プレゼンテーション会&チームビルディング
5月9日 ロジカルプレゼンテーション
5月23日 ホテル総支配人の在り方
6月6日 サービス組織におけるリーダーシップ論
6月20日 ヒトと組織の強化と変革 & Organization Theater
7月4日 モチベーション・マネジメント
7月18日 ホテルの労務管理と危機管理

    ↓

(変更後)

5月9日 ロジカルシンキング
5月10日 自己紹介プレゼンテーション会&チームビルディング
5月23日 ホテル総支配人の在り方
6月6日 サービス組織におけるリーダーシップ論
6月20日 ヒトと組織の強化と変革 & Organization Theater
7月4日 モチベーション・マネジメント
7月18日 ホテルの労務管理と危機管理
8月1日 ロジカルプレゼンテーション

つまりは、

●開講を2週間先延ばしにする
●「ロジカルシンキング」を5月9日に移動
●「自己紹介プレゼンテーション会」は、5月10日に開催
●「ロジカルプレゼンテーション」は、8月1日に移動

ということでございます。

以上、受講希望者のみなさま、よろしくご確認お願い申し上げます。


なお、現在受講申込は定員間近でございます。
申込締め切り日も、当初は3月31日でしたが、延長し、4月18日といたします。
宿泊業界が過去にないほどの苦境に直面している最中に、「PHMの学びを止めない」というリピート利用の企業様、「こんな時こそ研修や学びに力を注ぎたい」といって受講される申込者のみなさまには、本当に頭が下がる思いです。

現在20人程が申し込みされていますが、例年以上に魅力的なメンバーが集っています。
受講をご希望の方、ぜひ、今期のPHMの学びをご一緒しませんか。

よろしくお願い申し上げます。


【20.03.03】「ホテル就活勉強会」延期のご案内

「ホテル就活勉強会」@3月14日 参加希望の方へ
http://www.yadoyadaigaku.com/program/rct1901.html


みなさんにおかれましては、就活がいよいよ本格化というときに新型肺炎の騒ぎで世の中が大混乱となってしまい、戸惑いも大きいかと思います。

さて、そんななか、残念なお知らせです。

実は、「ホテル就活勉強会」も、延期せざるを得なくなってしまいました。
会場である東京YMCA国際ホテル専門学校も使えません。

ですが、宿屋大学もリクラボも、ホテルを志望する学生さんとのつながりはぜひとも続けたいですし、皆様の就職活動のお手伝いをしてよりよい就活をしてほしいと考えておりますので、「LINEグループ」を設定することにいたしました。

「ホテル就活勉強会2021」というLINEグループを設置し、

●みなさんへ有益な情報をお伝えしたり、
●悩み相談を受けたり、
●情報交換会を企画したり、
●「ホテル就活勉強会」のリスケジュールの連絡をしたり・・・、

しようと思います。

就活は一人でやっていると辛いですが、仲間を作って一緒に切磋琢磨、情報交換しながらやると、とても楽しくなるし、その戦友は、生涯の友になります。

つきましては、まず、私(近藤寛和)とLINEで友達になってください。
その後、私がグループに登録いたしますので、「ホテル就活勉強会2021」
参加希望、学校名、氏名、を返信ください。

以上、よろしくお願い申し上げます。




【20.02.26】新型コロナウイルス拡大に伴う弊校の対応について

新型コロナウイルスの感染拡大に際し、観光・宿泊業界も大きな影響を受けています。
不特定多数の方々が集まる弊校も、感染拡大を最善を尽くして予防したいと思います。


1 下記に該当する方は、参加を自粛ください。

  ● 感染が広がっている外国より帰国後2週間以内の方
  ● 風邪の症状がある人、感染の疑いがある方

  なお、新型コロナウイルスの理由でのキャンセルは自由です。
  キャンセルチャージはございません。


2 受講中は、マスク着用を必須とします。
  (どうしても持参できない人は事前に連絡の上で支給します)

3 受付に設置するアルコール除菌液で手をしっかり消毒ください。

4 クラスでは、なるべく離れて座ってくださいまうようお願いいたします。

5 講師も事務局スタッフも全員マスク着用で講義運営をいたします。

6 主催者である宿屋大学サイドの判断で開講を中止する場合は、申込者に
  メールでご連絡いたします。



以上です。
ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。


【20.02.17】今年もホテレスショーに出展します。

2月18日〜21日まで、幕張メッセで「国際ホテル・レストラン・ショー」が開催されます。宿屋大学は、「ホテル・旅館収益向上委員会」という名のブースにて5社連合で今年も出展いたします。

5社が共催し、16回もの無料セミナーが開講されます。

宿屋大学のプレゼンは、18日(火)15時から、「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座」の説明会をいたします。

ブース番号は、「2-Q30」。

予約不要、ご来場お待ちしております。




【20.02.15】連載「ホテルユニフォーム会計のトリセツ」I



ホテルユニフォーム会計のトリセツ 目次

 ➀売上?収入?所得?売上にまつわる話
 A費用ってひとつじゃないの?
 ➂やっぱりこれが肝心…利益
 C損益計算書にだまされるな
 Dホテルユニフォーム会計の正体
 Eホテルユニフォーム会計を使っていかに暴れるか?
 Fホテルユニフォーム会計の導入
 G数値はビジネスをする上での相棒である
★Hファイナンシャルコントローラーの視点
 Iファイナンシャルコントローラーの役割

※本ブログの回数と目次の回数がずれていますが、ブログでは、【19.03.19】に始めたときのご案内を第一回とカウントしているためです。




ユニフォーム会計から導き出される数値と結果はホテル全体の通信簿であり、現在の姿を反映するレントゲン写真です。

内容を理解し、ステークホルダー(投資家、上司、部下を含む)への説明責任を果たし、日々の運営や営業に活かすことは総支配人と経理部長だけに必要とされるものでなくホテルに関わる全員に必要な知識であり、スキルであり、まさに“Everybody’s job”です。

外資系のホテルは各部門長の専門性が高く、ゆえに経理部長(ファイナンシャルコントローラー)の視点を全員が理解し、自身の専門分野(宿泊、料飲、営業そしてもちろん経理の方も!)にそのエッセンス(数値の理解)を加えることができれば、皆さん自身の大きな武器になりえます。

また、例え経理部に所属していても不正防止の観点より内部で担当を振り分けていますので、全体を見渡せることは少なく、売掛金(売上はその場で入金を受けないで後日、集金する場合は、売掛金という名称で帳簿上は管理されます)、買掛金(取引先などに支払いを後日する場合の管理上の名称です)あるいは売上管理などの担当している分野は分かるが自身の日々の業務が損益計算書や財務諸表のどこに結びついているのかが理解できていない場合もあります。これでは折角、経理部いうホテル事業のビジネスの中核にいながら自身の成長や知識の幅を狭めてしまいます。近くに存在する経理部長、損益計算書と距離を縮めてそうした視点を真似し、自らものにすることをお勧めします。




P/L(損益計算書)を下から読む



まずは、ボトムライン(一番下)から見てみてください。
極論を言えば、売上がどんなにあっても利益が出ていなければビジネスではありません。

見るべきポイントは

➀当月は利益か損失か?
➁予算、昨年同時期と比較した場合の増減額
B予算、昨年同時期との%の比較と割合の増減

ここでの3つの傾向を頭に入れながら上に視線を合わせていきます。








上記の参考例の場合にはそれぞれ:

➀当月はGOPで23.1百万円、EBITDAで13.5百万円の利益である
➁GOPで見た場合は額として予算比979千円、前年比で 2.2百万円の増である
➂GOPの比率で予算比4%増、前年比で11%増である

ということになります。


ここまでは表をみるだけで確認がとれます。

皆さんがやるべきことはここからです。

「どうして予算比で979千円しか増加がないのか?」を検証する必要があります。
この例を本当に簡単に言ってしまうと、こうした見方となります。

「ホテル売上(宿泊も料飲も)そして部門利益も予算を上回っている。しかしながら非配賦部門の経費は一般管理、施設管理で予算より支出が上回っている。ここに何らかの無駄や無理があったのか?それは必要だったのか?」

と思いをはせ、考えられる予見や仮説をもとに詳細を検証します。

一方、違う角度でみれば、ホテル総売上は予算比4%増でGOPも同様に4%増。
言い方を変えれば「“適正”ではないのか?」ということも言えなくはないです。
それでは部門利益率合計はなぜ3%増でしかなかったのでしょう?
ここでも疑問が発生し、改善につながる何かを発見でかもしれません。

「急がば回れ」とも言いますが、大枠を理解把握した後はドリルダウンするしかありません。ここには聖域はなく、売上、費用の両方が対象となります。やみくもにドリルダウンをするよりはある程度の狙いを定めた方が効率的であるのは確かですので、その際に参考にしてください。

“良い結果には偶然もあるが、失敗や悪い結果には何等かの原因がある”

複数の視点と角度から要素をあぶり出し次月以降の今後につなげる参考にするのです。



単月、四半期、半期、年間への視点



単月のみに目を奪われると視線がぼやけることがあります。
見ているP&Lは前月の結果を表すものですから、その時点では“過去”のものです。
しかしながら、当然ホテルは前月のみでビジネスをしていたわけではなく、その前の月、そしてその前の前の月もあります。すなわち各勘定科目には連続性があり、“生きている”のです。

従って単月のみならず連続性を統合した累計額にも視点をあわせてください。
先のP&Lの例でも、単月ではよかったものが累計をみると数値が歴史を見せ、皆さんにまた違った警鐘を鳴らすことがあります。

上場会社の運営するホテル、外資系のホテルであれば基本的には3ヶ月(四半期)での運営状況、それに続き半期、そして年度という単位での結果をモニターし、予算や前年同時期比較をもってビジネスの良し悪しを計ります。



ベンチマーク



割合比率は非常に有効な参考値となります。

算出数値は対象÷売上ということが多いので、分母と分子の世界の話になります。
割り算という算数によるものなので、分母や分子の数値の大きさで参考パーセンテージが変化しますので、必ずどこのホテルにもあてはなるわけではないことはご注意ください。

例えば、売上規模の小さい(部屋数が少ない)ビジネスホテル(リミテッドサービス型ホテル)などは、そもそも分母にくる売上が大きくないので、フルサービス型ホテルで計上する費用では大したインパクトではないとしても大きく影響してしまうことがあります。

下記にフルサービス型ホテルのベンチマークをご紹介します。





宿泊部門の利益率は55-70%が一例となります。

最近はOTA(国内・海外のOn Line Travel Agent)頼りになり利用するコミッション費用(=手数料率の高騰)が増加し利益率を圧迫する傾向があります。
逆に、ラグジュアリーホテルはADRを高く維持し、稼働を抑える(適正規模にする)ことにより宿泊部門利益率が上述ベンチマークより高いホテルもあります。

料飲部門とはレストランをさしていますが20%前後が平均割合になります。これも十把一絡げでは表現が出来ず一般的には中華はやや利益率が高く、次に洋食、そして和食は原価が割高なことや人件費も高めの為、利益率は低めになることが多いです。

宴会は料飲サービス付きかあるいは会議・展示会によるかの種類で利益率そのものは影響も受けますのであくまで総合的な参考地となります。

プロフィットセンター(営業部門)での利益率は40-60%が一般的となります。
管理会計であるユニフォーム会計は部門別(事業所別)をモニターすることができるのが利点の1つですが素早く全体の構成を理解するには部門利益の合計に目をやり、比率を確認し、それをさらに予算や前年同時期比と照らし合わせることも有効です。

最後に非配賦部門、コストセンターの経費率です。目安は20-30%となります。
最終的には疑義があれば5エリアのそれぞれに目を配る必要がありますが先ずは大枠を比率で確認し、異常値がないかを確認します。

費用についてはその利用につき政策的に実施する場合もあります。例えば当月に予算化されているが意識的に使用を先延ばし(売上が思うように伸びない場合、天変地異などで費用削減・節減が必要な場合等)し、4ヶ月後に利用するとかぎりぎり年度末まで待つようなことは現場レベルでは往々にあります。こうした理由から単月のみならず累計や四半期、半期、そして年度の比較が必要なのです。

またユニフォーム会計でなく非配賦経費を売上割合などで宿泊部や料飲部で直接経費に計上しているホテルもあります。そうした方式をとっているホテル(日系ホテルに多い)の各部門利益率は上述より下がります。

結果としてのGOP率は15-35%をベンチマークとしておきます。
フルサービス型ホテルとしては30%を最低でも目指したいところです。
GOPよりマネージメントフィー(業務委託契約のあるホテルであれば)やフランチャイズフィーが控除され、ユニフォーム会計上では運営と直接関係のない、減価償却、税金、支払利息、家賃などが控除され、最終利益のEBITDA(=Net Income)が算出されます。
従って比率でなく“額”を考えるとGOP以下の費用を賄うためにも30%程度は確保できないと最終利益が“黒字”にならないことが多いのです。

恒例のクイズというか質問です。“黒字倒産”とはどういうことかご存じですか?
最終回となる次回にはこのあたりにも触れていきます。


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【20.01.12】連載「ホテルユニフォーム会計のトリセツ」H

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ホテルユニフォーム会計のトリセツ 目次

 ➀売上?収入?所得?売上にまつわる話
 A費用ってひとつじゃないの?
 ➂やっぱりこれが肝心…利益
 C損益計算書にだまされるな
 Dホテルユニフォーム会計の正体
 Eホテルユニフォーム会計を使っていかに暴れるか?
 Fホテルユニフォーム会計の導入
★G数値はビジネスをする上での相棒である
 Hファイナンシャルコントローラーの視点
 Iファイナンシャルコントローラーの役割

 ※本ブログの回数と目次の回数がずれていますが、ブログでは、【19.03.19】に始めたときのご案内を第一回とカウントしているためです。




今コラムも残すところ3回となります。

ここからは過去7回の復習を兼ねながら、数値を“上手に”利用する考え方をご紹介します。変化の激しい現在のホテルビジネスを生き抜くヒントになることをお伝えします。

ホテル業界の歴史を大まかに振り返ると、昭和の時代のホテルは、運輸、建設、不動産などの業界が金主となって支えられ、大箱のホテル(フルサービス)や複合リゾートホテルが全盛となった時代でした。バブル経済の後押しがあり、その時代ならでは問題はあったものの、比較的、平穏な時代でした。

その後、平成の時代に突入すると、世はバブル経済が崩壊、ホテル業界も打撃を被ります。そんな環境下に外資系御三家と言われたホテル群が開業し、既存の日系ホテルと群雄割拠の時代を迎えることになります。バブル経済崩壊の余波がボディーブローのように日本経済を蝕み、その影響は御多分にもれずホテル業界にも押し寄せます。その最中に財務的にホテル業界を違った意味で支えたのが外資系ファンド会社でした。ホテルやリゾートを金融商品として取り扱い、M&A (売却、買収)が盛んになります。そしてリーマンショックといわれた金融危機や東日本大震災を乗り越えてきました。

その後、IT活用の発展と攻勢、インバウンドビジネスの活況と相成り、ホテル事業は蘇り、民泊などの新事業が現れるも、様々な業種業態による空前絶後のホテル開発へと続きます。

令和の時代を迎えた今、過去に類を見ないホテル開発の勢いは止まらず、しかしながら複数の有識者からはその数は供給過多と声高々に叫ばれるようになっています。一方で人員不足が目に見えて顕著となり、運営側も未だかつて経験したことのない新たな局面に入りつつあります。



答えのない問いを考え続けるのが我々の責務・使命

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私たちが生きているのはホスピタリティ業界であり、何より求められるのはヒューマンタッチが優先される世界でもあります。

“相手の要望に寄り添う、あるいはそれ以上のものを提供する”
“一生に一度しかない、この瞬間と機会に真摯に対応する”
“非日常の演出と華やかな空間を黒子として演出する”

というホスピタリティや、それに伴う労力は、ホテルというビジネスならではの醍醐味です。

反面、ビジネスである以上、収支を無視することはできず、必要とされるビジネスの結果を出していかなければなりません。

「利益がありきか、顧客満足度がありきか?」は、つねに議論される「問い」ではありますが、つまるところこの「問い」のみならず、私たちは答えのない世界を生きているのです。これはいつの時代も同じであり、答えがないところに答えを探しに行く(最適解を探す)のが我々の責務・使命かとも思います。

現実社会は矛盾を抱えていますので、答えを探すといっても簡単ではないのですが、何らかのゴールや目標をそれと置き換えるという方法もあります。それを“答え”と呼ぶには反論もあるとは思いますが、チームを率い、説明責任もある立場のホテリエである皆さんにおかれては、ゴールや目標を数値化し、これをドライバーにしてはいかがでしょうか。これが、今回の私の提案です。





数値をあなたのビジネスパートナーにしてみては?

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ホテルは世界中からお客さまが来るインターナショナルな環境ですし、近年は人手不足により、多く外国人スタッフがホテルの現場で働いています。言語、文化、宗教そして信条が違う複数の人間が、同じ職場で同じ目標にむかって動いていくのですから、そこには万人が理解を容易にするものが必要です。

“数値”は、その要素を満たしています。そして数値には年齢も関係ありません。部下が年上だとやりづらいという声をたまに聞きます。私情を挟まない数値により、そうした障害を突破する一助にもなりえます。

数値を味方につけ、数値を自身のパートナーとして牽引してみませんか。

個人的には魂やプライド、そして情緒に訴えることは嫌いではありません。根っからの文系・体育会系ですから、むしろそうしたやりかたの方が好きなのですが、数値の求心力については経験的に推薦できるのです。


数値に置き換えられないものはない

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ついつい数値、数値というと、経理的な要素だけに考えを奪われがちですが、ここで申し上げているのは、GOPや利益率、稼働率や客室平均単価、レストランの利用数などの運営的な数値だけの話ではありません。

例えば、営業マンであれば、クライアントへの訪問回数、フロントスタッフであればゲストをお名前(xx様というように)で呼んだ回数等、それが広義にホテルの評判やスタッフのモチベーションを高め、そして究極的には利益や売上に結びつけば最高です。

端的な例としては、顧客満足度、従業員満足度などのスコアを実際に集めて数値化するものから、食品衛生、安全管理、経理内部統制など項目を内部で決めて点数化し、どこまで遵守しているかの自助努力を促すものなど、挙げればきりがありません。


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そのほか、皆さんと皆さんのチームでこうした目標をもって進めたいというものがあれば話し合って決めてみてください。

数値に置き換えられないものはないと思います。

決めた目標をベースに半年に一度、達成の可否とそれに伴いどのような心掛け、どのような行動をとったかなどを振り返れば、それがコーチングやメンタリングの基になりコミュニケーションのツール、そして機会となります。

1日÷30日=0.033です。これは1日に0.033進めていないと1ヶ月の目標を達成できないという簡単な公式です。これを意識してもらうだけでも日々の動きや考えが変わるスタッフもいます。

数値のみでは士気が上がらない、ホテルの置かれている環境下が数値のみだと乗り切れない、理解が出来ないなど、様々な状態があると思います。

数値のみに固執せよというのがメッセージではありませんので「数値」と「気持ち」に訴える両方のバランスをとりながら進められてください。

ビジネスや経営をドライブする比喩として「ロマンとそろばん」や「アートとサイエンス」などがあります。どちらも重要で自転車の両輪のようなものですが数値をそろばん、サイエンスと考えていただきうまく利用してみてください。




【20.01.04】2020年「新年の挨拶に代えて」

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新年あけましておめでとうございます。いよいよオリンピックイヤーを迎えました。

その2020年の4月、宿屋大学(法人名:株式会社宿屋塾)は、創立10周年を迎えます。おかげさまで、PHB(プロフェッショナルホテルビジネスパーソン)育成のスキルとノウハウがこの10年間でかなり蓄積できたと自負しておりますし、実際、宿屋大学に集う皆様の進化や仕事上の責務、パフォーマンスも大いに高まっているようです。また、研修で全国各地に出向いていますが、その都度、業界における認知度も向上していることを実感します。さらには、「宿屋大学で講演をさせてほしい」という講師・講演者のみなさまからのお声や、「宿屋大学でこの講座プログラムをやってもらえないか」というオファーも増えてまいりました。日本の宿泊業の研修インフラ(言うなれば「(株)日本ホテル業界の研修部」)、業界人が研鑽を積むプラットフォーム(他流試合をする道場)としての役割が果たせるようになってきたのかなと感じ、うれしく思います。これまで支えてくれた宿屋大学スタッフ、全面的にバックアップしてくださっている東京YMCA、大阪YMCAのみなさま、講師の皆様、何度も受講してくださる業界のみなさまのおかげです。心より御礼申し上げます。






2020年の事業展開

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看板講座である「プロフェッショナルホテルマネジャー(以下、PHM)養成講座」が9期目を迎えること、PHM講座を始める前に何度も開催していた「ホテルマネジメント入門講座(HMI=Hotel Management Introductory Course)」を再開すること、MICEビジネスを牽引するリーダーの方々から「MICEアカデミー」の運営依頼をいただき、今春スタートさせること、宿屋大学の超人気ディレクターの平賀がアドバイザー(あえてコンサルタントとは呼んでいません)として全国から引っ張りだこで、すでに数社と来期の契約を交わしていること、全国の県行政、ホテル企業からの研修依頼など、2020年の宿屋大学も、エキサイティングな一年になりそうです。
この新年のご挨拶では、こうした今年一年の動きよりも、10年後のヴィジョンをお伝えしようと思います。


「日本は優秀ホテリエ産出国」と世界から思われる未来

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宿屋大学のプロフェッショナルホテルマネジャーの定義は、「顧客満足、社員満足、利益をバランスさせながら向上できるマネジャー」です。お客さまに料金以上の価値提供をし続けられること、社員が出社を憂鬱に思うのではなく、「職場には自分の居場所があり、あそこに行きたい、同僚や先輩たちと一緒に接客を楽しみたい」という職場をつくれること、オーナーや投資家の思いを理解して、期待に応えられること・・・。こんなPHMが日本にはもっともっと必要です。宿屋大学は10年前に設立してからずっとこのPHM養成に邁進してまいりました。アジア経済の盛り上がりもあり、日系ホテル企業のアジア進出が目立ってきましたし、アジア諸国のローカルホテルにおいてPHMが求められるようになるでしょう。そんな時に、ホテルオーナーや投資家から、「優秀なホテルGMを見つけたいなら日本で探すといい」ということを常識化したいのです。現在は、米国やスイス、豪州などが優秀ホテリエ産出国として有名ですが、10年後はそういった国々に追いついていたいと願います。


「なんで大学出てまでホテルに就職したいの?」というセリフを撲滅したい

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2003年、小泉純一郎総理大臣が観光立国宣言して以来、観光産業の経済効果は順調に伸びており、日本経済を支える柱の一つになりつつありますが、その観光収入の大半は宿泊と食事です。つまり、宿泊業界は日本経済を牽引する重要な役割を果たしており、そのリーダーである経営者やマネジャーのハイパフォーマー化は、実に重要なポイントです。「ホテル・旅館はブラックだから行かない方がいい」「なんで大学出てまでホテルに就職したいの?」なんて言われている場合ではないのです。早急に魅力ある職場をつくり、しっかりと利益を確保して、従事者の所得も上げていくことが必要なのです。

日本は、「O・MO・TE・NA・SHI」でオリンピックを招致しましたが、「質の高いホテルオペレーションによって、利益を創出していく仕組みやノウハウ」によって、その「おもてなし」の代表格である“HOTEL”がビジネスでも世界で存在感を増していくべきなのです。


ホテリエであることを、もっと好きになれる場所

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繰り返しになりますが、PHM養成講座は、今年9期目を迎えます。受講をされた方はもう180人になります。そして、次々とホテル総支配人などの要職についてパフォーマンスを発揮しています。また、来週から始まる「新・ホテルマネジメント入門(HMI)講座」にも、大手ホテル企業などから33人が集っています。この入門講座は、PHMの前のレイヤーの方々(これから管理職になる方、管理職になって浅い方)を対象としていますが、当然、HMI講座を修了した数年後は、PHM養成講座を受講していただき総支配人を目指してほしいと思います。

私や平賀ディレクターをはじめとした宿屋大学のスタッフは業界人を心から慕っています。受講された皆さんは、みな同志だと思っています。生涯お付き合いを続けたいと願っています。宿屋大学は大きくなろうとは思いませんし、広く多くの方を対象とするビジネススクール運営もしようと思いません。むしろ、限られた人数であっても、ご縁をいただいたPHMとしての志あるホテリエの皆様の、人生の応援に専念していきたいと思っています。彼らの活躍が宿屋大学のブランディングそのものだと考えているからです。宿屋大学は彼らがいつでも戻って来られる居場所であり、「ホテリエであることを、もっと好きになれる場所」であり続けたいと思います。

PHM講座の修了生にはピンバッチを授与していますが、2030年には、「日本やアジア諸国のホテルのあちこちで、このピンバッチを胸に飾るホテル総支配人が生き生きとホテル運営のリーダーシップをとる」未来を目指したい。

これを2020年という、日本の観光産業の一大イベントの年の初めに宣言したいと思います。

本年も、そしてこれからの10年も、どうぞ宿屋大学をよろしくお願い申し上げます。





【19.11.24】連載「ホテルユニフォーム会計のトリセツ」G

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ホテルユニフォーム会計のトリセツ 目次

 ➀売上?収入?所得?売上にまつわる話
 A費用ってひとつじゃないの?
 ➂やっぱりこれが肝心…利益
 C損益計算書にだまされるな
 Dホテルユニフォーム会計の正体
 Eホテルユニフォーム会計を使っていかに暴れるか?
★Fホテルユニフォーム会計の導入
 G数値はビジネスをする上での相棒である
 Hファイナンシャルコントローラーの視点
 Iファイナンシャルコントローラーの役割

今回は、いよいよ「ホテルユニフォーム会計の導入」の手法をご紹介します。


今では1人1台、人によっては複数台を利用している方もいらっしゃるPC、出回った当時は、このPCさえあれば数値の管理やら、グラフ分析やら何でもできるという“幻想”を持つ人が多数いました。実際に管理も分析も使い方次第でできるわけですが、当然のごとくPCを買っただけではできません。ここでお伝えしたいことは高いお金を出して購入したPCも、利用者が目的やニーズ、ウォンツを考えて手を動かさなければ”ただの箱“で終わるということです。

ユニフォーム会計もこれに似ています。

財務三表(損益計算書・貸借対照表そしてキャッシュフロー表)を作成する以外に「ユニフォーム会計をどのように利用したいのか?」という、利用者としてのニーズとウォンツを、まずは整理することが求められます。

この整理は、経理担当者に任せればよいという訳ではありません。実際に利用することになるマネジメントを中心とした方々の視点によって整理することが肝心です。導入にあたり利用するあなたは「何が見たいのか、何が知りたいのか? これを使ってどうしたいのか?」を再確認してください。

「ユニフォーム会計自体」や「数値」に使われるのでなく、使う側のセンスと見識によって「数値」をこちら側でうまく使いこなすのです。

とは言うものの、いきなり「何が見たい?」と迫られても困惑すると思います。
今回は、参考として「ここに注意しながら導入をしたらいいのでは?」というアドバイスを皆様にしていきたいと思います。



Must haveとNice to have(必ずあるべきとあったらいいな)

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上記はユニフォーム会計でのホテル全体の損益を表すひな型となります。

見方は縦軸に売上を宿泊・料飲(レストラン、宴会に分類)・その他に分類され、それ以降にはその売上に対応する利益(=プロフィットセンター)が表示され、以下、非配賦部門(=コストセンター)、GOP(=ホテル営業利益)、オーナー費用、EBITDA(=ホテル最終利益)という構成となります。

以前のコラムで、結果の優位性を客観的に測るには“比較対象”が必要であると申し上げました。このひな形の表では横軸で実際の結果に対する優劣を判断するため、予算値と前年同時期比を比較対象数値として表現してあります。これを実際と比較し、何が良かったのか?どの程度、良かったのか?を評価します。

こうした構成は一般的であり大半のシステムメーカーで提供するユニフォーム会計での損益計算書は依頼しなくても最低限、備わっているものとなります。

「あったらいいな」という方は多分に「何を分析したいのか? そして運営・業績改善にあたり何を知りたいのか?」という要望からカスタマイズするものになります。

よく見られるのが、比率(人件費率、フロースルー(ここでは便宜的に「売上・利益効率性数値」と呼びます)、一部屋当たりのコスト額・率など)と各ホテルの持つユニーク性(多くの施設をもつ複合リゾートホテルなど)を網羅した表示、そしてチェーンホテルであると本部と各ホテルにて実際にかかる費用を階層別(エリア(地域)で分けるなど)に確認、分析したいなどの用途に対する要望です。

また、やや専門的な話にはなりますが、税務申告(法人税や消費税という税金の計算)には損益計算書が必要になるのですが、申告用の損益計算書とユニフォーム会計では最終的な利益額は当然のごとく同額なのですが勘定科目(注1)の分類の仕方や表示方法などが異なります。

経理担当者は、少なくとも1年に1度は費用分類や表示方法の違いを申告用に正すために勘定科目の“組み換え”という作業を実施し、また消費税の整理(課税、非課税の費用の洗い出しや、2019年にもありましたが税率変更に伴う軽減措置と言われる税率が正しく反映されているかなど)という業務も発生します。

これらはマニュアルで行うとかなりの時間を要し、またマニュアルがゆえにミスも起こります。こうした状況を打破するために、導入の際にはこのマニュアル作業をシステム的に対応できるよう設計することを考慮することもあります。

そのほか、インフラの部分としては、バイリンガル仕様であること。数値には関係ないですがオペレーターが外資系ホテルの場合、勘定科目や計算書の表示が日・英両方で可能であるシステムを要望されます。

いくつかの例を参考までにお伝えしましたがまたの機会に経験的に個別発生したものなどは紹介していきます。


(注1)給与や交際費、旅費交通費という費用を整理する“科目”を勘定科目と呼びます。



横断的に考える

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ホテルのタイプがフルサービスなのか、リミテッドサービス(宿泊特化型)なのか、そして人を介在せずどこまでIT化するのかという業態ごとの要望によっても設計が変わることもあります。

ホテル単体で見るのか、もしくは最近のシェアードサービスのような管理部門(人事・営業・経理・IT・購買・施設管理)を本部機能に見立て、それを各チェーンホテルの複数に費用配賦するのかなどのストラクチャー(構造)を視野に入れて考慮することも必要かもしれません。

どのような勘定科目の体系をもたせて、日々の運営で活かすか、いかに作業効率を計るかなど戦略的に考慮する際には要件定義が大事となります。要件定義とはシステムやソフトウェアの開発において必要な機能や性能などを明確にする工程を言いますが手間はかかりますがゼロベースから開発が必要なこともあると思います。

また費用配賦(注2)などは、ある種の“キメ”が存在します。会計原則のひとつに継続性の原則という決めたルールは利用開始後に継続して使うというものがありますが、決めたルールを安易に破るとしっぺ返しに合うので、相応の準備とポリシー(方針)も必要です。

部屋代と朝食代を含めたパッケージ料金などはその最たる例で、部屋代と朝食代の取り分(ブレイク)が途中で変わると、ADR(客室平均単価)や原価率などを見失うことにより説明がつかなくなるという事象は現実にも起きています。


(注2)例えば総料理長の給与などは複数のレストラン、宴会場を持つホテルでは各店舗の売上を基準として“配賦”するのです。レストランが3店舗あり売上比率が5:3:2だと仮にしたらこの比率も用いて総料理長の給与が100だとしたら50:30:20に分割して各店舗で費用化することになります。この例の総料理長の給与の費用按分の例であると当初5:3:2と決めたものを開業3年後に7:2:1にするとか変更した場合、金額の大小にもよりますがその差異のブレにより混乱を生じさせることがあるのです。


リーダーの存在とファシリテーション

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何事もそうですが、無から有を生み出すのには、知恵と労力が必要です。ユニフォーム会計を導入するのであれば、それはホテル全体を巻きこむプロジェクトであり、完成にはリーダーシップとまとめ上げるスキル(ファシリテーション能力)を求められます。願わくは、運営と会計の両面を理解しており、多くのステークホルダーの意見や矛盾に対峙できる人材を担当にできればいいのですが、なかなか見当たらないかもしれません。ポテンシャルのある人材に、彼の成長の機会としてこうしたプロジェクトを任せるのはいかがでしょうか。こうしたプロジェクトは人を成長させ、またホテルビジネスマンを育成できる数少ない人材育成の機会になりますから。

“KPI”には財務と非財務指標があることは前回お知らせしました。財務指標には宿泊売上や料飲売上などの売上関係からGOPと呼ばれるホテル営業利益に至るまでを基本的には言います。

また非財務指標には顧客満足度や従業員満足度、その他食品衛生管理やブランド管理なども外資系ホテルでは指標化されています。

このほか、女性リーダーの数や育休取得(特に男性)などを非財務指標としてホテルや会社の目標値として設定するところも増えています。何人のマネジャー、何人の総支配人を育成できたかというKPI として数値目標を持つホテルもあります。ユニフォーム会計はホテルという組織を横断的に見渡し、巻き込むツールですので、もし皆様の中でハイポテンシャル人材の育成をKPIとしてお持ちの方がいらっしゃれば、導入のプロジェクトを彼に任せてみてはいかがでしょうか?



今回の質問は繰り返しです。あなたのKPIは何ですか?



【19.10.28】連載「ホテルユニフォーム会計のトリセツ」F

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ホテルユニフォーム会計のトリセツ 目次

 ➀売上?収入?所得?売上にまつわる話
 A費用ってひとつじゃないの?
 ➂やっぱりこれが肝心…利益
 C損益計算書にだまされるな
 Dホテルユニフォーム会計の正体
★Eホテルユニフォーム会計を使っていかに暴れるか?
 Fホテルユニフォーム会計の導入
 G数値はビジネスをする上での相棒である
 Hファイナンシャルコントローラーの視点
 Iファイナンシャルコントローラーの役割

今回は、前回の延長線の内容として、ホテルユニフォーム会計で網羅する部門の一つである「宿泊部門の損益計算書」を下記にてご紹介します。

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簡単に見方を説明しますと、横軸で大きく売上(緑)、費用(青)、利益(黄)に分かれ、縦軸で表の中心に勘定科目があり左手全体に単月、右手全体に累計が表示され、それぞれで実績額、予算額、実績と予算の対比率、前年額、実績と前年の対比率が表示されています。
見方としては2019年9月単月で宿泊売上の実績は11,400,000円で、予算より1%良く、前年同時期より5%良いという結果です。また宿泊部門の損益は、実績で7,655,000円となり予算対比-3%、前年同時期対比で+4%と読み取ります。

ホテルユニフォーム会計はホテルの健康状態を確認する“レントゲン写真”の役割もするとお伝えしました。損益計算書をレビュー、すなわち診断を行い、その結果、病気(ここでは赤字や予算や前年などと比較してマイナスとします)であれば、それが軽傷なのか重症なのを分析し、どんな治療や手術が必要なのかを判断し、対応を練る必要があります。

また、実際のビジネスでは健康であればいいというわけでなく、「健康だった理由はなぜか?」「病気の兆候はないのか?」も注意深く見る必要もあります。

“勝って兜の緒を締めよ”という姿勢です。また、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と、プロ野球の名将・野村監督が言われる通り、売上にせよ利益にせよ、悪いにはそれ相応の理由が思い当たることが多い(不思議な負けはない)のですが、逆に良い場合は思いもよらず(不思議な勝ち)良かったということもあります。業績結果に一喜一憂せず、冷静に事の成り行きと今後に繋げられる何かを損益計算書から読み取りホテルの継続的な発展のためにも、また自身の成長のためにも上手に利用すべきだと思います。

読者のみなさんは、損益計算書、数値に使われるのでなく、次の3つの視点から数値をうまく利用し現実社会で暴れてみてください。暴れてくださいというのはホテル内を傍若無人にふるまえということでなく、数値という客観性の高い事実を武器にリーダーシップを発揮し、問題解決や更なる業績向上に貢献してくださいという意味です。もちろん賢明な読者の皆様はご理解頂いているとは思います(笑)。

3つの視点とは「鳥の目、虫の目、魚の目」、「ベンチマークと比較」、「なぜ?なぜ?なぜ?」となります。

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鳥になれ、虫になれ、魚になれ


「損益計算書をレビューせよ」といわれても、どこをどういう角度で見ればいいかというのは最初は分かりづらいものです。回数を重ねると慣れてはきますが、ここではそのヒントとして「鳥の目、虫の目、魚の目」での視点を紹介します。

最初は「鳥の目」。
まずは鳥のように上空から全体感を見渡し、大枠を掴みます。すなわちマクロの視点で業績
を理解します。具体的には「利益はでているのか?」「売上額は予算や前年と比べてプラスかマイナスか?」「利益率は予算や前年同時期と比べてどの位プラスなのか、あるいはマイナスなのか?」などを確認し、その月の概略を数値と共に頭に思い描きます。

続いては「虫の目」。
鳥の目で掴んだ大枠を念頭に置きながらミクロの視点で詳細の理解をはかります。虫のように地を這い、疑義のある内容を深く、そして複眼的な視点で探るのです。例えば、「利益を圧迫する代理店手数料の増大はどうして発生したのか?」という疑義があれば、「単純に取引のボリュームが増えたというだけでなく、手数料率の高いエージェント(OTA)に頼りすぎ過剰な送客によるものが原因であり、本来はもっと数社に分散することができればここまでコミッション額が増えることはなかった」など、虫の目で細部にアドレスしその根本原因を探るのです。

最後に「魚の目」。
ビジネスは毎月同じ流れではなく特にホテルにはシーズナリティやイベントの有無などに大きく作用されます。その月だから発生した特殊なものや年間の累計額から考えた場合の状況など環境やトレンドなども考慮し更なる理解に努めることが必要です。


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ベンチマークを活用せよ


「今月は稼働率80%でした」と報告されて、あなたならこれをどのように評価しますか。
80%と聞くと一見よさそうに感じますが、こうした平面的な数値のみでは実際は評価のしようがありません。数値や指標は客観的な事実であるのですが、それだけを見せられても往々に評価や判断がつかない場合があります。

ここで登場するのが“ベンチマーク(基準や尺度)”です。予算の稼働率が88%で前年同時期の稼働率が85%だとすると、明白に80%の稼働率が良くない結果であったということになります。

ここでは予算と前年同時期の数値(稼働率)を“ベンチマーク”としましたが、一般論としてのベンチマークがホテルにはいくつかあります。例えば、「フルサービスホテルのGOP率(営業利益率)は30%である」とか、「料飲部門のFood原価は30%が目安である」などです。

要は、基準値や参考値などと比較して、初めて物事の優劣がはっきり分かるということです。比較をし、状況を立体的に見せることにより、状態が一目瞭然となります。そして、あとは「“なぜ”そうなったのか?」、これを知る必要があります。

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それは、なぜですか?


「なぜ?」を複数回繰り返して原因分析をはかる手法は、トヨタ自動車で実際に実施されていますが、物事を深堀りする際には有効な手段であると思います。

例えば、「ハウスキーピング費用が予算や前年同時期より増加している」とします。そうすると下記が“なぜ、なぜ分析”の想定される会話となります。

なぜ@? 
「なぜ、予算や前年同時期よりハウスキーピング(HKP)の費用が増加しているのか?」
(回答)予算や前年より客室稼動が増加したから。

なぜA?
「でも稼動率の上昇以上に費用が増大している。何故か?」
(回答)HKPの1部屋あたりの契約単価が上がっている
⇒前年対比ではコスト上昇による原因なので納得。しかし予算対比については立案の際には単価が高くなったことを考慮していないのか?
(回答)予算立案の際には分かっていたので考慮している

なぜB? 
「それではなぜ、予算より上回っているのか?」
(回答)当該月は1部屋あたりのHKP費用が高いスイートルームの稼働が過去最高(予算も超えて)で、HKP費用が嵩んだ結果になった。

この例は、ハッピーエンディングで、結果的にホテルのスイートルーム(スタンダードの部屋よりHKPコストが割高)の稼働が高く、コスト高になりながらも宿泊利益額も高いというところに落ち着きました。

「なぜ?」を繰り返す原因分析においては、「@HKP費用が想定以上(予算・前年のベンチマーク以上)に高かったこと」「A一部屋あたりの契約HKP費用が上がっている」という事実も確認できます。非常に安易な例ではありますが「なぜ?」という問いかけにより事実や原因を突き詰めるのもひとつの方法です。

あなたのビジネスのKPIは何ですか?


前回は、KPI(Key Performance Indicator)について質問しました。

“重要経営指標”と言われることが多いですがその名称通りホテル全体の、そして皆さんの担当部署の重要な(フォーカスが必要な)指標となります。

KPIには財務と非財務があり、財務ではGOPや総売上、稼働率やADR(客室平均単価)などをいいます。また非財務指標には顧客満足度や従業員満足度などの指標が経営上の重要な要素として考えられています。これについては再度、次回以降のコラムで触れることになります。

「あなたのビジネスのKPIは何ですか?」という質問に即答できる方はビジネスの本質、そして自分のあるいは会社のフォーカスポイントが理解できているともいえます。逆に言うとこの質問に即答できないようだと自身の携わるビジネスへの理解が弱いといわれかねません。
また違う業界の方と話をする際にこの質問をすればその業界の肝の部分を理解するのに役立ちます。

今回の質問はこれです。「あなたのビジネスのKPIは何ですか?」



【19.09.09】連載「ホテルユニフォーム会計のトリセツ」E

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ホテルユニフォーム会計のトリセツ 目次

 ➀売上?収入?所得?売上にまつわる話
 A費用ってひとつじゃないの?
 ➂やっぱりこれが肝心…利益
 C損益計算書にだまされるな
★Dホテルユニフォーム会計の正体
 Eホテルユニフォーム会計を使っていかに暴れるか?
 Fホテルユニフォーム会計の導入
 G数値はビジネスをする上での相棒である
 Hファイナンシャルコントローラーの視点
 Iファイナンシャルコントローラーの役割


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前回までは損益計算書の基礎を売上、費用、利益に分けて横断的に説明してきました。
そしていよいよ今回よりホテルユニフォーム会計の解説に入ります。

まずは前回のクイズの答えです。
“アメーバ経営”とは、稲森和夫氏が考案した事業部別採算性の経営です。組織を小グループに分け、それぞれのグループが独立した形でビジネスに責任をもち、その集合体としての法人が存在する、という考え方であり、経営手法です。それぞれのグループ長は実質的な経営者であり、それに伴う“義務と権利”を持ち、事業を牽引する責任があります。グループを率いて結果を出すという義務がある反面、経営方針や人繰りに至るまで、ビジネスの主体として動く権利をもつことになります。

これから説明するホテルユニフォーム会計はホテルにおける事業別採算性の業績を明らかにするための“レントゲン写真=部門別損益計算書”と考えてください。

ホテルユニフォーム会計は正式には「Uniform System of Accounts for the Lodging Industry (USALI)」といい、和訳では「宿泊施設の統一会計報告様式」となりますが、本コラムでは便宜的に“ホテルユニフォーム会計”と呼ぶことにします。

歴史を紐解きますと、ニューヨーク市ホテル協会が1926年に初版を公表して以来、現在の正式名称であるUSALIに落ち着くまで複数回の名称変更と時代背景などの時流を反映させ、最新のものは11版として改訂され、アメリカ・モーテル協会が承認した宿泊業統一会計システムとなります。


ホテルの部門を縦と横に分ける



ホテルユニフォーム会計の構成はホテルの部門をその種類と性質を切り口とし、縦軸と横軸に分けて考えることができます。

まずは縦軸で3つに分けられます。

1つ目のグループは、“収益部門=プロフィットセンター”です。すなわち売上と費用の両方の要素があり利益まで計上する部門のことで、具体的には宿泊、料飲(レストラン、一般宴会、婚礼)その他(例としてはスパやスポーツクラブ、駐車場等)部門となります。

2つ目のグループは、“共通(配賦)部門=コストセンター”です。
費用のみが発生する部門である一般管理(総支配人室、経理、人事、購買)、IT,営業・マーケティング、施設管理、水道光熱などとなりそれぞれ部門として独立し、損益計算書をもつことになります。

また最後の3つ目は、“オーナー勘定”という考え方で、ホテル運営とは切り離し、所有者として発生する費用を記録するという切り口になります。例としては減価償却費(コラムその2、費用編を参照ください)、税金などとなります。

もうひとつの括りは、勘定科目をベースとした内容により横に切り分けます。同じく3つに大別され、売上、経費、そしてオーナー勘定となります。

ちなみにGOPとは「Gross Operating Profit」であり、ここでは営業利益とします。
またEBITDAとは「Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization」 で、ここでは税引前利益(厳密には損益計算上に表示される会計上の利益ではありません)とします。

下記が縦軸を収益と配賦部門からなる各部門の種類、そして横軸を勘定科目とそれを反映させた合計で区分けし、表現したホテルユニフォーム会計の構造図となります。詳細は次回に再度、説明します。


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管理会計とはなんぞや?



会計は2つに大別され、ひとつは“財務会計”、そしてもうひとつが”管理会計“となります。

違いは何かといいますと“財務会計”が株主、債権者、取引先などの外部ステークホルダーに対して会社法や商法に則った形式にて報告する会社全体の包括的な財務諸表であるのに対し“管理会計”は経営陣が経営計画や戦略を練る際に利用される内部資料であり多面的に細分化されており作成にあたり特に法の縛りなどはありません。

ホテルユニフォーム会計は “管理会計”をベースとした部門別損益計算書となります。総支配人や部門長が数値情報から読み解く現状認識とそれに基づき将来のアクションに活かすために用いられ、作成には一定のルールはありますがホテルにとっては重要な内部資料となります。

当然ではありますが、ホテルユニフォーム会計をベースに作られた業績表を渡されても表そのものは基本的に数値の羅列であり、アドバイスが書いてあるわけではありません。そこに内在する課題や将来的な機会についての事実やヒントは、各自が分析や検証を施し活用することになります。

その具体的な着眼点、分析方法などは今後のコラム中で触れていきますので是非、ユニフォーム会計を有効に使いホテルの価値向上、そして自身のレベルアップに役立て頂ければ筆者にとっては望外の喜びです。



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メリット、デメリットがある



万能に見えるホテルユニフォーム会計ですが物事には裏と表があるように導入や運用にあたりメリット、デメリットがあります。

先ずはメリットですが下記となります。

➀他ホテルとの業績比較が容易にできる

同じ尺度、同じ見せ方をしますので競合を含めた他ホテルとの数値的な比較ができることにより自社のホテルがビジネス的に“イケてる”か、あるいは否かの判断材料になります。またホテルが投資案件、金融商品として売買の対象になって久しいですが、ホテルオーナーや投資家などが売買価格や価値を勘案する際には非常に有益な情報となります。

➁部門別での業績が明確に分かる

部門別管理会計がホテルユニフォーム会計のエッセンスです。故に宿泊、レストラン、一般宴会、婚礼部門のどこの業績がいいのか、悪いのかが客観的に識別できます。
また各部門長は業績結果に対し責任という名の義務を負い、権利を行使して業績向上に務めまることになりますので通信簿としての役割も果たします。

B運営勘定とオーナー勘定が判別できる

現在では多くのホテルで所有と経営の分離が当たり前になっていますがホテル運営用とオーナー用での費用を分けて記録しますので、それぞれの費用が明確になります。

Cマネジメントツール

数値を通し、総支配人を筆頭とするホテルチーム全体に対し問題意識を共有する際の有効なツールになります。

他方でデメリットには下記が考えられます。

D経理処理の煩雑性

次回以降での説明にはなりますが日々の事象(取引)を部門別に分けて細かく記録をしないとユニフォーム会計として纏めることが出来ず、その強みが発揮できませんので数値を提供するオペレーション側も、またそれを受けてまとめる経理部も手間と時間がかかります。

E縦割り主義の横行

宿泊、料飲、その他部門、そしてバックオフィスでは営業、経理、人事などの部門別に
損益計算書を作成します。(バックオフィスは費用のみが計上されます)同じホテルで“同じ釜の飯”を食いながら所属している自部門のことしか考えない、考えられなくなるという思考に陥りがちです。

F不理解による現場の混乱(パッケージ、配賦)

煩雑性の一因となるのは“配賦”とよばれる経理処理です。配賦とは複数の部門に跨って行われた費用や給与に対して、ある一定の割合をもって影響を受けた部門へ費用按分することです。例えばレストラン2ヶ所、宴会・婚礼場を統括する総料理長がいた場合は、給与額をそれぞれの店舗施設に振り分けます。その振り分け額の算出方法は各店舗施設の売上按分なのか、総料理長が費やした時間に応じて按分するのかはある意味、自由(合理的な考え方による)です。厳密に記録をしようとすればするほど手間がかかり、またその合理的と思われる方法に対して全員の納得が得られない場合もあります。それが特に業績が落ち込んだ際などに紛糾し、不協和音を呼び起こすこともあります。





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現在、ホテルユニフォーム会計を利用しているホテルにせよ今後、導入を目論むホテルせよ、こうしたメリットとデメリットを経営陣、ホテルチームがしっかり理解した上で総支配人の強いリーダーシップの下、日々のオペレーションに活かすことが肝要です。


次回に向けてのクイズです。KPI(=Key Performance Indicator)とは何でしょうか?
ホテル業での代表的な指標は何でしょうか?




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