【18.12.31】年末年始のご挨拶 〜年賀状に代えて

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タイムラプス



2018年の大晦日。
皆様はどのようにお過ごしでしょうか?
今年はどんな一年でしたでしょうか?

私は、案の定ですが、なんだかんだバタバタしながら、あっという間に一年の最後の日を迎えました。まるで動画を早回し再生しているかのような慌ただしさで・・・。

政府の目論見通り、今年の訪日客は3000万人を突破しました。「日本を旅する需要増」→「ホテル利用の需要増&ホテル建設ラッシュ」→「ホテル・旅館の労働力不足」→「集客やCS以上にESの重要性の増加」→「研修の需要増」・・・、こんな論理で我が宿屋大学もお仕事をたくさん頂戴しました。

週の前半(月・火・水)で大学や専門学校の講義、そして宿屋塾開催。週の後半(木・金)に出張、土曜日にPHM講座開催。こんなルーティンを繰り返した一年だったと思います。特に地方行政の観光課などからの「ホテル・旅館の経営マネジメント研修」の依頼が増え、北は青森、南は沖縄まで、私と平賀ディレクターは、毎週のように遠征を繰り返しました。


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PHM卒業生の活躍



このように忙殺される日々でしたが、手応えを感じる仕事もいくつかありました。
一つは、「プロフェッショナルホテルマネジャー(PHM)養成講座」です。今年七期を迎え、26人が受講、13人が修了されましたが、これまで7回繰り返し、そのOB・OGの皆様が業界で活躍しているということです。ホテル総支配人になっている人が続出し、なかには社長になっている人も出てきています。



ブラック職場撲滅運動



もう一つは、いつまでたってもなくならないブラックな職場を撲滅すべく、多くの識者の方にお力をいただき、この問題を考え、ブログにまとめたことです。


「ホテルにおける超人材難時代の人の育て方」


優れたホテリエを育成するという宿屋大学のミッションは、「宿泊業界人の人生の応援」という根源的な目的(私の天職)のための手段でもあり、どれだけ優秀ホテリエを育成したとしても、不幸せな業界人がいることを見逃すことは業界人の人生の応援になっていないという、言わば自己満足の意味もありました。それでも、「仕事の質も、利益も、お客さまも、もちろん大事だけれど、一緒に働く仲間の幸せも大事」であるということを再確認していただける方が少しでもいたら私のアウトプット(価値の生産)になると考えます。


そのほか、リンクホテルマネジメントというホテル運営会社を仲間と共に設立したり、立教大学観光学部のゼミ生と「とんがりホテル」という連載取材で全国のホテルを周ったり・・・、生産性向上やICT活用、外国人材活用、採用と定着といったテーマに絡めて旅館のお仕事も随分とやらせていただきました。

振り返れば、宿泊業界のご支援という仕事をさせていただいているけれど、宿屋大学は、宿泊業界の皆様に支えられて楽しく仕事ができているという結果になっているようです。宿屋大学には、「宿泊業界以外の仕事は、一切やらない」というルールがあり、どんなに美味しい儲け話でも絶対にやらないと心に決めていますが、これからも愚直に、誠実と謙虚を忘れずに取り組んでいけたらと思います。


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「PHM生は優秀」という定評をつくる



2019年、どのような年にしていきたいか・・・。
実際のところ、日ごろの仕事に忙殺されつつ、まだまだ曖昧です。
方向性としては、看板講座であるPHM講座のOB・OGの皆様が業界で活躍していますので、その方たちを引き続きご支援させていただき、ネットワークを強固にしていけたらと思います。宿屋大学の限られた経営資源(マンパワー含む)を投下するのは、手広く多くの方を対象にしたビジネスではなく、宿屋大学に集ってくれ、卒業された方々とのコミュニケーションを密にしていくという方向に投下していけたらと思います。

ホテルマネジメントにおいても資格制度が誕生していますが、「PHM卒業生は、真に実力がある」ということが業界で認知されていくことこそが、宿屋大学やPHM講座のブランディングになっていくと考えるからです。

2010年(平成22年)4月1日に創業した株式会社宿屋塾は、2019年4月に十期目を迎えます。10年前に決めた想い。

目指したいのは、「強い会社ではなく、愛される会社」という想いを引き続き持ちつつ、また明日から始まる365日を突っ走りたいと思います。

来年も、宿屋大学をどうぞよろしくお願い申し上げます。

                    株式会社宿屋塾 代表取締役 近藤寛和






追伸 枚数が際限なく増え、住所も文章も印刷するだけの賀状を送ることの価値が、SNSなどで挨拶することとほとんど変わらなく感じており、そして「年賀状を送り合う」という日本の文化・習慣も、数年には廃れてしまうのではないかと感じていることから、昨年より年賀はがきを送付することを止めています。このブログで、新年のご挨拶に代えさせていただきます。


【18.12.19】第七回「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座」のMVP賞、潟pレスホテルの佐々木潤氏が受賞

安心して失敗できる場所

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2018年4月21日〜11月24日の間に開催された宿屋大学主催、第七回「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座」(以下、PHM講座)のMVP賞に、株式会社パレスホテルの佐々木潤氏が選ばれた。本賞は、同講座の最終プレゼンテーション会において、「講義内容をフル活用して、経営者に向けた経営改善計画」を受講生全員が発表し、そのプレゼンテーションの内容、受講態度、成長度、クラスメイトからの評価などを審査員が点数化し、その合計得点で決められる。この度、最高得点を獲得し、MVP賞を受賞した佐々木潤氏をインタビューした。



Q PHM講座の修了、本当にお疲れ様でした。そして、MVP賞受賞おめでとうございます。まずは、今のお気持ちをお聞かせください。


私が受講の目的として設定したテーマは、「持続的成長が可能な仕組みを組織に定着させることの出来る人材を目指す」でしたが、全課程を終えたいま、その目的までの「正確な距離(遠さ)」を知ったことで、自分でマイルストーンを設定できるようになったことが収穫のひとつです。予備学習 → 事前課題 → 6時間の授業 → 振り返りレポート → 事後課題 の繰り返しで、このサイクルは正直に申し上げてハードでしたが、共に学ぶ仲間がいて、切磋琢磨するなかで、「いい加減なアウトプットはできない」というプレッシャーがあり、それがどんなに疲れていても机に向かわせてくれる原動力になりました。プレッシャーを与えてくれる仲間がいたことが、そして、生涯つながる同志を得たことが私にとって一番嬉しかったことです。見てくれている仲間がいるということは、安心であり、優しさであり、ときにそれは厳しさでした。だからこそ集まって話す話は楽しいし、共に交わすお酒が美味い。2週間に一度集まる白熱講義と飲み会が終わってしまい、一抹の寂しさがありますが、とっても楽しい7カ月間でした。


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Q 佐々木さんは、自費での受講でしたが、PHM講座を受講しようと考えたきっかけは?


私は2003年に新卒でホテルに入社し、現在38歳です。当時のホテル業界と今とでは環境が大きく変わっています。当時のホテルは所有者と運営者が同じ直営ホテルばかりでしたが、いまは不動産所有者と経営者と運営者が分かれているホテルが大半になっています。そして、いろんな人が多角的に集ってホテルという事業を支えています。その一部分のセクションからの視点だけでは全体を理解できないですし、全体を理解するためにはほかのセクションの役割や考え方を知る必要があると思ったのです。ホテル運営責任者は、投資家やオーナーのことを知る必要がありますし、私のようなマーケティング担当者は現場スタッフのことを知る必要があります。直営ホテルならば、皆が同じ立場で同じ方向性を向いて仕事をしていればよかったのですが、いろんな立場でホテル事業を支える人がいて成り立っている昨今のホテルの場合、そういった様々な役割をしっかり理解しておかなければいけないと感じたのが受講のきっかけです。


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Q 仕事とPHM講座の両立は大変だったと思いますが、その辺はどのようにやりくりしましたか。


実際、本当に大変でしたが、どのようにタイムマネジメントしたら両方をしっかり遂行できるかというのも自分に課せられた課題、試練だと受け止めていました。具体的には、毎日出勤前に一時間半、退勤後2〜3時間時間を作ってカフェなどで資料や課題図書を読みました。また、週末は課題のレポートやプレゼンテーションの資料作成に充てました。課題図書だけでは基礎知識が不足するテーマに関しては、ほかにもビジネス書を買って勉強しました。私の場合は、会社からの派遣ではなく、自分の意志での受講でしたが、それでも上司や同僚のサポートがなければここまで全力投球できなかったと思っています。また、最終プレゼンテーション会には、直属の上司だけではなく、総支配人まで応援に来てくださり、感激しました。会社には心から感謝しています。




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Q PHMを通し、ホテリエとして、ビジネスパーソンとして、どういった部分を補えたと思いますか。


リーダーシップ、ファイナンス、アセットマネジメントといった分野は、私にとっては新鮮で貴重な学びでした。一緒に学んだクラスメイトから得たことも大きいです。いろんなタイプのホテルの責任者、いろんな立場の人が集っていましたので、多様な考え方や、自社だけでは得られないアドバイスなども、大変貴重でした。また、懇親会などではお酒を飲みながら腹を割って話をし、「悩んでいるのは自分だけじゃない」という安心感も得られました。

社会人になると、失敗が許される場所というのは、それほどありません。ですが、ビジネススクールでは、失敗が許されます。どういうことかと言うと、事前課題のレポートの視点がまったくずれていたり、講師の先生が意図しているものと自分の発言が食い違っていたり、ケーススタディの問題解決の答えが間違っていたり・・・、リアルのビジネスだったら大きな傷跡になってしまいそうな失敗も安心してできるのがビジネススクールの大きな魅力であり、私がPHM講座を受講して本当に良かったと感じるポイントです。ですので、毎回、たくさん恥をかくつもりで受講していました。

また、知識を得るだけではなく、物事の考える視座なり視点なりも大きく変わったと思います。物事を大局的、そして対極的に考えられるようになったと思います。また、物事がどう展開されていくか、先を見据えて判断、アクションする癖がつきました。さらには、ロジカルシンキングの習慣も体得できたと思います。先生からは、What・Where・Why・Howというフレームワークを教わりましたが、この8カ月間、私の頭の中にはこのフレームワークがしっかり入り、この順番で物事を考えるようになれたと思っています。これも、本当に大きなことです。



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最後に、受講を検討している人にアドバイスをお願いします。


ある程度覚悟をもって参加されると良いと思います。毎回、予習があり、議論や発表を繰り返す講義があり、事後課題があります。私は、16回の講義すべてにおいて本気で臨んだので、毎回達成感を得ていました。講義後の懇親会も全て出席したのですが、そうした達成感を味わいながらのお酒は本当に美味しかったですね。例えて言うなら、16の険しい山を登っては下りを繰り返し、その度に体幹や筋力が増強されていくような、まさに脳の加圧トレーニングだったと感じています。









【18.10.19】人材シリーズE最終回「これからのホテル人材開発のあり方」 

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シリーズ「ホテルにおける超人材難時代の人の育て方」の最終回です。指導力のある管理職をどう見極めるか、管理職として未熟な人材をどう成長させるか、その取り組みをホテル人材開発担当者がどうつくっていくかの提案です。ホテルにて人材開発業務経験もある人材開発の専門家の論文です(匿名を希望されています)。ブログとしては少し長いですが、価値ある提案であり、ホテル業界への深い愛情を感じますので、そのまま原文を紹介します。

                               ●構成/宿屋大学




はじめに


宿泊や飲食という「体験」を売るホテルというビジネスにおいて、人材の重要性は言うまでなく大きい。ラグジュアリーな空間や素晴らしい料理など、ホテルのハードがゲストの印象を決める大きな要素であることは間違いないが、そこに人材が介在することにより、ゲストにとってホテルでの体験は何倍も素晴らしいものになりえるし、逆に大きく価値を損なうこともありえる。他ホテルとの差別化を実現するためには、ゲストの体験を素晴らしいものにできる優秀な人材を確保、育成することが肝要であるが、今後ホテル業界の人材獲得は難しい局面を迎えることになる。


魅力的な人材を惹きつけられるかは、ホテルの存続を分ける生命線


まず、ホテル業界に限らず日本全体における労働力人口の減少がある。全体数の減少に加え、その構成においても若年層の減少と老年層の増加が加速しており、各ホテルにおいて最も人材のボリュームが必要な若年層の確保が困難になってきている。

さらに、ホテル業界の採用環境に目を移すと、ホテル間での人材の取り合いというだけ ではなく、他業種も軒並み採用数を増やし、もはや全企業が競合といえる環境の中で、不規則な勤務時間で重労働のイメージのあるホテル業界は、他業種との競争に敗れて人材を失うケースも少なくない。 加えて、折からの訪日外国人数の急拡大と 2020 年の東京オリンピック、パラリンピックの開催決定を受けて、日本中に空前の新規ホテル開業ラッシュが訪れている。爆発的に増えるホテルの数に対し、それに見合う人材の供給が追いつかず、人材不足による倒産も現実味を帯びている。 ホテル業界を担う人材の絶対数を増やすための議論については、労働環境の改善や外国人労働力の活用拡大など、ホテル業界、および国を挙げての議論がなされるべきだが、限られたパイの中で魅力的な人材をいかに自社に惹きつけるかはホテルの存続を分ける生命線であり、ホテルHRにとって先延ばしにすることができない喫緊の課題である。


「起きたことへの対処」ではなく「起こさないための戦略の構築と実行」を


本来であれば、ホテルHRは、その時間と労力の多くを働き手にとって魅力的と感じられる環境作りに割くべきところであるが、果たしてどれだけの熱意を持って効果的に取り組むことができているだろうか。事務的な作業を淡々とこなすだけの影響力の薄いHR(熱意が少ないケース)や、逆に影響力を振りかざしたいがために的外れな施策を講じる厄介なだけのHR(熱意の解釈と使い方を間違えていて効果が薄いケース)に、魅力ある組織作りが難しいのは当然である。例え熱意を持っていたとしても、効果的に立ち回れるかというと、現実はそれほど簡単ではない。なぜなら、すでに起きてしまっていることへの対処に多くの時間と労力を割いているため、課題だと分かっていながらも問題の根本的な部分に手を付けることができていないからである。しかし、それでは今後より苛烈さを増す人材獲得戦争は勝ち抜けない。どこかで、「起きたことへの対処」から「起こさないための戦略の構築と実行」へとスイッチを入れ替えないといけない。

この論文では、旧来のやり方から脱却し、今後起きえる問題に対して前向きに手を打つアクティブなHRの在り方を「管理職昇格時の360 度評価の導入とその運用」を題材に考えていきたい。


どんなに質の良い水を入れても、器に穴が空いていては、水は溜まらない


まず、現在のHR が陥っているジレンマについて考えてみる。本来手をつけるべき問題の根本部分の解決に手が回らないのは、起きた問題への対処に膨大な時間と労力を割いているからだと先に述べたが、具体的には人材の流出=退職に伴う手続きと、退職に伴う空きポジションを埋めるための採用に追われている。 「退職手続きと採用に追われる」→「根本的な問題の解決に手が回らない」→「就労環 境が改善しない」→「組織の魅力が高まらない」→「退職が増える」→「退職手続きと採 用に追われる」…、という無限の負のループに陥っているのである。熱心なHRは、採用の質を上げることで状況の改善を図ろうと試みるが、どんなに質の良い水(人材)を入れても、器(ホテルの組織)に穴が空いている状態では中身は良くならない。

ではどこに手を付けるのか。上記の負のループのうち、 「根本的な問題の解決」に力を注ぐことができたらどのような変化が期待できるだろうか。 「根本的な問題の解決に着手する」→「就労環境が改善する」→「組織の魅力が高まる」 →「退職が減る」→「退職手続きや採用に割く時間を減らせる」→「問題の解決、就労環 境の改善、組織の魅力の向上のためにより多くの時間と労力を割ける」…、という正のル ープが始まる。強固な器を作り、そこに良い水を注いでいけば中身の質も上がり、再び器に穴が空くことはなくなるはずだ。



管理職はコミュニケーションの要


こうした正のループを生み出すための施策の一つとして、今回は管理職昇格時の360度評価の導入とその運用を取り上げたい。管理職をターゲットにした施策を題材とするのは、 ホテルのビジネスの成否において管理職の存在が極めて重要だからである。管理職の担うべき役割はとても幅広い。利益追求という目的を果たすため、自部門の売上向上を図り、同時に無駄な出費を抑える。しかしそのコスト削減によりサービスの質が落ちることがないよう高度なバランス感覚を発揮し、高い顧客満足を実現することが求められる。ピープルマネジメントにおいては、力量、性格、働くモチベーションが異なる多様な人材を率い、個々の持つ力を集約してチームの総力としての最大のアウトプットを引き出すという重要な役割を果たす。「仕事だからやる」、「生活のために必要だから仕方なくやる」という味気ない仕事ではなく、一人ひとりが自己の成長を実感しながらやりがいを持って働ける環境を創ることが求められる。

また、自社が目指している方向性を正しく理解し、それをチームに落とし込んで浸透させていくのも大切な役割である。いま会社で何が起こっていて、経営陣がどのように考え、今後どのような方針が取られていくのか。経営陣と一人ひとりのチームメンバーとの間でコミュニケーションのハブの役割を果たすことで、正しい理解と納得感が醸成される。これだけ多くの役割を果たす管理職がその求めに応じて十分なパフォーマンスを発揮できるかどうかは、その部門にとって、さらにはホテルにとって、ビジネスの成否を左右する最重要な要因になりえる。

しかしながら、上記のような管理職としての役割を正しく理解し、ふさわしい行動、言動で応えることができる管理職は、現実的にはかなり限られていると感じる。こうした現状を作り上げているのは、何もその管理職個人の資質ばかりではなく、その選定の方法にも問題があるのではないだろうか。現実の選定の場面においては「日々の業務をいかに回すか」に重きが置かれ、部門やホテルのビジネス結果を左右する重要人物を選んでいると いう視点が欠けがちであるように感じられるのである。



問題のある管理職昇格の3パターン


ここで、実際に起こりえる誤った管理職昇格の事例をいくつか紹介したい。

まずは、管理職になる前の段階において、非常にパフォーマンスが高い「スタープレイヤー」が抜擢されるケースである。チーム力の向上に意識して取り組んだ結果、その報いとして抜擢されるのではなく、個人としての能力の高さが「結果として」チームへの貢献になっていたというケースである。スポーツの世界でも「名選手、名監督にあらず」という例が多く見られるが、ホテル業界においても同様である。管理職の役割として、チームの総力で結果を出すことが求められるが、スタープレイヤーは人にタスクを任せて回収するのを待つよりも、自分がやった方が早いし仕上がりの質も高いと考える傾向にある。

当然のことではあるが、一人でやれることには限界があることから、最終的にはチームとしての成果は下がることになる。また、「スタープレイヤーとして結果を残し続けてきた人には、できない人の気持ちが理解できない」という特徴が表れやすい。スタープレイヤーがこなすのと同等のレベルで要求に応えられるチームメンバーの数は当然限られる(またはいないかもしれない)が、それが理解できない。人はそれぞれに良さがあるし、成長のスピードも人それぞれであるのに、それに気づけずに厳しく当たってしまったり、早期で人を見切ってしまう。結局、メンバーがチームを去ることになっても、 代わりになる人材を容易に見つけることなどできないため、人材の流出に歯止めが掛からずにチームが崩壊してしまう。

二つ目に、上司からの評価が高い人材が抜擢されるケースである。ポイントは、評価が高いのは上司からのみで、同ポジションの同僚や部下、他部署からの評判が悪いことである。上司から頼まれた仕事はそのほかの優先順位を崩してでも最優先で対応することから、上司からは「レスポンスも早いし優秀」という評価を受けることとなる。しかし、崩した優先順位の歪みは当然そのほかの場所に波及することになるため、上司以外が良い顔をす ることはない。 こうした人材が抜擢された際によく陥るジレンマとしては、例えば部下が「もうあの人の下では働けない」と悲鳴を上げた場合においても、問題の解決に時間が掛かることが挙 げられる。HR からその管理職の上司に対し問題になっていることを説明し、解決に向けて アクションを取ってもらうよう依頼しても、その上司は何が問題であるのかを理解することができない。それは問題となっている管理職は上司には良い顔しか見せていないためで、上司としても「あいつは良くやっているから」とそれ以上深く考えようとしない。複数の部下から悲鳴が寄せられ、いよいよその管理職を外すのか、その人物が残るのであれば複数の部下が退職する、という究極の選択が求められる場面においても、上司は決断することができない。なぜならば、その上司にとっては常に自分のために結果を出してくれる優秀な部下を失うことになり、困ってしまうからである。結局判断が遅れ、希望を失った部下が会社を去ることになるのは非常に悲しいことである。

三つ目は、とりあえず空いたポジションを埋めるために、まだ準備が整っていない人材を抜擢するケースである。地位が人を育てることももちろんありえるが、うまくいくケースは限られており、例えうまくいったとしても狙った通りになったというよりは「ラッキーだった」としか言えない。こうした抜擢が行われるのは、先に述べたように「オペレーションを回す」ために必要だからで、本来管理職に求められている役割からは大きく離れており、最大のビジネス結果を望むのは難しい。



部下に「その人に付いていきたいと思えるか」を問う


誤った人材の管理職昇格が、時に組織を滅ぼすほどのリスクを帯びていることを述べてきたが、それでも次の管理職を選ばなければならない場面が訪れた時に、組織の力を高める正しい人材を抜擢するための具体的な案として、360 度評価の導入を挙げたい。通常、昇格の決定においては部門長の推薦をもとに、人事部長、経理部長、総支配人などの関係者による審査、承認を経て決定に至るケースが多い。この審査の過程に部下や同列の同僚、業務上やり取りの多い他部署の関係者を含めることが、今回の提案の主旨である。部門の上司から管理職昇格についての推薦があったときに、HR主導でアンケートを実施する。内容はシンプルであればシンプルであるほど良く、回答に時間と手間がかかり過ぎることで回答が得られないという事態を防ぐ。また、その回答を誰から得たのかを被考課者に漏洩しない旨を約束することを前提に、記名での回答を依頼する。

まず、同部門の部下、同列の同僚に問うのは、端的に言えば「尊敬できる上司か」、「その人に付いていきたいと思えるか」である。それを問うための具体的な質問の例を挙げてみる。

@その部門で必要とされる専門知識を備えているか(5 点満点)
A十分な問題解決のスキルを備えているか(5 点満点)
B部門が抱える困難に対し、積極的に関与して解決に取り組んでいるか(5 点満点)
C自分に対するコミュニケーションが十分であると感じるか(5 点満点)
D被考課者の関心はどこに向いていると感じるか (@. 上司、A. ゲスト、B. 部下・同列の同僚、それぞれに対し 100%のうち何%ずつか)
E立場が違う人(部下、パートタイマーや派遣スタッフ、外部のパートナー会社のスタ ッフなど)への配慮があるか(5 点満点)
F被考課者の強み、弱みはどこにあるか(フリー記述、任意)
G被考課者が今後管理職になることへの期待と懸念はどういったものか(フリー記述、 任意)
H被考課者が良い管理職になるために必要と感じるのはどういったことか(フリー記述、 任意)
I被考課者を管理職に推薦するか(Yes/No)

@とAはセットで、Aがあれば@を備えた同僚、部下と協力することで問題解決を図っていけることから、必ずしも@を持っている必要はないと言える。Bは率先して取り組む姿勢のない上司は尊敬を勝ちえることはないであろう。Cは業務上の指示以外にも多くのコミュニケーションを取ることで、被考課者の人間性や考えを知り、人としての魅力を感 じる機会が十分にあるかを問うている。Dは先に述べた誤った管理職昇格の 2 つ目の例が 当てはまるかを知るために問う。Eの質問は、地位が上がった途端に急に尊大になり、自分より弱い立場の人に対して横柄な態度を取る人がいるが、その危険性を測るために非常に効果的だ。一方で、どんな立場の人にも平等に接する人には、その人が本当に困った時や必要とした時に周囲が自然と手を差し伸べるものだ。FからHのフリー記述項目は、@からEの質問で点数をつけるだけでは拾いきれない回答者の心の声を拾うのに有効である。 そしてIで率直に管理職として、上司として認められるかを問う。

他部署の関係者に問うのはその人と仕事がしやすいかである。ここでいう「仕事のしやすさ」とは、なあなあで仕事をするという意味ではなく、会社の全体最適のために協力して仕事を進められるという意味であるが、それを問うのに下記のような質問をぶつけてみたい。

@自部署とのコミュニケーションは良好か(5 点満点)
A被考課者と自部署との利害が相反する時に、ホテルの全体最適やゲストにとっての最 適を考えた落とし所を見つけようとしているか(5 点満点)
B被考課者が今後管理職になることへの期待と懸念はどういったものか(フリー記述、 任意)
C被考課者が自部署と良好な関係を築くことができる管理職になるために必要と感じ るのはどういったことか(フリー記述、任意)
D被考課者を管理職に推薦するか(Yes/No)

ホテルの仕事は個人や自分の部署のみで解決できることばかりではなく、様々な人、部署の協力によって解決に導くことが多いことから、@で問う各部署間の良好なコミュニケーションは欠かすことができない。また例えば他部署から何かしらの依頼を受けた時に、その日の気分や依頼主との関係性によって判断の基準が変わるのは好ましくない。Aで問うているようにホテル全体の目線、ゲストの目線から、ときには譲歩し、ときには自己の主張を押し通しながら最適な解を見出すことが管理職には求められる。BおよびCで被考課者の具体的な良さ、至らなさのヒントを掴み、Dの質問で率直に被考課者と仕事がしやすいかを問う。



管理職人材の「選定」だけではなく、キャリア形成にも最大限利用する


上記のようなアンケートを実施して得られた結果を点数化し、一定の基準を満たせば昇格を認めるが、満たせなかった場合には昇格を見送る。誤った人材を管理職に昇格させないで済むという点では、この仕組みの導入はそれなりの効果を上げることができるであろう。しかし、ホテルが抱える人材の開発を担うHRの役割として、それは十分な成果といえるだろうか。はじめに述べたように、ホテル業界の人材を巡る競争が今後ますます苛烈さを増していくなかで、一人の人材が管理職になるための要件を満たさなかったからといって、すぐに同レベルかそれ以上のレベルにある他の人材を内外から発掘するのは非常に難しい。であるならば、ホテルHRとしての役割は、この仕組みの目的を管理職人材の「選定」に使うのに留めるのではなく、このアンケートの結果としてあぶり出された被考課者の現在の立ち位置を把握し、到達したいゴールとの差を埋めるための継続的な「支援」の材料として、将来的にはその人材が管理職として活躍できるよう、成長を促すことなのではないだろうか。





仕組みの導入に留まらないHRの役割


被考課者が上司から信頼を得ているのはもちろんのこと、同列の同僚や部下、他部署の関係者からも認められている人材の場合、会社は管理職への昇格という形でこれまでの貢 献に報いる。旧来の HR であればその手続きを滞りなく進めることで及第点なのであろうが、人材難の時代を勝ち抜く HR の役割としては十分ではない。 今回のアンケートの結果をフィードバックする機会を持ち、その場を新任管理職の今後のキャリア形成のために最大限利用する。集まったポジティブなフィードバックを伝えるのはもちろんのこと、本人にとって耳が痛いことでも率直に伝える。これは、より良い管理職になるための向上のヒントとしてとても重要である。今後のキャリアプランもヒアリングし、その実現のために会社としてできるサポートについて一緒に確認する。そして何より、会社がその人材を重要な財産として大切に考えているということを伝えるのを忘れてはならない。一方、昇格のための基準に満たなかった場合は、この機会を今後の大きな成長のための重要な分岐点とするために、より多くの労力と時間を割いてフィードバックを行うべきだ。


「足りない部分を埋めた未来は今よりも良くなる」と伝える


まずは、「次の管理職候補として期待されていること」と、「どういった点が評価されているのか」を伝える。一方で、「管理職になるにはまだ向上を必要とする点がある」ことを率直に伝える。しかし、それは決して悲観的なことではなく、これまでの良さを残しつつ現在足りていない部分を埋め合わせていくことで、今後管理職としてさらなるキャリアの発展の可能性があることを示す。大切なのは、足りない部分を埋め合わせた未来が今よりも良いものであると想像させることだ。より良い未来が見えているからこそ、苦手な分野や向上が必要と気づいていながら後回しにしていたことに着手するためのモチベーションが生まれる。こうして意欲を高めた上で、いつまでにどうやって望ましい地点にたどり着くかを、具体的なアクションプランと期限を設定し、合意を形成する。HR としてできるサポートについても最大限に実行していくことを約束する。

こうしたディスカッションが最大限の効果を生むためにも、先のアンケートでより詳細で正直なフィードバックを得られていることが極めて重要だ。先にアンケートはシンプルであればシンプルであるほど良いと述べたが、こうした仕組みを導入する際に「より素晴らしい仕組みにしたい」というHRの欲が出過ぎてしまうと良くない。あまりに凝りすぎて回答するのが面倒臭いと感じられるようでは、有効な回答は得られ難い。HR の成果を示すための導入ではなく、貴重な人材に成長の場を与えるという導入の目的を忘れてはならない。

アンケートを記名式にするのも重要なポイントである。無記名の場合、回答内容の責任を問われないことから個人的な好き嫌いのみで判断したり、日頃蓄積している文句をぶつけるだけの場になってしまうことがありえる。しかし、気に入らない人の足を引っ張り合うような組織に成長は望めない。被考課者の存在がホテルの健全な血流の妨げになっているのであれば、それに不満を持つ者は文句を言うことでなく、「こうなってほしい」という期待を伝えることで改善に貢献できるはずだ。そのため、「なぜそのような回答をしたのか」と疑問を持つことがあれば、HR がそれを回答者本人に直接確認し改善につなげられるようにしたい。 アンケートに回答した結果、被考課者が目に見えて変化したという実感を持ってもらえれば、「このホテルは良くなっていく」という希望を持ってもらえるし、そうでなければ「言っても無駄」となる。HR の取り組み次第で集めたたくさんの声は宝の山にもなりえるし、逆にゴミの山にもなりえる。



理想的な導入の形


こうした評価の仕組みをどのタイミングで用いるのが望ましいか。管理職ポストに空きが生じ、そのポストに収まるのは誰がふさわしいかを探して、そこから評価に掛けるのでは遅い。評価結果が良好で、「管理職昇格の準備ができていた」ということであれば、それは幸運だが、評価の結果、「その候補者の準備がまだ整っていない」ということが明らかになった場合、重要な管理職ポジションが空いたままの状態で準備が整うのを待つか、いつ見つかるか分からない(もしくは見つからないかもしれない)外部の人材を探すことになる。準備が整っていないまま「組織の見た目を整えるため」に昇格させることはできる限り避けたい。準備が後手に回ると大きな機会損失を招いてしまうが、それを防ぐためにも次の管理職を担う人材を早くに選定し、360度評価を用いて現在の立ち位置を明らかにして、管理職としての準備を整えるためのアクションプランの実行を開始しておきたい。理想形は、各部門キーポジションの後継者育成のためのサクセッションプランのスタートとして、後継者候補として選定された人材の現在の立ち位置を把握するのに用いるのが最も効果的と考える。


おわりに


ホテル内で血流が滞っている箇所を見つけ、解決のための施策を構築し、その施策の運用を通じてホテルの働く環境を改善して、組織としての魅力を高める。HR がこうした役割を果たすことができた時、ほかのホテルとの人材を巡る戦いを優位に進めることが可能となる。 今回題材として取り上げた管理職昇格時の 360 度評価の導入は、仕組みとしてはそれほど目新しいものではない。しかし、もしこれを効果的に運用することができれば、被考課者は管理職として成長する機会を得て、管理職として働くことの楽しみややりがいを見つけることができ、そのホテルで働き続けることのメリットを存分に感じることができる。

そうして管理職が生き生きと働く環境下では、自分もいつかあのような管理職になりたいという目標を持ち、日々の業務に前向きに取り組む、新たな魅力的な人材が生まれる。良い人材が集う組織には良い人材が惹きつけられ、いつか、冒頭に書いた人材不足など嘘のように、 「人材で勝つ」組織が出来上がる。HRとして忘れてはならない大切なことは、仕組みを作ることが目的ではなく、その仕組みを活かしてホテルの成長に貢献できるよう熱意を持って取り組むこと、自分が評価されるためにやるのではなく、ホテルの全体最適のためにやること、そして、HRとして関わる人の成長のために本気で向き合うこと。もちろん言うほど簡単なことではないが、一人でも多くの人に成長ややりがいを実感してもらえる環境を作り、問題を抱える部門の問題解決や、所属するホテルの魅力の向上に貢献できる HRパーソンになっていきたいと思う。



【18.10.01】連載「お金をかけずに今すぐできるWEB集客」vol.11

【短期収益編】≪第11回 自社ホームページで魅せる → 獲得!A「ホームページの1面トップに何を載せるか?」 スマホ編≫



宿屋大学メールマガジン読者の皆々様へ

(株) 宿援隊 & (株) 宿 力 の石井太樹です。第11回のメールマガジンを配信させていただきます。

前回、「ホームページPC版のトップ画面に何を載せるか?」についてお伝えしましたが、今回は、「スマートフォンページに何を載せるか?」 について述べたいと思います。

そもそもホームページには、『吟味検討したい』 と 『さっさと予約したい』 という2つのニーズがありますが、スマートフォンページについては、後者のニーズが高い傾向です。
ただ、とりわけ若年層は、吟味検討もスマートフォンでする傾向があるので、スマートフォンページについては、PCページ同様、両方のニーズに応える必要があるわけです。(大学のレポートまでスマートフォンで作成していると聞いた時は、さすがにビックリしました)
※上記傾向は、とりわけリゾートホテルや温泉旅館など、観光需要(レジャーユース)が高い施設や高級ホテル・旅館に顕著です。

それでは、上記2つのニーズそれぞれについて、実在するスマートフォンページを紹介したいと思います。

まずは、『吟味検討したい』 というニーズについてです。


《“吟味検討” 対策》

今回も前回メルマガでPCページを紹介した 《大船渡温泉》 を事例に挙げます。
再掲しますが、この施設の魅力、とりわけUSP(Unique Selling Proposition) = 競合他館が真似できない、あるいは真似しにくい独自の “ウリ” は

@高台に真東向いて位置しているため、水平線など三陸海岸の眺望が素晴らしい。とりわけRising Sun(ご来光)はお見事。

Aこの施設のオーナーは漁師 = 三陸の取れたての魚貝類が堪能できる

です。


この “ウリ” をPCページ同様、『魅力抽象』 → 『魅力具体』 → 『宿泊プラン』 という構成で露出します。
この構成こそが予約獲得への最短距離です。


T.『魅力抽象(イメージ)』 (PCページと同じです。詳細は前回のメルマガ
をご覧ください)



※魅力をイメージとして発信するスライド画事例 4〜7枚が適正


U.『魅力具体』 (PCページと同じです。詳細は前回のメルマガをご覧ください)

前回のメルマガ


※『魅力具体』事例:タイトルは「大船渡温泉の魅どころ」 画像中心→文字で補完


V.『宿泊プラン』 (PCページと同じです。詳細は前回のメルマガをご覧ください)

前回のメルマガ

※売れ筋宿泊プラン露出事例:『魅力抽象』→『魅力具体』の直下に露出するのがミソ




繰返しますが、『魅力抽象』 → 『魅力具体』 → 『宿泊プラン』 という構成が、予約獲得に繋がる構成になります。
《“さっさと予約” 対策》



W.『トップページ最上部』



トップページ最上部には、電話番号を必ず記載します。なぜなら、アナログチャネルとはいえ、電話予約も(コミッションのかからない)大事な販売チャネルだからです。その際、ただ電話番号を載せるだけでなく、「ここをタッチしたら、直電かけられまっせ〜〜〜!」というメッセージを添えることも重要です。
また、最上部には、「交通・アクセス」ボタンを掲載することも重要です。なぜなら、スマートフォンで検索する消費者がトップページの次に閲覧するのは、「交通・アクセス」だからです。
※利用当日、カーナビや地図がわりにする人を含みます。
この点がPCで検索する消費者の傾向と異なります。
※PCの場合、消費者の趣味趣向により、トップページの次に見られるページが「客室」「料理」「風呂」「周辺観光」など、多岐に分散する傾向です。



※最上部には必ず「電話番号」と「交通・アクセス」を掲載!!


X.『4つの固定』



スマートフォンで、「大船渡温泉」のトップページだけでなく、「客室」「料理」「温泉」など、他のページもご覧ください。
なにかに気付きませんか??? そう、最下部のタブ(ボタン)が固定しているのです!
左から「宿泊予約」(スマホによるWEB直予約 色味をつけて目立たせる!)→「お電話」(電話マーク・・・いかにも直電がかけられそう)→「交通・アクセス」(上述の理由から、「交通・アクセス」は独立させる = One of Them にしない が鉄則!)→「メニュー」(すなわち “その他”) という構成になっております。
消費者の趣味趣向は、千差万別です。よって “刺さる” 場面が異なります。客室重視の人は客室ページで、食重視の人は料理ページで、お風呂重視の人は温泉ページで、それぞれ刺さった場合、上部に戻ることなく、「即WEB予約」「即TEL予約」できる環境を整えることが重要なのです!なぜなら、ビジネスは、「消費者に刺さった時が売り時」だからです。
この『4つの固定』により、コンバージョン率(予約成約率)は俄然UPするはずです。
尚、PCページの場合、上部固定でも、下部固定でもいいのですが、スマートフォンページでは下部固定でないとダメです。
スマートフォンを片手で持ってください。きっと貴方は中段から下を持つはずです。
その際、(左手で持った場合)もし上部固定だったら、親指届きませんよね?
下部固定なら、親指が届き、片手で容易に各タブが押せます。
そして、近い方(左側)から「宿泊予約」→「お電話」→「交通・アクセス」→「メニュー」とすることで、より簡単に予約ができる環境を整えることが肝要なのです。
こうしたユーザビリティーを鑑みたページ構成にすることで、きっと予約獲得がUPしますヨ!!


※「宿泊予約」→「お電話」→「交通・アクセス」→「メニュー」  を下部固定することで、予約獲得とユーザビリティー向上!




次回(最終回)は、レベニューコントロール = リストリクション(販売制限)
⇒ 「同伴係数(一室人数)コントロール」「“松竹梅”戦略」「販売チャネル戦略」 についてお伝えしたいと思います。


なお、これまでのバックナンバーは、
http://www.yadoyadaigaku.com/info/data1/171006-081601.html

をご覧ください。


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“WEB集客とレベニューコントロールのプロ集団”
 株式会社 宿援隊 代表取締役社長
 株式会社 宿力 取締役東京支社長 
 石井 太樹
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【18.09.30】人材シリーズD「スタッフの幸せ度合いと、生み出す価値の総量は正比例する」 

         

シリーズ「ホテルにおける超人材難時代の人の育て方」の五回目は、「社員の幸せ」にフォーカスします。社員の離職が激しいホテルを見るにつけ、そのホテルの経営者やマネジャーは、「なぜお客さまや上司に使うホスピタリティマインドを、部下や後輩に使わないのだろうか」と疑問を抱きます。ES(社員満足)がCS(顧客満足)をつくり、CSが収益をつくるというサービスプロフィットチェーン理論が周知されているにも関わらず、いまだにスタッフをコマとしてしか考えなかったり、人間扱いしなかったりするホテル経営者やマネジャーがいるのは、驚くばかりです。今回は、「ホテル経営はスタッフの幸せが原点」というポリシーでいくつものホテルの総支配人を務めた、宿屋大学の秋元達也顧問が、「ESが健全なホテル経営をする大前提となる」論理を伝えます。

                         ●文・宿屋大学 顧問 秋元達也



マネジャーとは、人を育てられる人のことを言う


私が現役のホテル総支配人だったとき、ホテル運営を何から始めたかというと、「社員の幸せをどうつくっていくか」を考えることからでした。私は4つのホテルで総支配人という職を担いましたが、どこも、社員の幸せから取り組んだ結果、CSも利益も向上した経験があります。このことをホテル経営者に知っていただき、行動に移すきっかけになればと思い、今回ブログの一パートを担当しようと思いました。

大前提として、マネジャーの必須要件には、「人を育てる」というタスクがあります。
「マネジメントができる」ということは、人材を育てられるということです。人を育てられるマネジャーこそ評価し、昇給させていくべきなのに、多くのホテルでは、@経験年数が長い、A接客技術が高い、B上司の方ばかり向いている、Cお客さまにだけはいやに愛想がよいといったマネジャーばかりが評価されているのが現状ではないでしょうか。こうしたホテルでは、部下を育てることを重要視しないのです。

人を育てられないマネジャー、その人の下で働く人はいつも辛い顔をして仕事をしていたり、離職が続くといった状態のマネジャーは、経営者がしっかり対処しなければいけないのです。サービスマンとして優秀であっても、マネジャーとしては失格です。決して放置してはいけません。

ソリューション(解決策)は、シンプルです。
評価制度のなかで、「部下を育てられているか」という項目を設け、それを重視する評価制度にすればいいのです。

もちろん、経営者というリーダーが、「スタッフを大切に思う気持ちを持ち、リーダー自らスタッフを育てることを優先する」スタンスを持たなければ何も始まらないことは言わずもがなですが。売上・利益が伸び悩んだり、予算未達に陥りそうになる時というのは、利益にばかり目が行きがちですが、経営者たるもの、サービス業の場合、売上・利益というのは、スタッフがつくっていることを肝に銘じ、スタッフの幸せを追求することを自分のミッションに置くべきなのです。

人は、必要とされると自分は意味のある存在であることを感じて幸福感を得ます。
よいチームの中で、助け合いながら仕事ができていると自分の居場所を感じて幸福感を得ます。
感謝されたり褒められても幸福感を得ます。
給与や休みも大事ですが、お金のかからない上記のようなマネジメントの対応も、とても大事なのです。


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社員が幸せであることの経営的な意味


では、社員が幸せであると企業経営においてどんなメリットがあるかを考えてみたいと思います。私が改めて述べるまでもないことばかりですが。

@自発的に動いてくれます。幸せなスタッフが仕事をすると、上司からの指示を待つのではなく、自分で考えて、お客さまのため、会社のために、喜んで働いてくれます。

Aハッピーが循環します。ハッピーオーラを振りまきながら、笑顔で仕事をすると、それが伝播します。空気感染するかの如く、スタッフやお客さまにも伝わっていきます。

B離職率が下がります。「新規スタッフ募集」をする必要が少なくなり、その面での経費が削減できます。また、「離職率が低い」という事実は、その会社のイメージが良くなり、入社希望者が増え、質の高い人材が集まります。採用ばかり努力しているホテルをよく見かけますが、採用にかける手間暇コストよりも、離職を減らす手間暇コストの方がよほど少なくて済むのです。




CSのためのESではなく、ESのためのCS


「ES」を最優先させているホテル企業の事例を紹介します。
このホテル企業は、宴会場を敢えて持っていません。なぜ宴会場を持たないのか。選択と集中という考え方もありますが、一番は、ES維持のためです。宴会場で夕食を取った後の光景を思い浮かべてください。「酔っぱらって大声を出す」「スタッフに絡む」お客さまの光景が容易に想像できるのではないでしょうか。スタッフに余計なストレスを与えないようにしているのです。こうすることによって仕事の集中力を、最も来ていただきたいお客さまに向けることができるのです。結果、CSが上がります。

一般的な考えですと、「ESは、CS向上のために行なう」のですが、この企業の場合、「ESのためにCSを向上させる」のです。ホテルで働く人のモチベーションは、お客さまの喜びから生まれることが多いからです。


生み出す価値の総量は、スタッフの幸せ度合いと正比例する


サービス業においては、スタッフは労働力でもあり、商品でもあります(お客さまはスタッフの応対でホテルの質を判断しますから)。少しでも多くの利益を出すには、スタッフたちが最大の力を発揮できることが望まれます。その力を引き出すのは、リーダーの考え方、行動力がすべてです。私は、スタッフたちが創り出す力(価値)の総量は、スタッフたちの幸せ度合いと正比例すると確信しています。スタッフたちの幸せが経営の原点であると認識し、覚悟を持って臨めるか、経営の成否は、このようなリーダーの胆(たん)にかかっているのです。



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●秋元達也プロフィール

大学卒業後、ホテルオークラ入社、レストラン・宴会関係を現場で経験、郊外型レストランにてオペレーション、マネジメントを経験。退社後、ホテル事業家を目指し、レストラン会社を共同で立ち上げ経営をしたが、2年間で失敗を経験。その後ANAエンタープライズ(株)に入社、京都全日空ホテルの開業準備、開業後料飲部統括、東京全日空ホテルにて宴会関係、宿泊関係の現場を経験し、宿泊部長、料飲部長を歴任し、マネジメントをしっかり経験・教育される。その後、万座ビーチホテル(沖縄)、松山全日空ホテル、千歳全日空ホテル(北海道)、成田全日空ホテルにて総支配人を経験、定年退職後、住友不動産ヴィラフォンテーヌ(株)入社、直営15ホテルの運営責任者を経て、ホテル・旅館のコンサルタント「エーエム・ワークス」にてパートナーとして活動、主に地方のホテルに対してのコンサルを実施。2017年、宿屋大学顧問に就任、現在に至る。




【18.09.13】人材シリーズC「もしかして、あなたもブラック上司?!」 

インタビュー 株式会社 Indigo Blue 代表取締役会長 柴田励司氏


シリーズ「ホテルにおける超人材難時代の人の育て方」の四回目は、「ブラック上司」にフォーカスします。前回のパワハラ問題同様、「自分たちは正しいことをしている」との認識で部下と接していても、実は部下から見たら完全に「ブラック上司」の言動になっていることが多いのです。かつて京王プラザホテルでも働いたことのあるコンサルタント、株式会社 Indigo Blue の柴田励司代表取締役会長のインタビューと、柴田氏の近著である『もしかして、ブラック上司?』の内容をもとに、「ブラック上司にならないためのポイント」を紹介します。

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ブラック上司診断表


まずは、下記の問診票にお答えください。

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この「ブラック上司診断表」は、柴田氏の『もしかして、ブラック上司?』に紹介されているブラック上司病にかかっている症状の具体例をリストアップしたものです。半分以上に✓マークが入った人はご自身の「上司としての在り方」を問い直す必要がありそうです。

診断リストの多くに✓マークが入ってしまった人には、下記のような傾向がないでしょうか。

@上司と部下には上下関係があると考えている
A気遣いは上司にすべきで部下にはしなくていいと無意識に考えてしまっている
B自分の価値基準で部下を指導すべきだ
C苦労や理不尽を耐え抜いてこそ、成長がある
D価値基準や常識が変化し、また多様化していることに気付いていない

これらの考え方は、20年前のホテル業界では「当たり前」にまかり通っていて、この考え方で上手くいっていたのかもしれませんが、今では通用しません。世の中は変化しているし、価値基準も多様です。また、20年の世代間には大きなギャップがあるのです。

ブラック上司になってしまう人の傾向は、この「変化を無視している」ところです。



ホテル業界はガラパゴス化している可能性がある?!


では、このように、時代の変化に気付かず、時代から取り残されてしまっている人たちに、どうしたらそれを気付かせてあげられるのでしょうか。それを知りたいと思い、柴田会長をインタビューしました。

まずは、この現状をどうお感じになっていますか。

柴田 今回のブログ連載のお話をいただき、一連の内容を拝見しましたが、ホテル業界の実情は、私がホテルで働いていた30年近く前と、あまり変わっていないように感じました。チアリーディングや体操の話とか、アメフトの例とか、スポーツ界では、まだまだ根性論一辺倒で「汗と涙を流せ」的な指導がはびこっていますが、それと同じ環境でしょうね。

ブラック上司の典型的な症状のひとつに、「部下の時間を奪う」ということが挙げられます。

上司として決めなければいけないことも決めない。だから、部下はどうしていいかわからないために前に進めない、仕事ができないということがあります。これは、明らかにブラックです。部下の状況を確認しないで、自分の都合だけで部下を呼びつけたりすることなども、気付かぬうちにやっちゃっている人は多いと思いますが、これもブラック上司の症例には多いですね。または、会社が業務の効率化のためにペーパーレス化を進めようとしているのに、「昔から、この用紙を使ってやっていたのだから、うちはこのままこれでやる」と言いつつ、部下に二度手間を強いるなどの症例もよく聞きます。

ようは、部下を自分のしもべだと勘違いしているのでしょうか

こういう方々は、自分がこれまでされてきたことをそのまま部下にやっちゃっているのです。

また、ホテル業界とスポーツ業界の共通点は、「上下という意識が強い」ということです。

いま挙がった「部下の状況を判断しないで呼びつける」や「決めないために部下の時間を奪っている」といったことがブラック上司の事例になっていることは、まだ気付いていない人が多いと思いますが、一方で、下記のようなことにはみなさん、やってはいけないことと気付き始めています。

例えば、
「定時になっても帰らず、その時間になると仕事のギアを上げる」
「部下の休日中にメールをバンバン送る」
「目的を言わずに指示命令をする」
といったことです。

もし仮に、こうしたことがダメなことであることにホテル業界が気付いていないのならば、その理由は「よその業界や、今の世の中の変化を知らない」ということなのだと思います。よその業界は、業界をまたいで転職をすることも当たり前ですので、いろんな価値観が比較的入ってきやすい環境にあります。しかし、ホテル業界は、転職は頻繁に行われているとはいえ、ある程度上のレイヤーになると業界内だけで動いている人がほとんどで、よその業界からの人の流入が極めて少ないということ、つまり閉鎖的な業界であることが、進化を妨げ、ガラパゴス化してしまっている原因なのではないでしょうか。そこが大きな問題なのだと思います。

仕事をする上でのスキルを、私は3つに分けています。
下記の3つです。

●特定スキル・・・・・・特定の会社の、特定の仕事に必要なスキル
●ポータブルスキル・・・どこの会社に行っても、どんな仕事についても必要なスキル
●心の持ちよう・・・・・人間性

で、ホテルで働く方々は、このうちの「特定スキル」を磨くことばかりに熱心なようです。ポータブルスキルを磨く努力をあまりしない。この辺にも課題がありそうです。

そういう意味では、外部の研修講師による研修や、外部のビジネススクールに社員を通わせるということも、ホテル業界では非常に控えめなのではないでしょうか?




「人材こそホテルの資産」と言いつつ、その資産を磨こうとしない


確かに、ホテル企業は「ヒトこそホテルの資産・商品である」と言いつつ、人を磨くことにお金を使わない傾向にあると感じています。産労総合研究所というところの調査によると、1人当たりの教育研修費用(2016年度実績額)は平均37,177円だそうですが、ホテルの場合、1人当たりの教育研修費用は、その半分もないところがほとんどだと思います。



柴田 大前提として、人を大事にする企業でないと、これからはますます人は集まらないと思いますよ。「人の意見に耳を傾けない」「人間性の否定をする」といったブラック上司がいまだにのさばっている企業は、いずれ淘汰されるでしょう。スポーツ界やホテル業界の方々は、自分を客観視する機会や、違う業界の人と話をする異業種交流会といった機会がないのでしょうね。自分たちの常識は、世間の非常識になりつつあることを認識すべきでしょう。

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仕事以外のところでつながっているかどうか


ご著書の中に、「ブラック上司とホワイト上司は紙一重の違いだけれど、その違いは信頼関係の有無」というメッセージがありますが、信頼関係が築かれている組織とそうではない組織は、根本的に何が違うのでしょうか。


柴田 これは、昔も今も変わらないのですが、要は「仕事以外のところでもちゃんとつながっているかどうか」です。仕事の時間だけのお付き合いだけではなく、息子さんが熱を出して欠席された同僚に翌日「息子さん、良くなった? 大変でしたね」といった気遣いの言葉を掛けられるかとか、休みの日に同僚が集まってどこかに出かけるとか、つまり、仕事を離れたときに付き合いの濃度が、信頼関係に直結します。

あとは、「リーダーがニコニコしているか」ですね。危機感をあおりすぎたり、暗い顔を見せたりするのではなく、話しかけやすいリーダーがいるところは、健全な組織になっています。



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      『もしかしてブラック上司?』柴田 励司 (著)
        単行本(ソフトカバー): 224ページ
         出版社: ぱる出版 (2018/4/11)


【18.08.26】連載「お金をかけずに今すぐできるWEB集客」vol.10

≪第10回 自社ホームページで魅せる → 獲得!A「ホームページの1面トップに何を載せるか?」 PC編≫


宿屋大学メールマガジン読者の皆々様へ

(株) 宿援隊 & (株) 宿 力 の石井太樹です。
第10回のメールマガジンを配信させていただきます。

前回、ページタイトルとディスクリプション対策についてお伝えしましたが、今回と次回は、いよいよホームページトップ画面に何を載せるか? について述べたいと思います。
今回はまず、PCページについてです。

第7回の配信で「楽天トラベル」の露出について触れましたが、自社ホームページについても全く同様で、

『魅力抽象(イメージ)』 → 『魅力具体』 → 『宿泊プラン』 が、売れるホームページの大原則です。
(第8回の配信で述べた通り、ホームページの影響範囲は、全販売チャネルに及びますので、上記構成は極めて重要となります。)

「楽天トラベル」での露出同様、“売りたい!” をいったん置いといて、“買いたい!” を創ってしまうのが、実は予約獲得の近道なのです。

それでは、その『魅力抽象』 → 『魅力具体』 → 『宿泊プラン』 の具体的事例を紹介いたします。

今回、具体的事例として挙げるのは、岩手県大船渡市にある《大船渡温泉》です。

※第7回配信 「楽天トラベル」の露出でも紹介し他施設です。以下、第7回の配信と相当カブります。

この《大船渡温泉》の魅力、とりわけUSP(Unique Selling Proposition) = 競合他館が真似できない、あるいは真似しにくい独自の“ウリ”は2つ。

@高台に真東向いて位置しているため、水平線など三陸海岸の眺望が素晴らしい。とりわけRising Sun(ご来光)はお見事。
※「俺の旅館も明日から、あの真東向いた高台に移転しよう!」 って、できないですよね? = USP

Aこの施設のオーナーは漁師 = 三陸の取れたての魚貝類が堪能できる
  (因みに、当館の料理には、肉料理は一切ありません。)
  ※「俺も明日から漁師やるヮ!」 って、できないですよね? = USP

以上2つのUSPを前提に、《大船渡温泉》のホームページ http://oofunato-onsen.com/ を見ていきましょう。
※以下、このページを閲覧しながら読んでみてください。
※前回の配信で触れた、「ページタイトル&ディスクリプション」についてもご確認くださいネ。


T.『魅力抽象(イメージ)』

消費者がそのページを真剣に見るかどうかは、最初の3〜4秒で決まります。
よって、トップページで消費者の “直感” に訴求する必要があります。それには文字より画像、それも魅力を端的に表した3〜7枚程度のスライド画が効果的です。(もちろん動画もいいのですが、制作コストを考えるとスライド画でも充分です)

当該施設では、1枚目「水平線から昇る日の出(Rising Sun)眺望」 → 2枚目「漁師オーナー・魚貝類」 → 3枚目「露天風呂からの眺望」 → 4枚目「客室からの眺望」 → 5枚目「カップルイメージ・眺望」 → 6枚目 さらに「三陸海岸の眺望」 → 7枚目 最後にようやく「外観」 というスライド画構成になっています。

さらに、各スライド画像の中に、「2秒で読み込める文字」 を補完的に組入れることで、より魅力が伝わりやすくなります。
ここでは、消費者の直感に刺さる露出にする必要があります。
(前述の通り、そのページが真剣に閲覧されるかどうかは、3〜4秒で決まります。)
また、次の画像に移るスライドのスピードが長すぎないことも大切です。



      ※下記は、魅力をイメージとして発信するスライド画事例

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外観の静止画1枚のみ という露出が散見されますが、それでは消費者に全く刺さりません!

U.『魅力具体』
上記 『魅力抽象』において、スライド画(あるいは動画)で的確に魅力を発信しているのに、その直下に『宿泊プラン』を掲載してしまっている施設も数多く見られます。確かに、『魅力抽象』でその施設の魅力が消費者に伝わりました。

消費者の気持ちもだいぶ「予約」に傾いたかもしれません。

しかしながら、『魅力抽象』では、あくまで魅力がイメージとして伝わったに過ぎません。
なので、『魅力抽象』の直下には、魅力を具体的に説明する必要があるわけです。

表現の仕方として、まず、タイトルで「●●ホテル 5つの魅力」「●●ホテルが選ばれる3つのワケ」「●●旅館の魅どころ」とするのが良いでしょう。

そして魅力の具体的な露出の原則は、「画像中心に文字で補完」です。(“文字祭り”はNGです!)

《大船渡温泉》 のページでは、

@まず、「大船渡温泉の魅どころ」 と露出
A魅力1として、「リアス式海岸特有の地形大船渡湾から太平洋を望む岩手三陸の大パノラマ」 と露出

(1)客室からの眺望 ※客室ページへ飛ばすボタン設置
(2)露天風呂&大浴場からの眺望 ※温泉ページへ飛ばすボタン設置

B魅力2として、「漁師のオーナーが厳選した岩手三陸の海の幸」 と露出 
 ※料理ページへ飛ばすボタン設置

Cその下に、「岩手三陸 アクセス&観光 大自然の造形美三陸ジオパークに指定された風光明媚な景勝地」 と表記し、立地上・環境上の優位性を露出 
 ※アクセスページ及び観光ページへ飛ばすボタンを設置としています。





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        ※「画像中心→文字で補完」で、魅力を具体的に発信!



V.『宿泊プラン』

魅力をイメージとして発信し、その魅力を具体的に伝えたならば、いよいよ宿泊プランの露出です。

その際、大事なのは、売りたいプランを載せるのではなく、実際に、継続的に売れているプランをブラッシュアップしながら、露出することです。
月に10本売れるプランが倍になってもプラス10本ですが、月に1000本売れるプランが1割増になればプラス100本です。「売れる商品をより多く売る」がビジネスの鉄則です。
※数字のマジック = “率”に騙されてはいけません!
(「率」より「額」あるいは「量」 ・・・ “前年●●%UP!” より “前年●百万円UP!” が大切です。)

実際の表現として、《大船渡温泉》 の事例のように、「おすすめプラン おすすめNo.1・おすすめNo.2・おすすめNo.3」などとすることで、より消費者に刺さるものと思われます。


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            ※売れ筋宿泊プラン露出事例
 
以上、T.『魅力抽象(イメージ)』、U.『魅力具体』、V.『宿泊プラン』 については、(ブランド戦略を鑑みなければ)基本的に楽天トラベルカスタマイズページと同じ構成で良いのですが、自社ホームページには、さらに2つの項目を加える費用があります。それはW.『新着情報』 と X.『3つの固定』 です

この2つについて、以下に記します。


W.『新着情報』

自社ホームページに、OTAにはない、旬な情報、リアルタイム情報を盛り込むことは、予約獲得上、極めて重要です。

具体的には、お祭や花火大会などのイベント情報、受験生向け情報、花の開花状況、海やゲレンデのコンディションなどが挙げられます。

それらを「トピックス」「新着情報」として随時更新する、あるいは、FacebookやInstagramで発信している場合は、それらをホームページ上に組込む という手段もあります。前者の場合、いちいちホームページ制作or管理会社にお願いして更新するのではなく、CMSといって、ホテル・旅館側でリアルタイムに更新できる仕組みを取り入れることをオススメします。


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        ※トピックス、SNSで新着情報・旬な情報発信!


X.『3つの固定』
 
今一度、「大船渡温泉」のホームページをご覧ください。楽天トラベルカスタマイズページとの違いに気付きませんか?

そう、「客室」「料理」「温泉」「アクセス」など、どのページを開いても、【予約検索パネル】と【電話番号】と【メインコンテンツ(メニュー)】 が上部に固定されているのです。
消費者というのは、その人の趣味嗜好、事情(観光かビジネスか?)により、刺さる場面・コンテンツが千差万別です。

食重視の人は料理ページで刺さる可能性があるだろうし、お風呂重視の人は温泉ページで刺さるかもしれません。

各ページで刺さった場合、上部に戻ることなく、すぐにWEB予約、すぐにTEL予約ができる構成にしておくことが予約獲得の上で極めて重要です。消費者が刺さった時が一番の売り時 なわけですから。

また、たとえば客室ページで刺さったとしても、「お風呂はどうなんだろう?」「どんな食事なんだろう?」となる場合も多々あるかと思います。そんな場合も、メインコンテンツ(メニュー)を固定させることで、いちいち上部に戻ることなく、スムーズに見たいページへ移動できることも、離脱を防ぎ、予約獲得を上げるために重要です。


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※「予約検索パネル」「電話番号」「メインコンテンツ」を固定して、予約獲得UP!!


次回は、スマートフォンページに何を載せるか? についてお伝えしたいと思います。


なお、これまでのバックナンバーは、
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をご覧ください。


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【18.08.26】人材シリーズB「ホテル・旅館におけるコンプライアンスの基礎知識」 

(株) 田代コンサルティング 代表取締役 田代英治氏 インタビュー 



シリーズ「ホテルにおける超人材難時代の人の育て方」の三回目は、コンプライアンス(企業が守るべき法律や企業倫理)の問題を取り上げます。サービス残業やパワハラ、セクハラなどのハラスメントなど、以前は、なんとなく許されていたことも、現在では厳しく罰せられることが多くあります。ホテルスタッフの離職の原因となってしまう上司・先輩社員は、往々にして「自分たちは正しいことをしている(自分たちもそうやって厳しい経験を経て今に至っているから、それらの経験や価値基準は正しいに決まっている)」との認識で部下を指導していますが、「昔は通じたが、今は通じない」ことは多いのです。今回は、その認識のずれを、ホテル・旅館業界の労務問題に詳しい(株)田代コンサルティング の田代英治代表取締役に紹介していただきます。


まずは、下記のチェックリストの問いに答えてください。パワハラだと思う項目にチェックをいれてください。





はい、ありがとうございました。
あなたはいくつ該当しましたか?

実は、これ、すべてパワハラです。
度合いの差こそあれ、これらはすべてパワハラ行為になります。


「自分たちもこうしてやってきたのだから」は、通用しない



早速、田代先生にお話を伺いたいと思います。


●パワハラ問題が、宿泊業界でも散見されるのですが、パワハラなどが発生する組織に共通する点というのは、ありますか?



パワハラ問題は、実はホテル・旅館業界に限らずいろんな業界で発生していますが、共通しているのは、閉鎖的なところで起きているということです。つまり、自分たちが常識的にやっていることが世間の常識に照らし合わせた場合、非常識になっているということに気付いていない組織で起こっているのです。古い体質のまま来てしまっているのです。明らかに確信犯でやっているケースも中にはありますが、ほとんどが「自分たちもこうしてやってきたのだから」ということでやっているので悪気があってやっているのではないのです。やっている方は罪の意識がないので、非常に悩ましい問題です。時代は大きく変化しています。40代・50代の人たちが20代だったころと今とでは、時代背景も、20代の人生観や価値観も違うのです。これはアメリカなどでも同じ問題が起きていて、ミレニアル世代にどう対応すべきかということが、人材マネジメント上大きな課題となっています。時代の変化に対応すべきです。

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●おっしゃる通りだと思います。今の若者には根性論も通じないし、出世欲のある野心家も減っているように感じます。自分たちの価値基準だけを押し付けると反発が起こるのは当然です。いろんな価値基準があるなかで、「うちの企業では最低限ここまではしっかりスタンダードを守っていきましょう」というガイドラインを会社が示すことだと思います。
さて、では、何がパワハラで、何がパワハラに当たらないのか、こうしたガイドラインはあるのでしょうか?



はい、平成24年に、厚生労働省が定めたものがあります。

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これで言うと、1)〜3)は、確信犯的な、明らかにパワハラにあたるものですので比較的防ぎようがあります。


難しいのは、4)と5)です。とりわけ、4)は判別が難しい行為です。上司としては、指導の一環として「部下の成長のために」という思いでやっているのでしょうが、部下としては、過大な要求であって、非常に苦痛に感じている。ストレスを感じて、精神疾患に陥るケースもあります。つまり、認識のずれがあるのです。熱血上司の方がやりがちです。昔のやり方をそのままやってしまうケースです。




●では、どうしたらこうした認識のズレからくるパワハラをなくすことができるのでしょうか?




組織的に対応しなければいけないことは、まずは「なにがパワハラに当たるのかを正しく認識する」ということです。そして、どんなリスクをはらんでいるのかということを組織全員が知ることから始めるべきです。これは経営者や上司だけではなく、パワハラを受ける側の社員も知っておくべきでしょう。進んでいる企業は、フォロワーシップ研修として末端の社員にパワハラ研修をしています。

実は、パワハラ規制法といったものはなく、「パワハラが発生したから直ちに罰を受ける」ということにはなりません。ただし、パワハラを受けた部下がうつ病などのメンタル疾患になったときに、それが上司のパワハラが原因と認められた時、労災認定されたり、本人から損害賠償請求の裁判を起こされることになります。さらに、そうした事態がマスコミに知れたり、うわさになって流布されてしまうと、ホテルや旅館は一気に、「あそこはブラック企業だ」という悪いイメージが広まります。結果、お客さまからも業界人からも支持されなくなります。そうやって疲弊し、ファイナンスが回らなくなって倒産に追いやられるホテル・旅館も見ています。

「行動」ではなく、「人格への指摘」がパワハラに

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パワハラ行為をしないために押さえるべきポイントの一つは、「部下の行動」について指摘をするということです。熱血上司の場合、行動に対する指摘にとどまらず、「部下の人格」に対して指摘してしまうことがあり、それがパワハラにつながることがあります。例えば、「お前みたいな使えない奴はダメだ」とか「どういう育ち方をすればこうなるんだ」「親の顔が見てみたい」などです。業務上改善してほしい行動をするのが指導であるにもかかわらず、このような人格や人間性、育ちといったまったく関係ないことへの否定が日常的に繰り返されるとパワハラになります。

こうした正しい知識をしっかり社員に伝え、会社として絶対に許さないという姿勢を訴えることが大切です。



●田代先生は、いろんな業界を見ていらっしゃいますが、宿泊業界がほかの業界と違っているところはどんな点でしょうか?



近藤さんも、「ホテル業界の方々は、ホスピタリティをお客様や使うが部下には使わない人が多い」といったことを指摘されていますが、おっしゃる通りで、スタッフを人間扱いしない傾向にあるのは感じます。もちろん全企業とは言いませんが・・・。人材を、コストの一部だと思っているのでしょうか、いくらでも取り換えが効くという認識を持たれているのではないかと感じることがあります。

当然、宿泊業は労働集約型ビジネスですから人件費コントロールは大事なのですが、圧縮しなければならないという意識があまりにも強い気がします。ですので、業界におけるコンプライアンス上のもう一つの課題であるオーバータイム(長い業務時間やサービス残業、タイムカードの書き換えなど)の問題も、これに帰結するのではと思います。働き方改革で、労働法も企業にとってより厳しくなります。労働時間管理も徹底していかないとコンプライアンス違反になります。


人が採れないことへの危機意識をどれだけ持つか



いま、ホテルも旅館も一様に業績が好調です。人手不足という問題はあっても、業績好調のタイミングというのは、なかなか意識改革しなければいけないという機運にはならないと思いますが、今後は、「ブラック企業」というレッテルが貼られてしまったホテル・旅館には、人が集まらなくなってきます。ですので、コンプライアンスに対する認識をしっかり持って意識改革・業務改革していった企業しか健全経営はできなくなるでしょうね。

内部通報窓口のような相談窓口を設け、相談がしやすい体制を作っておくことも、ことを大きくしてしまうことを未然に防ぐ一つの方法です。悪い噂が広まることは、ホテル・旅館企業にとっては、ブランドイメージの棄損になりますから、大きな損失になってしまいます。


人事部が現場に負けてはいけない



また、パワハラ・モラハラをしてしまう上司、マネジャーに多い例は、優秀な人であることです。

例えば、よくあるケースなのですが、内部通報などでパワハラらしき訴えが上がります。訴えたスタッフと、やったと思しき上司、第三者などに人事がヒアリングをかけます。そうやって調査をするのですが、「真実は間違いなくパワハラがあった」と思われる案件でも、もみ消してしまうのです。加害者であるマネジャーが優秀だったりすると経営陣や部長クラスがかばってしまう。それに人事部は対抗できないということも原因です。宿泊業に限らず、人事部がもっと強くならないといけないとも感じています。人事部が現場に負けてはいけないのです。労働組合がない企業がほとんどですから、人事がしっかり機能し、社長と直結しているような組織が理想です。



最後に、パワハラを受けたホテル業界人にもお伝えしたいのですが、パワハラなどを受けても、黙って辞めてしまう人が多い気がします。宿泊業界は転職しやすいので、いやなら転職すればいいと考えがちですが、それではその企業はいつまでも改善されません。内部相談窓口等を活用し、伝えるべきはしっかり伝えていく努力が必要なのだと思います。


【お知らせ】

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田代先生は、2018年7月27日総合ユニコムから、
『ホテルの[労務管理&人材マネジメント]実務資料集』を上梓されました。

下記から注文できます。

https://www.sogo-unicom.co.jp/data/book/0520180702/index.html#CDROM







【18.08.16】人材シリーズA アンケート「ホテル業界職場満足度調査」レポート

ホテルスタッフの多くは、現場マネジャーよりも、経営陣に不満を抱いている!?

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ホテル業界のスタッフを生かす職場環境改善を考えるシリーズブログの二回目です。

まずは、現状把握のために、業界人にアンケート調査を実施しました。
結果をレポートします。

貴重なご意見をたくさんいただいたので、そのメッセージをなるべく多く紹介しますが、総じて、ホテルスタッフは、「現場のマネジメントよりも、経営に対する不満多い」という結果になりました。




ホテル業界における職場満足度に関するアンケート


【調査期間】2018年5月31日〜6月30日
【抽出方法】宿屋大学のメルマガ、FacebookなどのSNSを利用し
      日本国内を中心とした勤務地で働くホテル業界人に依頼
【回答者数】114
【調査方法】Google社のWebサイト・アンケートフォーム“Google Forms”を使用(全9問)


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質問@:職場(部署)に対する、あなたの現状の満足度は?

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自身の所属部署に対する満足度が80%~100%であると答えた回答者が全体の28.0%、満足度が0%~20%であると答えた回答者が全体の9.7%





質問A:勤めている企業に対する、あなたの現状の満足度は?

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自身の所属企業に対する満足度が80%~100%であると答えた回答者が全体の26.3%。
満足度が0〜20%であると答えた回答者が全体の14.0%
現場での業務に関する満足度より、所属企業への満足度が低いことがわかった。




質問B:お勤めのホテル企業や職場に関し、不満に感じていることは何ですか?(複数回答可)


人(割合)

74 (64.9%) 給与
40 (35.1%) 会社に理念やビジョンやミッション、戦略がない
                      (もしくは、あっても共有されていない)
38 (33.3%) 経営者やオーナー、上司受けする人ばかりが評価される
38 (33.3%) モチベーションの低い人ばかりいる
36 (31.6%) スタッフが経営者やマネージャーから大切にされていると感じられない
36 (31.6%) 上司が現場よりも経営陣ばかりを見て私利私欲ばかりで動く
32 (28.1%) 利益ばかり追求して顧客満足を軽視している
                (会社の都合ばかりをゲストやスタッフに押し付ける)
31 (27.2%) 休みが少ない
31 (27.2%) 労働時間が長い
28 (24.6%) 会社のブランド力が低い
24 (21.1%) 会社に誇りを持てない
20 (17.5%) サービス残業などのコンプライアンス違反がある
20 (17.5%) パワハラを感じる
19 (16.7%) 職場がぎすぎすしている
05 (04.4%) 会社の規模が小さい
04 (03.5%) 職場内でいじめがある
03 (02.6%) セクハラを感じる
01 (00.9%) サービススキルが高い人ばかりが評価される


不満を感じる点について複数回答を求めた結果、『給与(が低い)』『休みが少ない』
『労働時間の長さ』といった一般的にホテル・旅館業界の構造的な問題して指摘されている点以外にも、2位に『ミッション、ビジョンの共有不足』、また3位から7位を『評価制度や曖昧さ』に関する問題点が占めたことなどが注目に値する。また、『コンプライアンス違反やハラスメント』など不健全な就業環境を指摘する点も挙げられており、ハードに依拠する(構造的な)課題とソフトに依拠する(人間関係など)課題両面について改善が求められていることがわかった。




質問C:今自分が働いているホテルを後輩に勧められますか?

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勧められる(自信を持って/12.4%、自信はないがどちらかというと/29.3%)という回答が41.6%と、勧められない(どちらかというと/15.9%、絶対/13.3%)の29.2%を上回る結果となった。




質問D:上司や先輩の指導方法・行動や考え方、ホテル業界にある価値観や人間関係の暗黙のルールなどで、「おかしい」と感じたことがあったら教えてください。


【経営判断】
・何名かいる経営陣の中でのパワーバランスに様々なことが影響し、左右される。ビジョンはあるものの、それが判断のモノサシになることがない
・経営にまるで興味がない。部下が何をしているか能力的に把握できず評価基準がおかしい
・業界のことには素人であるオーナーの言いなりになる慣習
・決定権をもつ役職の機嫌に左右され、方針・施策が都度左右する。また、上層部の顔を立てるために無駄な作業が多い
・長時間働く人が良いとされてきた文化。調理とサービスでは力関係が調理の方が上と考えている人が多い。また経営陣が調理に対し意見を強く言えない
・上司は経費削減の事しか頭にない。サービスマンとしての自覚が見られないし、部下の事を見てなさすぎて何も分かっていない
・評論家が多くなり、現場主義者が居ない

【人間関係、コミュニケーション】
・人に取り入る能力、可愛がられたい願望が強い人が多すぎる。その結果、会話の内容が人に気に入られた話ばかりで、正直程度の低さを感じている。世の中のニュースや技術には無関心である
・自らの職責、影響力を理解していない管理職が多い
・直属の上司ではないが、例えば「残業するな」と言って具体的な指示をせず、自分は先に帰ってしまうとか…あいまいな指示をする人が多い
・お客様には接客的に挨拶をするのに、従業員同士ではできない。ホテル内では積極的にゴミを拾ったり、窓を拭いたり常に清潔を保とうとするのに、自分の家や公共の施設では扱い方がひどい。総じていうと、仕事ではできるのに普段の生活ではできないということ
・コミュニケーションを取れる人が少なくなってきており、対話力が無いため、物の言い方が乱暴
・部下の目の前で上司が個人的な感情を表に出しすぎていると感じる。愚痴や悪口を聞こえるところで言われると、どう反応したらいいかわからない
・外資系ホテルに勤務しているので、感じてしまうのか不明ですが、経験を蔑にする傾向にある。もちろん旧態依然の考えで押し通す年配者もいるがそうでも無い新しい考えに共感しその中で、自身の経験を組み込みもっと良くする方法を模索する必要もあると考えています。
・バリバリにインチャージをこなしていた女性が育休から復職すると本人になんの相談もなしにインチャージを外されている

【年功序列】
・年功序列で勉強していないスタッフが多い
・過去の成功事例を語る事
・一方的な上位下達、評価が年功序列な企業風土は時代に沿ってない
・ベテラン勢の意識と行動がなかなか変わらない(考えて行動しない・主張しない・言われないとやらない・ただ我慢する・人に影響力を発揮しようとしない・理由を考えない・プライオリティをつけられない)
・お客様は神様という考え方。時代の流れに乗ろうとしない保守的な考え方
・時代に合った考え方を柔軟に採り入れて欲しい。昔話は所詮、昔話ですから…

【評価制度】
・残業をする人が偉いとされる風潮
・キャリアパスが明示されていない。また、教育システムが不十分

【指導体制】
・自分の考えに合わないと意見を聞かず排除しようとする姿勢
・注意しても直らない後輩に対し、諦める事
・明確な指導が無い
・指導方法について、非常に未熟である。ホテルについての知識不足。評価基準が曖昧
・部下の前で他人の悪口を漏らす。表での愛想が裏では消える
・根性論、妬み、足の引っ張り合い、情報隠蔽等姑息な手を使って周りから出し抜く、俺の背中を見て学べ的に事前の座学や研修なしにOJTと称して不安なまま業務をさせる
・人材不足の可能性もあるが、指導が行き当たりばったりのことが多い
・会社・上からの指示等には当事者意識をうったえるが、新入社員のミス・退職理由・ゲストからのスタッフ個人へのクレームなどは当事者意識を微塵も感じない
・トレーニングスケジュールを決めても、十分な時間を確保できていないこと、複数の人からそれぞれ違うことを教わったので、正しいやり方に統一してほしいと感じたこと
・「見て覚える」という指導に違和感を覚えます。自身が過去に学び得たことが体系化されていないために、伝える・教えるコミュニケーションが取ることが出来ていない状態なのだと思います
・ホテル業界に限ったことではないが、新入社員の「わからない」という感覚を上司が理解してあげられていないケースが多いと感じる。上司が本当の意味で部下の立場に立ち、それぞれに合う指導が出来るくらいの柔軟性がこれからはより必要でないかと思う

【福利厚生 (残業・給与・休日)】
・「昔はこうだったからねー」と、上司がサービス残業を見て見ぬ振りしている
・残業などで協定時間を超えそうになると、たとえ予算を達成しようが上手くやれと指導したつもりでいる。打開策もフォローも無く結局はサービス残業になってしまう。日大アメフトの監督と似たような上司しかいないです
・何度か体調を崩してしまい、休もうと考えましたが、人が足りないこともあり、休みにくい環境になっている。休む場合の連絡をしても、まず体温がどれくらいあるのか聞いてくるのが働いてる身としては、非常に休みにくい

【業務プロセス】
・上司自身が行って無いのに、しなさいと強要してくる。自分の仕事を軽減するため、業務を押し付けてくる。そして定時で上がり部下は残る
・現場への理解が低い。CSは人員が揃ってこそあることを理解してくれない
・お客さま優先、第一が当然のため、自身が犠牲になることが多い
・休憩時間を全く考えていない
・職場事情として上司も含めて全員が作業者になってしまっている為、客観的な視点が不足している
・基本的な業務のマニュアルが整っていない。(現在のではないが)上司がGMの悪口を部下や後輩の前で言う
・「サービス残業をなくす」など、表面的な改善にとらわれすぎていて、サービス残業をしなくて済むシフト作りやオペレーションの改善などがされていない。現場の声を上の人が聞く環境がない
・上司の言うことに従っていればいいと考えている人が少なからずいること
・◯◯は△△であるべきといった固定観念があまりにも強く、新しい価値観、新しいアイデアを受け入れようとしない
・N大学ではないが、スタッフの考え方や客層は常に代わっている、ある一定の役職者になると、新たな指導方法を学ばなくなる。それでいて、会社を去ることもなく社内の閉塞感が漂う場合がある
・「ホテルだから」こうするんだ。と言ってどこかで見てきたことの真似事をすることが上司だと勘違いしている。見たことのないことにぶつかると逃げるし、どうしてと聞くと答えられずに「ホテルだから」と逃げる。バブルを経験した人たちはホテルということだけで偉そうにしていいと思っている



質問Fの対比として、新人は上司や企業そのものがビジョンを示せず評価基準がおかしいと嘆き、年配者はすぐ辞める新人をやる気がないと怒る、という構図が読み取れる。





質問E:経営陣に言いたいことがあれば教えてください


【モラル】
・ワイドショーくらいしか会話のネタのないマネージャー達の教育をどうにかしてください。 非常にくだらない上に、聞く部下の時間ももったいないです。マネージャー陣の知識も無さすぎて、ハラスメントにしても会計管理にしても、ありえないことばかりが起こります
・外部とではなく、社内の経営陣同士の接待で、接待伝票が使われ、実質エライ人たちは無料で飲食をしている。そのせいでサービス残業を強いられる現実。日頃から節約するようにとか原価を低くとか言われているのに、そんなことをされたら何も信用できなくなる。経営陣の巡視などの為に準備に追われ、労務が増えている
・自分の考えのみで事を決め、そのために苦労する人がどれだけいるかを、自分の目でみてほしい

【経営判断】
・独裁的な経営を改め積極的に他者の意見を聞き入れる姿勢が欲しい
・理想ばかりで現実さを感じない
・ご自分の考えをしっかりと自分の言葉で伝えることをしてほしい
・ボーナスよりも給与を上げて欲しい
・オペレーションとマネジメントの橋渡しをできる上位者が少ない
・若い社員が会社に魅力を感じる方法を考えてほしい。人材に対する投資を行ってほしい
・経営者自身も生き生きとしてください
・顧客満足が経営を支える事を念頭に運営して欲しい
・お給料が仕事に見合っていない。これでは、今後ホテル業界で働く人が減っていくのでは
・保守的。変化が必要な時なのに何も変えようとしない
・経営と運営の分離にはほど遠い
・給与や職位に年功序列を重んじる考えが影響していると、社員のモチベーションは上がらない
・兎に角もっと勉強してほしい。業界のこと、時代のトレンド、社会情勢などあらゆる面で情報不足が多い。今時、情報源が『NHK』と『日経新聞』だけでは話にならない。その上で時の変化に柔軟になって欲しい
・社長含めた幹部がオーナー会社からの出向により形成されているため、また交代のサイクルも早いため、計画的に物事が進まない。改装など、もっと長いスパンでの計画で進めるべき
・ホテルの現場感覚は必要ですが、経営もスキル・知識なので習得を怠ることなく、事業に誠実に向き合って仕事をして欲しい

【ビジョン、ミッション】
・ビジョンを示してほしい。スタッフに責任を押し付けて、責め立てるのはおかしい
・変革を恐れず、ビジョンを持って会社を動かして欲しい
・個人個人に何か言うというよりかは、経営陣として足並みを揃えて社員にメッセージや行動で示してほしい。経営陣個々が自由に動くのではなく、物事を纏め進めていくディレクター的な仕事が出来る人間が増えると良い
・どのようなホテルを目指すか目標を決めて欲しい
・2020年のオリンピックの先の5年、10年、その先を考えた人材育成を行って欲しい

【現場への理解不足】
・本社経営陣が、各地のホテル現場の忙しさを考えず、各地のホテル支配人にばかり負担がいき、サービス残業が多すぎるのは問題だと思う
・もっと現場主義になってほしい。自分達に都合の良いことばかりに目を向けていて、数字しか見ていない。現場の意見は聞かずに、素人の自分たちの意見で進めるのは良い人材がいなくなる
・自分個人の考えではなく、お客様の声を聞くことで決定判断をしてほしい
・もっと現場で何が起きているかを見てほしい。意見や方針を何度も変えないでほしい
・無駄なことが多すぎる。現場をもっと見て欲しい
・売上としつこく言う前に、現場がどういうサービスをしているのかを良い点、悪い点含めしっかり把握すべき。本当にお客様を喜ばせるために必死に働いているスタッフをもう少し評価して大切にしてほしい
・規模や売上のみを考えている。理想と現実を理解していない

【数字】
・数字がきちんと読めて、現場の現状を把握し、正しい判断をしてほしい
・会計、収支に重点を置きサービスをしているホテルを運営しているという感じがしない
・スタッフに単に業務を教えるのではなく、原価や利益率などもスタッフに徹底することが重要であると思います



質問F:今の若者は耐性が低すぎると感じている方がいたら、ご意見をお聞かせください


【今の若者に対する批判的回答】
・職業ホテルマンが少なくなった
・口だけで実際には自分から動かない。例えば、イベントのアイデアを提案だけで経験を積まそうとリーダーにしようとすると逃げ腰になる。それで、別なスタッフにお願いすると私ならもっと上手くやれると発言なら、逃げずにやりなさいと言いたくなる
・わからないことがあっても周囲に聞かず、自分の判断で動こうとする
・注意されたらふてくされる
・業務よりも自分の都合を優先させる傾向があります
・変な意味で守られている環境とサービス業への想いが根本的に昔と異なっている
・マニュアル以外の依頼をすると「無理」。「人がいない」といい訳をする。やりきろうとする意識が低い
・甘えている部分を感じる。自身のスキルを高める為には、我慢や苦労、多くの経験が必要であり、多少時間も必要である。何でも安易にマスターできると思っている。簡単に情報が手に入るようになり、全てが便利で手軽だと思っている。人の世話をする仕事だから、多少なり手間がかかるのが当たり前。面倒だと思うなら、根本的に選択する職業を間違えている
・過程より結果をすぐに求める傾向が強い
・一昔前に比べると(その言い方も問題ですが)、諦めが早い・指示待ちが多い気がします
・「楽して金が欲しい」という感じの人があまりに増え過ぎた
・我慢、敬う気持ちが足りない
・自分で考えることをしないで受身すぎる。指示をまち、指示がでるとふて腐った態度を指摘しても尚且つ少しでも面倒なことはやりたがらないのはスキルアップの機会を逸しています。やってみて、違うやり方等を間変えてみては?
・怒られる事に慣れていないせいか、怒られるとすぐに気を悪くする。安易な考えで進路を考えた結果、簡単に仕事を辞めたりする
・嫌な事でもなんとかがんばろう、とならずに、逃げたり辞めたりすることに抵抗が無い
・直接言うとすぐに泣く

【若者だけに問題を押し付けてはいけない、という回答】
・耐性が低い担当者は多数当てはまるが、同時に耐え忍び結果を残した担当者が評価されることもない
・上司から指示されたことをやるのは当たり前です。しかし、自ら動いてお客様のために動いた経験すら、上司に否定されたり、捻り伏せられたりしている実態もあります。そのような環境では、何も考えない若者しか残らなくて当然ではないでしょうか
・理由のない我慢はする必要がない
・社会に出る覚悟の様なものは確かに感じられない。ただ、若い世代の特性のせいにするばかりではなく、上司としての接し方が問われている時代なのだと感じる。歩み寄りが必要
・昔より溢れる情報の中から職業やスタンスの取り方など選択肢がたくさんある環境にいる若者に対して耐性が低いとは言えない
・ゆとりもさとりもないと思っています。耐性がないと感じているのは単に意思疏通ができてないだけではないでしょうか。無関心なおじさんはたくさんいますが、忍耐強く熱意を持ったおじさんはなかなかいません。年輩も若者も関係ないのではないでしょうか
・耐性もないが、企業労働環境の改善がないことが主要因
・そもそもホテル業界は離職率が高く、不満に耐えられないと辞めてしまう傾向があり、若者だけが耐性が低いわけではない。単に無意味に厳しいだけである
・耐性が無いのではなく、教え方が悪い。また若者が、というより世界がボーダーレスになった今日で様々な文化の価値観が日本人の多様化につながり、その対応が出来ていないだけ
・パワハラという言葉が世間で多く使われるようになって、耐性を鍛える機会がむしろ減ってしまったからだと思います
・彼らの耐性が低いのではなく、時代の変化に上が乗っていない。昔の考えを押し付けようとしても若い子達には到底理解できないし理解させようとする方が無駄に感じる。上が考えを改める他ない。だから時代に取り残され業績も落ちる一方
・感じることは多いですが、個人差がありますので、「全体的に若い人の耐性が低い」と言う論理には賛同しません。年配の方にも耐性が低い人は多いです。また耐性が低いことが必ずしもマイナスではありません。寧ろ過剰な耐性の強さが、経営陣の誤れる判断を跋扈させて温床にもなったと言えます
・時代ですのでその様な方がいるのは仕方ないと考えております。ただし、その中で頑張り屋もいるので、しっかり見極めて採用していけば良いと考えております
・今の若者は賢く、頭が良いのだと感じる。だから、価値のないことを見抜く力があり、価値のない時間への投資は行わないのだと思う
・そもそも耐えることを強いられるよう職場に魅力はないと思います
・背景として、人材不足による先輩のサポートや教育不足でお客様からのクレームに耐えられず、仕事量の増加による負担で、入社数年で認識してしまうことで退社を決意してしまうので、耐性が低いと考えてしまう方がいるのではないか

【その他】
・上司がハードワークして出る本音であれば、若者に伝わると信じている
・拳に対する耐性が無さすぎる
・学校教育がそうなっているし、親も親の役割を果たせなくなっている
・仕事を選べると思っているのがおかしい。好きなことだけをやって、給料がもらえると思わないでほしい。合わないことをやるから仕事であり、その対価が給料だと思う


今時の若者に対する厳しい指摘があるいっぽう、時代の変化による世代間の認識の差異によるものという指摘や、大人(上司・先輩など)側の対応力についての指摘、またホテル・旅館業界の働き方が構造的に今時の若者に受け入れられにくいのでは、といった
『若者だけに問題を押し付けてはいけない』という指摘が多く挙げられたことが特徴的な結果となった。





質問G:あなたが、ホテルで働き続けるのはなぜですか


@情緒的要素 … 業界/組織に対する愛着のこと。その業界/組織が好きで貢献したいという気持ちのこと。損得感情ではない感覚、一体感や愛着といった要素。

・観光産業に携われ、地域のこれからの発展に貢献できるから
・お客様の喜ぶ姿に感動するから
・ホテル業でしか出来ない仕事に誇りを持っているため
・お客様に体験を提供する仕事にやり遂げたときやりがいを感じます
・毎日がドラマティックだから
・ホテルが大好きだから、趣味であり仕事である
・自分にとっては、天職だと感じているから
・接客が大好きで、お客様の喜んだ顔が見たいから


A功利的要素 … 業界/組織に対する損得勘定のことで、その組織にいれば自分にメリットがあるっていう気持ちのこと。情緒的要素に比べ、より認知的・評価的なもので、仕事を続けることによる利益、辞めれば失われるコストに対する功利的な知覚とされている。

・他に出来る仕事が無いから
・他に経験がないから
・育休が明けたばかりで、小さな子を抱えて転職しづらいから
・子供がいなければ、とっくに辞めていると思う
・20年以上、井の中の蛙になってしまった
・つぶしがきかないから
・私も含め、周りにいる誰しもが転職を考えています


B規範的要素 … 理屈など抜きにして組織に貢献すべきであるという気持ちのこと。社会人だったら一生懸命働くべき、一度就職したのであれば長くその会社で働き続けるべきといった倫理的な要素。

・ホテルマンだから
・家業だから
・天職であるから
・次世代を担うホテルマンたちの育成に携わりたいと考えているため
・経営者だから
・これまでホテル業界で働き育てていただき、お世話になってきたから


本質問では、ホテル業界に対する『組織コミットメント』について記述式で回答をもとめ業界・企業への帰属意識をあきらかにした。組織コミットメントは大きく以下の三つに分類することができるとされており、本質問への回答もそれぞれの要素に分類することができた。




質問H:「ホテルで働いてよかった」と思えたエピソードがあれば教えてください


【顧客とのエピソード】
・入社1年目、レストラン勤務で顧客が出来た時。当時名刺も持っていなかったが、名前を覚えたいと言われて手書きのカードを書いた
・新しい施設が劇的に増える中、長年ご利用頂いているお客様に支えられていること。またそのお客様からご指名でのご連絡・感謝のお言葉を頂戴したこと
・お客様におもてなしの心が通じていたとき。出張が楽しみだ、あなたがいると安心だ、あなたが販売するホテルだから一緒にビジネスをしたい、そういう言葉をいただくと素直に嬉しく、自身の存在価値を確認できる
・ありがとうの言葉に尽きます
・日々繰り返される、お客さまの人生に寄り添える、人間味のある職種であること
・10年前にドアマンとして働いていた頃に親しくしていただいた顧客のお嬢様が、「あなたに憧れてホテリエになりたくて、ホテル学校に入った」と言われたこと

【同僚について】
・業種に比べると人が良い人が多い気がする
・最近は部下が褒められると嬉しい
・昔一緒に働いたスタッフから相談されるとき
・同業者には沢山の素晴らしい方、尊敬できる方がおり、その方々とお話ができること
・他部署との連携プレーでお客様に喜んでいただけるサービスが出来たとき

【満足感、達成感】
・繁忙期を皆で乗り越えた時の達成感
・従業員、ビジネスパートナーとの交流
・毎日が違う日常であり、勉強であること
・珍しい経験を沢山出来た!

【日常生活への影響】
・礼儀正しさ、立ち振る舞いなどが他の同級生と比較しても抜群に良いと思います
・自分がどこかに行かなくても、友人たちが利用してくれることで、再会の機会が多い
・思っている以上に様々なマナーや言葉遣いが身についていたこと
・日常生活で動作が美しくなった

【その他】
・無職よりは知り合いができてよい
・食費が浮く
・社食が本当においしい
・宿泊業ブームがしばらく続きそうな状況

顧客や同僚といった人との関わりに関する部分と、達成感や満足感、そして生活への影響といった情緒的な部分に大別されることがわかった。




●アナリスト 服部淳一氏

1980年大阪府生まれ。京都産業大学卒業後、ウェスティンホテル東京、ハイアットリージェンシー京都にてハウスキーピング、サービスエキスプレス、レセプション、コンシェルジュなどを経験。2007年年間最優秀従業員賞を受賞。2008年グランドハイアット台北にて海外研修。2010年からはセントレジスホテル大阪にて経理を担当。グループの経理シェアードサービスセンター立ち上げなどのプロジェクトの貢献を評価され2016年アジア太平洋地区シニアバイスプレジデント表彰を受賞。同年、神戸大学大学院経営学研究科(MBA)に入学しホテリエのキャリアに焦点をあて専門職学位論文を執筆(論文は第10回タップアワード最優秀賞を受賞)。2018年より同研究科博士課程後期課程に在籍中。




【18.08.03】人材シリーズ@ 総論「誰もが仕事に遣り甲斐を感じながら成長できる職場づくり」

PHM育成以上に喫緊の課題

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日本のホテル業界は、20世紀末まで、顧客満足重視、現場オペレーション偏重だったように思います。「ホテルなんだから上質な接客を提供して当たり前」という価値観があり接客技術やオペレーション技術を磨くことに努力してきました。結果、PHO(プロフェッショナルホテルオペレーター)は、たくさん生まれたのですが、残念ながらPHM(プロフェッショナルホテルマネジャー)はあまり生まれませんでした。上質な接客オペレーションによって、お客さまを喜ばせることはできても、それを利益に換えていったり、社員の幸せも同時並行で追及していくようなマネジメントができるプロのマネジャーがほとんど生まれてこなかったのです。

これは、ある意味、ホテルの親会社や経営者が「ホテルから上がる利益」を求めてこなかったからという理由が大きく、ある意味仕方なかったのですが、今は「親会社のお飾り的ホテル」は少なくなり、「ホテル事業でしっかり稼ぐ」ことがホテルで働くマネジャーにも求められています。そういう時代の変化、時代の要請に合わせる形で、プロフェッショナルホテルビジネスマンの養成を、宿屋大学はコアビジネスにしています。

一方で、別の問題も多く私の耳に届くようになりました。
現場のホテルスタッフからの悲鳴です。パワハラ・モラハラやオーバータイムが横行していてホテルを辞めたいというホテルパーソンからの相談です。厳しいだけの指導しかできないマネジャー、手柄は自分が持っていき、失敗は部下のせいにするアシスタントマネジャー、上司にはホスピタリティを発揮するが、部下や後輩には一切発揮しないチームリーダーなどなど、「昭和の時代には多く聞いたけれど、いまでもそんなひどい上司がまだいたのか?!」と嘆きたくなる事例をよく耳にするのです。

ホテルの現場スタッフから届くこのような悲しい現実を知るにつれ、業界向上のためには、劣悪な職場の改善や、社員がやりがいとプライドを持って働ける環境づくりが喫緊の課題に思えてきました。



発端はSOS

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「現場を何とかしないと!」と考えるようになった発端は、あるSOSでした。
2月某日、都内の高級ホテルの料飲施設でアルバイトをする知り合いの男子学生(A君)から、「自分は、もう限界にきているようです」という連絡をもらいました。

ここでは、本ケースを、固有名詞を変えてお伝えします。

A君(前もって言っておくと、このA君は非常に優秀であり、職場からものそのように評価されています)から聞いた内容は、下記のような内容でした。

●先輩Pさんから、歩き方、言葉遣い、食器のサービス法などの指導をされた。そして、一つ一つ頭ごなしに注意された
●いつも予習をして仕事に臨むのに、やることなすこと先輩Pさんから全否定される
●Pさんに注意されてしまうと、自分の頭が真っ白になってしまい、パニックになってしまう。それにより、今までできていたこともできなくなってしまった
●Pさんから、「お前のことをこんなに詳細に注意できるのは俺しかいない。俺は注意することはやめない。俺も10年前はホテルの料飲に入って死ぬほど辛かった過去があるから今がある。お前をいじめてやろうとかそういう意図でやっていることではない。それだけはわかってくれ。怒る方だって辛いんだ」と言われた
●Pさんと一緒にいるだけで震えが止まらないくらいのトラウマを背負ってしまった
●Pさんの厳しい口調を聞くたびに頭が真っ白になり、手は震えてしまう。理性と体のギャップに大きな苦しみを感じ、良い接客どころではなかった

先輩Pさんから厳しく注意されていたのは、A君だけではなかったようです。正社員として入社した新卒者は、もっと厳しく指導され、毎日泣かされていたし、Pさんが原因で辞めてしまった新卒者もいたそうです。

Pさん曰く、「より良いサービスをお客さまにできるように厳しく指導している」のだそうです。

果たして、希望を持ってホテル業界に入ってきてくれた貴重な人材の人生を不幸にし、トラウマを追わせるほどの精神的なダメージを追わせてまで、よりよいサービスをする必要があるのでしょうか。

Pさん曰く「お前らのためを思って厳しことを言っているんだ」だそうです。

でも、受け手には、その思いは届いていません。
完全に独りよがりです。
伝わらない愛情は、ないに等しい。
伝えたいことや愛情が伝わらないのは、伝え方が悪いわけで、伝え手に責任があるのです。
セクハラと一緒で、受け手がどう感じるかが問題です。
「俺は愛情込めて指導している」と言っても受け手が「パワハラ」と感じれば、それはパワハラです。

私は、P氏は、指導者としては失格だと思うのです。



「疲れた。もうここで働く意味はない」


私はこのSOSを受け取り、A君の了解を得て人事部長に報告しました。人事部長は、早急にA君と面談してくださり、別のレストランへの異動を促しましたが、結局A君は、そのホテルのアルバイトを辞めました。その理由は、下記のような理由があったからのようです。

・・・・・・・・・・・

(同じレストランで働く)非常に優秀なサービスマンXさんが、一月に突然ホテルを辞めました。Xさんは優秀なだけでなく、私や新卒が何かやってしまったときにPさんから守る盾のような役割をしてくれていました。新卒の先輩も、現に「Xさんがいたから私はこの一年辞めずに働くことができた」と言っていました。Pさんに泣かされている新人を慰めたりするのはいつもXさんの役割でした。しかしそのXさんが辞めてしまいました。その時に新人の先輩にXさんはこう言ったそうです。

「疲れた。もうここで働く意味はない」

尊敬できる先輩がそのように辞めていくことに大きな悲しみを感じました。
また、ほかのレストランで働くことも考えましたが、「どこのレストランに行ってもPさんのような指導をする先輩はいるよ。Pさんは、まだ優しいほうだよ」という話も聞きました。
私はアルバイトという身分です。正社員の皆さんは、人生を懸けて働いていますから覚悟が違います。しかし、その覚悟でもってPさんのような上司・先輩のモラハラを乗り越えたところで、その先には本当に質の良いホスピタリティが待っているのでしょうか。精神が鍛えられたつもりで、実際には磨耗し、独りよがりなサービスをするサービスマンになってしまうか、Xさんのように、燃え尽きて他の職場に行ってしまう人が少なからずいるのではないでしょうか。このままでは、不幸が増える一方に思えてなりません。
・・・・・・・・・・・

このような辛い思いをしているホテル業界人は少なくないと思い、私は深刻に受け止め、行動したいと思いました。業界全体のために、新たな被害者がでないために、そして電通事件のような最悪の悲劇を招かないために・・・。

私は、このホテルの経営者や人事担当者、レストランマネジャーやP氏を責めるつもりはありません。現状を正確に知っているわけではありませんから。それは人事部長に託しました。辛い思いをしながら働いているホテル業界人、辛い思い出だけを持ってこの業界を去っていく人を減らすにはどうしたらいいか、何が問題で、どうすれば解決できるのかを、業界の皆様と考えたいと思いました。


論点整理

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A君の報告事例のようなケースは、おそらく氷山の一角なのだと思います。そして、これは、Pさん個人だけが原因ではないのです。

Pさんを放置し、A君をかばいきれなかった会社やマネジャーにも問題があります。
接客技術が高くて経験豊富なPさんは、会社からの評価は高かったはずです。そのために、「指導力が足りない」というところに目がいかなかったとしたら、評価基準を改める必要があります。
OJTなどの、基本的な指導方法を知らないのであれば、そこから指導する必要があります。
何がモラハラになるのかをPさんが知らないのであれば、コンプライアンスのノウハウ不足の問題があります。
ブラック上司という人たちは、往々にして「自分はブラックじゃない」と思っていますから、「それはブラックな行動である」ことを知らなければなりません。
または、元来ホテル業界人はホスピタリティ豊かな人が多く、その「ホスピタリティを上司には発揮しても部下には発揮しないというのはなぜなのか」という疑問も残ります。

本シリーズブログでは、そんな論点で、問題を考えていきたいと思います。



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